140 影と名乗る少女
少女は俺の手を掴むと宝物庫の奥へと連れて行く、どこか心当たりがあるのだろうか。
「さっきユイトが探してた辺りは高価だけど実用性の無い品が多いんだ、純金で作られた剣とかあの趣味の悪い外套とかさ、ユイトが探してる装備って実用的な物でしょ?」
「あぁ、外套と靴なんだけどそのどちらかがこの宝物庫に有る筈だ、心当たりがあるのか?」
「外套か靴ねぇ…確か奥の方にそれぞれ纏められた棚が有ったと思う、ひとずそこを見てみようよ」
これは思いがけず強力な助っ人が手伝ってくれる事になったな、影と名乗った少女は宝物庫を迷う事なく進んでいく、どうやらこの場所に詳しいと云うのは本当の様だ。
「確かこの辺りに…有った有った、ユイト、この辺りに外套や靴が集まっているよ、ホラ」
影が近くの棚を指差す、見ると外套や靴、ベルト等が集まっている様だ。
「ありがとう、とりあえずこの辺りを探してみるとするよ、手伝ってもらえるか?」
「もちろん、その為に来たんだからさ、他の人は呼ばなくていいの?」
「もしかすると他の場所に探し物が有るかも知れないからな、ここは2人で探すとしよう、影が手伝ってくれるなら百人力だ」
「不思議だなぁ、なんだかユイトに頼られると頑張ろうって気持ちになっちゃうよ、良し!張り切って探すとしますか」
俺に頼られたのが嬉しかったのか影がにへらと表情を崩す、可愛らしい笑顔に一瞬見とれてしまった。
「ドラゴンの皮膜で作られた外套か…これも違うな、外套はこれが最後か、次は靴を見てみよう」
影と2人で外套が収められている棚を一通り確認したが俺の探し物は見つからなかった。
「あれ?影、どこに行ったんだ?おーい?」
気がつくと先程まで俺の隣にいた影の姿が見えなくなっている事に気付いた、少し辺りを探すと靴の並んでいる棚の前で立ち尽くしている影を見つける事が出来た。
「どうしたんだ?何か気になる物でもあったのか?」
「あっ、ユイト、はぐれちゃってゴメン、ちょっと気になる靴を見つけてね、ほら、この靴なんだけどさ」
影が一足の靴を棚から取り出す、どこかで見た事がある様な…まさか!
「ちょっとその靴を見せてくれ!間違いない…俺が探していたのはその靴だ!」
影の持つ靴を受け取る、手に取った瞬間に間違い無く俺が探していたVRMMOの装備品だと理解出来た。
「無事見つかって良かったよ、でも不思議だね、ボクもその靴を初めて見た気がしないんだ、なんの変哲も無い靴なのにね」
影が不思議そうな顔で俺に手渡した靴を見つめる、せっかくだからこれが只の靴では無いってところを見せてやるとするか。




