143 白昼の襲撃
会議室の中には国王様の他に位の高そうな騎士が数人、他にも魔道具を使い何やら他と連絡を取っている兵士がいた、壁にはグランズの全景が描かれている地図が張られておりさながら映画等で見た事のある前線基地の様な有様だ。
「ユイト殿、来てくれたか、其方が城に来てくれていて丁度良かった、力を貸して欲しい」
「何が起こっているんですか?俺達に手伝える事なら何でも言って下さい」
「わかった、隣の部屋で話そう、付いて来てくれ」
国王様は俺達を会議室の奥にある部屋に連れていくと兵士達に部屋へ入らない様に命令した。
「ふぅ、これでやっと素で話せるよ、ユイト君、実は城下町が大分マズい事になっている」
「侯爵派が蜂起したんですか?」
「いや、どうやら魔族と思われる男が城下町で暴れているんだ、今入っている情報だと騎士団の詰所が1ヶ所壊滅させられ辺りは酷い有様らしい」
魔族だって?何故今まで自分の存在を隠す様に目立った動きを見せなかった魔族がこのタイミングで…何かが引っかかる。
「俺達が魔族を止めます、無闇に兵士を向かわせても犠牲が増えるだけでしょう」
「悪いけどユイト君達に頼る他なさそうだ、今王都には手練れが残って居ない、そういえば宝物庫で探し物は見つかったのかい?少しでも君達の力になればいいんだけど…」
「えぇ、お陰様で見つける事が出来ました、これですぐに魔族が暴れてる現場に向かう事ができます」
王城から城下町までは徒歩だと1時間以上かかる、宝物庫で神靴ヘルメスを発見できたのは不幸中の幸いだ、飛翔の能力を使えば城下町まですぐに到着出来るだろう。
「陛下!一大事で御座います!トーラ侯爵を筆頭に一部の貴族達が武装蜂起しました!兵を引き連れて城に向かっております!」
余程慌てていたのだろう、兵士がノックもせずに俺達のいる部屋へ叫びながら入って来た。
「何だと!その情報は確かか!?」
「確かな情報です!多数の兵を引き連れて城へと向かっております、城の警備兵は殆ど城下町へ向かっており残された兵力は僅かです!」
「城門を締め時間を稼ぐのだ、城下町の騒ぎが収まれば兵達も戻ってくる、何とか持ちこたえろ!」
状況は最悪だ、城下町の魔族も気になるがこのままでは城が落とされてしまう、どちらを優先するべきだろうか。
「ユイトさん、私は城に残って侯爵派を退けます、ユイトさんは城下町へ向かって下さい」
「サクヤ、何を言っている!?侯爵派と戦闘になるって事は人を殺す事になるかも知れないんだぞ!?」
「覚悟は出来ています…それでも私は、いや私達はユイトさんの力になりたいんです、お願いします」
「…わかった、それじゃあ二手に分かれよう、テミスとメリッサは俺に付いて来てくれ、サクヤとアイギスは王城の防衛だ」