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135 舞台裏

「いやぁ中々の演技だったよ、陛下中々やるもんじゃないか」


「他の人が居ない時に陛下はやめて下さい、ラッカ先生にそんな風に呼ばれると全身がむず痒くなるんですよ」


謁見の間から国王様の政務室に移動した俺達はお茶を飲みながら一息ついていた、国王様の命令でしばらくはこの部屋に人が近く事は無い。


「ラオンこそ先生はやめとくれよ、アンタ達に魔法を教えたのはもう何十年も前の話だ」


「先生はあの頃からちっとも変わってませんね、ユイト君、今のラッカ先生からは想像出来ないだろうが当時は超スパルタでクールな教師だったんだよ」


「スパルタはともかくクールですか?全く想像出来ません、いつも屋敷でペーギさんにだらしないって叱られてますし」


「あの頃は教師って仕事に慣れて無くて肩肘張ってたんだよ、まぁウチの馬鹿旦那のおかげですぐにボロが剥がれちまったけどね」


ラッカさんは確かに黙っていれば神秘的な美しさを持つ知的美人だ、まぁその正体はズボラな姉御肌って感じだけど。


「クラブさんの話で思い出したんですけど青の書状には何が書かれていたんですか?」


「大体の内容はユイト君の探し物に協力してやって欲しいって事だったよ、後は私の事を気遣っている事が書かれていた、自分もザラキマク襲撃事件の後始末で忙しいだろうに…全く相変わらずお人好しなヤツめ」


国王様が何かを思い出した様に笑みをこぼす、クラブさんとの思い出に浸っているのだろうか。


「そう云えばユイト君の探し物ってなんなんだい?私に手伝える事ならば出来る限り力になるよ」


「俺が探してるのは無くしてしまった装備品です、王城の中に不思議な力を持つ外套か靴はないでしょうか?」


「外套と靴か…ちょっと心当たりはないが探してみよう、私自身も贈られて来る献上品なんかを全て把握できてる訳じゃないんだ、後で係の者に聞いてみるとしよう」


これで目的の一つであった装備品探しの方は目処がたった、残る問題は侯爵派を上手く騙せたかどうかだな。


「それにしてもトーラ侯爵のあの悔しそうな顔は忘れられそうに無いね、良いザマだったよ」


「ラッカ先生にそう言ってもらえるとトーラを怒らせた甲斐がありましたよ、きっとアイツは青の書状を目にして何か動きをみせる、大勢の前で恥をかかせた私を恨まない筈がない」


「謁見の間でトーラを叱りつけたのもこの為の計画だったのかい?咄嗟の判断で良く考えついたね、アンタも段々と貴族の扱いが上手くなって来たじゃないか」


「怒りの感情は判断力を奪いますからね、これでボロをだしてくれればいいんですが」


謁見の間でトーラを叱りつけたのはワザと怒らせるためだったのか、謁見の後部屋を出るトーラは怒りに満ちた表情をしていた、もし侯爵派が魔族と繋がっているならば近い内に行動を起こすだろう。

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