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117 王都散策

「いらっしゃい!良い魔道具が揃っているよ!ちょっと覗いて行かないかい!?」


「王都名物キングラビのホットサンドだ!これを食べなきゃ王都に来たなんて言えないよ!」


バルメス家の使用人さんに馬車で繁華街まで送って貰った俺達は商店や出店の並んだ大通りを歩いていた、アイロンスティールやザラキマクの賑わいとは規模が違う、王都グランズの街は流石は首都だと思うには十分な迫力だった。


「ユイトくん、何か買いたいものがあるって言っていたけど何かしら?そろそろ教えてもらえると嬉しいな」


「それは店に着いてからのお楽しみって事で、ペーギさんの言っていた店はこの辺りの筈だけどな…」


使用人さんは俺の目当の店まで馬車で送ってくれると言ってくれたが断った、昨日はあまり気ならなかったがバルメス家の馬車は目立ち過ぎる、こんな大通りで馬車から降りるとたちまち皆の注目を集めてしまうに違いない。


「ユイトさん、今手渡されたチラシに気になる事が書いてあるんですけど…」


「どうしたサクヤ?美味しそうな食堂の宣伝か?昼飯はそこにするか」


「もう!私が食べ物にしか興味ないって思わないで下さい!コレです!」


サクヤが突き出して来たチラシに目をやると剣を持った凛々しい青年とその仲間らしき美女が描かれていた、演劇のチラシの様だ、なになに…『勇者ユイトと仲間達の続編!勇者と海竜、本日より上演!』


「ちょっと待て!これってひょっとしなくても俺達の事じゃないか!」


「間違い無く私達の事ね、サクヤ、どこでこのチラシを貰ったの?」


「すぐそこです、あっ!あの派手な服を着ている人に貰いました」


サクヤが今来た道を振り返りピエロの様な格好でチラシを配っている男を指差す、辺りにはチラシを貰いに来た人達が集まっている。


「さぁさぁ、勇者ユイトの冒険譚!次の舞台は港町だよ!前作で悪の領主から街を解放したユイト達!今度の敵はモンスターの大群だ!本日封切り、チケットは残りわずかだよ!」


「モデルとして分け前を貰うべき、主さま、話を付けに行く?」


「いや…今俺は恥ずかしくて死んでしまいそうだ、出来るだけ早くこの場を離れたい」


迂闊だった、アイロンスティールとザラキマクで大勢の前に担ぎ出された時点でこんな事になるのは分かっていた筈だ、せめてもの救いはこの世界にカメラやビデオの様な魔道具が無かった事だな。


「私はちょっと見てみたいですけどね、どうですユイトさん、いっその事吹っ切れて皆で観に行きませんか?」


さっきの仕返しかサクヤが意地悪そうな笑顔で俺に問いかける、やめてくれ、俺の精神は崩壊寸前だ、どこか静かな場所に行きたい。

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