120 属性診断
「確かこの引き出しの中に…有った有った、これが有れば個人の属性資質がわかりやす」
応接室の棚からライノさんがルーペの様な魔道具を取り出した、あまり使われる事が無い様でレンズの部分には埃が被っている。
「段取りが悪くてすいやせんね、自分の属性を知らずに装備品を買いに来るお客さんは滅多に居ないんでコイツの出番も久しぶりになりやす」
ハンカチでルーペを磨きながらライノさんが苦笑いを浮かべる。
「こちらこそ手間を取らせてすみません、俺達はどうやら世の中の常識に疎いところがあるみたいで…ところでそれはどうやって使うんですか?」
「左右どっちでもいいんで手の甲を見せて貰えやすか?コイツで手の甲や額なんかを見るとその人間の属性を教えくれるんでさぁ」
言われた通り机の上に手を差し出すとライノさんがルーペで俺の手の甲を見る、しばらくするとルーペに着いた小さな水晶が白く輝きだした。
「ほぉ!コイツは珍しい!流石勇者様と言うべきでやすな!ユイトさんは光属性の資質をお持ちの様でやす」
「光属性ですか?あんまりピンと来ないんですが珍しいモノなんですかね?」
「光属性と闇属性の資質持ちはそれぞれ100人いて1人いるかどうかって具合でやすな」
光属性は珍しいと云えば珍しいが激レアって程でも無いみたいだ、数百年に1人の超激レアな属性かと一瞬期待してしまった。
「光属性の特性は調和と融合、他の属性の力を増幅したり掛け合わせたりとにかく汎用性の高い属性と言われていやす、あっしも詳しくは知らないんですが有名冒険者パーティのリーダーなんかに光属性持ちが多いみたいでやす」
うーん、やっぱりイマイチピンとこない、俺の場合はVRMMOで身につけたスキルを使い戦っているのでこの世界の属性はあまり関係無いのかも知れないな、現にこの世界に来てから火や氷、風なんかを使ったスキルを使っている。
「そうでやした、装備品を揃えるのはお嬢さん方の方でしたな、すいやせんが1人ずつ手の甲を見せてくだせぇ」
「それじゃあ私からお願いします、こうでいいですか?」
先程の俺と同じ様にライノさんがサクヤの手の甲を覗くと水晶が赤く輝いた、サクヤの属性については大体予想出来ている、恐らく火属性に適正があるのだろう。
「サクヤさんは火属性の適正でやすな、破壊力は全属性の中でもピカイチ、多数の敵を相手にする事も可能でやす」
「やっぱり私は火属性でしたね、多分そうじゃ無いかなと思ってました、属性って他にはどんなのがあるんですか?」
「属性は全部で7つ、火、水、土、風、雷、闇、光、この世界に生を受けた者は小さな虫からドラゴンまで全ての者が何れかの属性を持っていると言われてやす、さぁ他のお嬢さん方の属性も調べてみやしょう」




