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111 エナハイ家の跡取り息子

視線が交わった男が忌々しい物を見る様な表情へと変わる、ラッカさんの話を聞く限りコイツはビズミスと同じタイプの貴族だろう、一目見て俺を貴族では無いと判断した様だ。


「…お騒がせして申し訳ありませんでした、本日はこれで失礼させていただきます」


男は先程の芝居がかった語りとは別人の様に感情の無い声で謝罪の言葉を放つと仲間を連れて逃げる様に屋敷の庭から出て行った。


「すみませんラッカさん、俺達のせいで迷惑を掛けたみたいですが…」


「なんだいアンタ達見てたのかい?気にする事は無いよ、コレはアンタ達が持ち込んだ問題じゃなくて貴族間の問題だ」


「そう言って貰えると気が楽になります、あの鎧姿の連中がさっき言ってた侯爵派ですか?」


「そうさ、私が王都に戻っていると知らないで連中慌ててたみたいだけどまさか正面からウチに乗り込んで来るとは思わなかったよ」


貴族間の力関係の事は良く知らないが階級が上の貴族の屋敷に白昼堂々と武装して集団で押しかけるのは普通では有り得ないだろう。


「大方エナハイ家の小僧が調子に乗ったんだろうよ、あの家は昔から異常な程に平民を嫌っているんだ」


「あの芝居がかった男の事ですね、ラッカさんの威嚇に怯えて無いのはあの男1人だけでした、立ち居振る舞いから自分の実力に自信が有るか実力差が分からないバカかのどっちかだと思います」


「うーん、そのどっちもってのが正解だね、まぁ続きは部屋に戻ってゆっくり話すとするよ」


部屋に戻るとメイドさんがお茶の準備をして待っていてくれた、あの騒動の後にも関わらず使用人の皆は落ち着き払っている、ラッカさんが騒動を治めると信じきっていた様だ。


「で…さっきの話の続きだ、エナハイ家の小僧、名前はブーチって言うんだけど剣と魔法の実力は貴族の若手の中で1番って言われてる」


「じゃあ実力のある馬鹿って事ですか?始末に負えないな」


「実力の有る馬鹿か、中々的確な表現だね、ブーチは貴族の子弟達の闘技大会で何年も連続で優勝してるヤツなんだ、とは言っても出場するのは貴族の子弟だけ、エナハイ家は侯爵家で位も高く武門で名を成した家だから忖度も有っただろうね」


八百長で得た勝利を自分の実力と勘違いしていると言う事か、おそらくそんな事に本人は気づいてないのだろう、正にピエロだな、そう考えると少し可哀想に思えてきた。


「なんだか色々と面倒くさそうなヤツですね、できれば関わりたくないなぁ」


「あぁ、あのタイプの人間を相手にすると妙に疲れる、今日はもうゆっくりしたいよ、決めた、私は風呂入って酒飲んで寝るよ、そう言えばアンタ達酒は飲めるクチかい?」


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