112 七星核
「それにして皆さん見事に属性がバラけやしたな、アイギスさんは土、テミスさんは風、メリッサさんは水属性でやすか」
残る3人の得意属性を調べ終えたライノさんがルーペを仕舞いながら呟く。
「さて、皆さんの得意属性が分かった所で装備品の選定をはじめやしょう、何かご要望はございやすか?ウチの店の品揃えは王都…いや世界一、どんな注文にもお応えしやすぜ」
「私はやっぱり長所である殲滅力を強化したいです、何かいい物があるでしょうか?」
「そうでやすな…本日のご予算はいかほどになりやすか?」
「白金貨になりますが全員分で金貨30万枚までならこの場で現金で支払えます」
アイテムバッグから白金貨の詰まった袋をいくつか取り出して机の上へ置くとライノさんが中身を確認し固まってしまった、こんな立派な店の店主でも驚いてしまう様な大金だったのだろう。
「こりゃとんでもない金額でやすな、予算がこれだけ有るなら…誰か!ちょいと来てくれ!」
ライノさんの声を聞き先程の若いドワーフが応接室に入ってきた。
「どうしました親方?何か御用ですかい?」
「おう、悪りぃがひとっ走り金庫から例のアレを取って来てくれ、コイツが金庫の鍵だ」
しばらくすると鍵を受け取ったドワーフが再び応接室に戻って来た、手には高級そうな木製のケースを持っている。
「お待たせしやいた、コイツは余りにも値が張り過ぎて本来ならお出しするつもりは無かったんですが…」
ライノさんがケースを開けると中にはビー玉サイズの球が綺麗に7つ並べられていた。
「これは…魔核ですか?凄まじい魔力を感じますけど」
「魔核は魔核でも只の魔核では御座いやせん、七星核と呼ばれ魔核の中でも特別な数える程しか現存が確認されてないとっておきで御座いやす」
「七星核…なんだかとても貴重な物の様ですが?」
「ユイトさん達がよろしければこの七星核をお譲りしやす、コイツは対応する属性の力を何倍にも増幅する強力な効果がありやす、魔法を主体に戦うのならばこれ以上の品は無いと断言できやすが価格が問題でして…」
七星核からは強大な力を感じる、7つの球は火、水、土、風、雷、闇、光の7属性に対応していると云う話でそれぞれが対応する属性の色の淡い光を放っていた。
「つい最近トーラ侯爵の使いがこの七星核を金貨70万枚で売って欲しいと言ってきやした、あっしは侯爵派の貴族が大嫌いなんでお断りしたら大層怒って帰って行きやしたな、しかしユイトさん達になら…金貨7万枚でお譲りいたしやしょう」