119 ライノ武具防具店
店へ入りフロアを見渡すと様々な武器や防具が所狭しと並べられていた、あちこちで店員らしきドワーフが客の対応に追われている。
「いらっしゃいませ、武器をお探しですか?それとも防具の方で?」
「俺達バルメス家のペーギさんの紹介で来たんですけどライノさんはいらっしゃいますか?あっ、これが紹介状です」
話しかけてきた若い男のドワーフへ預かった紹介状を渡す、店主のライノさんはペーギさんと古くからの友人だと云う話だった。
「これは失礼しました、今親方を呼んできますんで奥の応接室でお待ちください、こちらです」
案内された応接室でしばらく待つとドアがノックされた、扉が開き年配のドワーフが入ってくる、背は低いが筋骨隆々で逞しい、いかにも頑固職人って感じのドワーフだ。
「お待たせしてすいやせん、あっしがこの店の店主のライノです、兄さん達がペーギの旦那からの紹介のお客さんで?」
「はじめまして、俺の名はユイトって言います、ペーギさんから王都で装備を探すならこの店が1番だと教えて貰って来ました」
サクヤ達が順番に挨拶をするとライノさんの表情が変わった、何かを思い出す様に目を瞑り眉間に皺を寄せている。
「ユイト…サクヤ…アイギス…!?兄さん達もしかして勇者ユイトとその仲間達ですかい!?」
「え…えぇ、勇者ではありませんが俺達の関わった事件が芝居になっているみたいですね…」
「いやぁ、それならそうと早く言ってくれればいいのに!あっしはあの芝居が大好きでもう5回も観に行ったんですよ!そう云えば今日から続編が上演されるって話でしたな!仕事が終わったら観に行かなきゃ」
塞がったばかりの心の傷を抉られてしまった、本人に悪気が無いのは分かるが俺のテンションが下がってしまう。
「そんな勇者さん達があっしの作った装備を使ってくれるなんて鼻が高い、なんならオーダーメイドで何か作りましょうかい?腕によりをかけますぜ」
「勇者は辞めて下さい、俺の装備じゃなく仲間達に何か良い装備が有ればと思っ出るんですが」
「ふーむ、確かに芝居でも勇者ユイトの仲間達は魔法で戦い武器を使っちゃいませんでしたな、商売柄そういった所は気になるんですよ」
「俺の仲間達は皆魔法を主体に戦うんで魔法使い用の装備の方が良いとは思ってます」
サクヤ達は基本的に敵から距離を取り戦う事が多い、接近戦も出来なくはないがこの世界でら魔法使いの戦い方と1番似ているだろう。
「そうでやんすな…お嬢さん方の得意属性はわかりやすかい?まずはそれに沿って考えてみやしょう」