132 決心
バルメス家の居間、その中心で俺は正座をさせられていた、サクヤ達4人が俺を囲み睨みつけている、まさに針のむしろだ。
「悪かった、本当に俺が悪かったからそろそろ許してくれ」
「ユイトさん?なんで私達が怒っているか分かってますか?何が悪かったと思っているか教えて下さい」
「えーっと…朝帰りしたから?」
「不正解、主さまはもっと反省するべき」
この状態はかれこれ数時間続いている、朝早くライノさんの店から帰って来た俺は玄関で待ち構えていたサクヤ達に捕まった、何故こんなに怒っているのか俺には分からない。
「うーん、じゃあヒントをあげるわね、もしユイトくんと私達の立場が逆だったらユイトくんはどうしたと思う?」
「それは…危険な目に遭ってるか心配して探しに行くだろうな」
「私達もユイトを探しに行きたかった、でもアンタが館の守りを頼むって言ったからそれも出来なかったの、どう?私達が怒っている理由が少しは分かったかしら?」
皆は俺を心配してくれていたんだな、確かに状況は切迫していたが簡単に事情を伝えるくらいはできた筈だ、俺は焦ってしまいサクヤ達の気持ちを考えていなかった。
「ごめん…俺は皆の気持ちを考えてなかったよ、心配掛けて悪かった、許してくれ」
「ま、まぁ分かればいいのよ、別に私は皆程心配してなかったし?」
「あらあら、テミスちゃんたら強がっちゃって、ユイトくんから念話を切られた時の顔を見せてあげたかったわ」
「ちょっ!メリッサ?な、何を言ってるのかしら!?」
「テミス、強がりは損、自分に正直になるべき」
「皆あんまりテミスちゃんをいじめたら可哀想ですよ、さっきみたいにまた泣いちゃいます」
テミスの顔を良く見ると目が充血している、本当に皆には心配を掛けてしまった様だ。
「皆のバカ!大体アンタ達だって私と似た様なもんだったじゃない!もう知らない!」
テミスが拗ねてしまった、部屋の隅に座り込み向こうを向いている、これは機嫌を直してもらうのが大変そうだ。
「本当にごめんな、これからは皆を心配させる様な事はしないよ、約束する」
「約束してください、もしユイトさんに何か有ったら…きっと私達は生きていけません…」
「俺は皆を残して死んだりしないさ、これも約束だ、俺はずっとずっと皆と一緒にいたい、この中の誰か1人でもいなくなるなんて考えたくもない」
気がつくとサクヤ達のいる毎日が日常になっていた、一緒に過ごした時間はまだ短いがそんな事は関係ない、俺の事を本気で大切に思ってくれてる仲間達がいる、もう皆を不安にさせない様に頑張らないといけないな。