124 試運転
「いやぁ、アンタ達が勇者や英雄だって言われる筈だよ、想像以上の強さだ、私が本気で戦っても勝てるかどうか微妙なところだねぇ」
俺達はバルメス家の敷地内に有る訓練場にいた、少し離れた所で金属で作られた人型の的が原型をとどめない程にドロドロに溶けている、サクヤの火球が命中した為だ。
「凄いです!いつもの半分も魔力を込めて無いのに威力は前よりもかなり強くなってます!流石は七星核ですね」
こっちを振り向いたサクヤの胸元には七星核が取り付けられた首飾りが赤く輝いていた。
「喜んでくれてなりよりでさぁ、この首飾りは細工部分も一種の魔道具になっていて強度は折り紙付き、盗難防止の為に持ち主以外が触れると大音量で警報が鳴り響く仕掛を施してやす」
先程屋敷に七星核を持ってライノさんが訪ねてきた、俺の頼んでいた細工が完成したのだ、そのまま七星核の試運転を行う事になり様子を見たいとラッカさん、ライノさんが付いて来る事になった。
「ありがとうございます、ここまで効果の有る品だとは思っていませんでした、思い切って大金を叩いた甲斐が有りましたよ」
「まさかアンタ達が手に入れた装備品が七星核だなんて思わなかったよ、ライノ、あの七星核は一体どこで見つけたんだい?」
確かにそれは気になる、七星核は現存している物が殆ど無い貴重品だとライノさんが言っていた。
「それが…元はマグネジアム伯爵の持ち物だったそうでやす、あっしの友人の商人がマグネジアム伯爵に金を貸していたんですが伯爵家が取り潰しになり借金のカタとして手に入れた品をあっしが買い取りやした」
「マグネジアム伯爵…?もしかしてビズミスの事ですか!?」
「えぇ、ユイトさん達が懲らしめたあのビズミス伯爵でやす、王都に有る伯爵の別邸に厳重に保管されていた物だと聴いてやす」
「確か金貨7万枚でユイトに売ったって話だったね、全属性揃った七星核の値段にしては安すぎやしないかい?ライノ、アンタこの商売で儲けは殆ど出てないだろ?」
「ラッカ夫人はお見通しでしたか、実を言うと七星核の代金としてあっしが友人に支払った額が金貨7万枚、ユイトさん達の支払いで丁度トントンでやす」
「そんな…それじゃあ首飾りの仕掛けの分ライノさんの損じゃないですか、今からでも追加で工賃を支払わせて下さい」
ライノさんは侯爵に金貨70万枚で七星核を売る事も出来た筈だ、流石にこれでは申し訳なさ過ぎる。
「いえ、あっしは今回の商談で儲けの事なんて考えちゃいやせん、ユイトさん、今回の侯爵派の台頭、間違い無く裏で魔族がからんでいやす、この王都をどうかヤツらの魔の手から救ってやって下せぇ」




