ユニークな作文シリーズ その4 「まりえという人がいた」を読んで
実業高校で、進路の仕事を担当している時、就職希望者ばかりなのに、広告宣伝のため、いろんな大学からの、いわゆる大学新聞を、たくさん貰っていた。拾い読みしているうち、おもしろいコラムをみつけて、
これは生徒たちにも読ませたいと、マスプリして読ませた。
その感想文の中から、ぜひ紹介したい一編を公開する。
この文章を初めて読んだ時、文章の内容がよくわかりませんでした。わからない語句が多かったからです。例えばパート2の塩谷先生の休講の理由を、まりえさんが当てた、という話の中に「ていたらく」という言葉がありました。辞書で調べたら、「ありさま、ようす」と書いてあったので、ああ、なるほどそうか、と思ったりしました。
この文章で一番印象に残った場面は、パート3の、まりえさんが小学校に行き始めた頃の話です。
ある日、遊びに出かけたまりえさんが帰って来なかったので、心配したお母さんが捜しに行くと、道路のそばで、おばあさんが、蟻の行列に話しかけているのに、まりえさんも付き添っていたというのです。知っている人ならともかくも、見ず知らずのおばあさんに、それも、蟻に話しかけているような変なおばあさんに、いろいろ話しかけたりするなんて、考えられないことです。夕方になっても、いつまでも家に帰らず、おばあさんのそばにいたといいます。それて、まりえさんのお母さんが、「この子は、だれかをしあわせにはできても、自分は不幸になるのでは、…………」と心配したのもわかるような気がします。でも、私は、まりえさんのようなすばらしい人にあこがれる気持ちも、ちょっぴりあります。この話を聞いたある人が、「おばあさんはボケていたんだ。蟻と話ができるわけはない」と言った時、まりえさんは、「自分にできないから、他の人もできないって、きめてしまうんですか」と言い返します。すばらしい勇気と考え方だと感動しました。私にも、まりえさんのように、思ったことをきっぱりと言える勇気が、少しでもあればよいのに、と思います。
パート2にもどって、「十二人の怒れる男」という映画を途中まで見て、誰から順に立場を変えるかという予想をさせた時、まりえさんだけが、全部、当てたというのも、すごいと思います。先生の休講の理由を当てたのもすごかったし、ほんとに、まりえさんには、神秘的な魅力があるような気がします。
先生が言っているように、「神々が我々をあわれんで、目の前につかわされた人」という、こわいようなすごさを感じます。先生が、「まりえのことを書きたい」という気持ちになったのも、わかるような気がします。
そんなまりえさんも、やっぱり普通の女の子なんだなあという場面があります。それは、「それで」というべきところを、「せえで、せえで」と言うので、せんせいが「せえでちゃん」というニックネームをつけたら、とたんに、「せえで」と言わなくなったという場面です。はずかしくてたまらなくなって、二度と言わないよう努力したというところが、とってもかわいいと思います。私と、そんなところは共通していると思って、うれしくなります。偉すぎるまりえさんは、ちょっとこわいけれども、やっぱり女の子なんだなあと思うと、ほっとします。
私は、まりえさんが好きです。でも、まりえさんのコピーにはなれないと思いますし、なりたいとも思いません。まりえさんのすばらしさを自分流に取り入れて、少しでも、あの魅力の一部でも身につけられたらいいなと思っています。
「信じていることには、証拠も証明もいらない」と先生も書いています。他の人がどう言っても、自分が信じていれば、まりえさんのように、強く生きられます。これからは、私も、そういうてんを見ならいたいと思っています。
まりえさんも、その個性を認めた先生も、その話に感動して感想文を書いた生徒も、みんな、いきいきしている。こっちまで、そういう気持ちが伝わって来るような感じ。
それで、公開した。