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回胴式優義記  作者: 煙爺
第二章
80/171

アンサーナイト

(んー……アカンな…上がって来んわ…

こら無理や撤退撤退)


ウィーン………


店を出てPN店近くまで戻るアタル

時刻は18時39分もう外はすっかり暗い


カーンカーンカーン


踏み切りに捕まりK駅行き急行の通過を待つ

ゴーッ…と目の前を通過して行く電車には

仕事帰りのサラリーマンですし詰め状態だ


あれから……

結局アタルの台の56判別はアウト

その一方でミヤマサの台はすぐにBIGを引き当てその後見事に設定5が確定していた


そしてアタルは5千円の負けを抱え

KY店を見に行ったのだが…

1番BIG回数の付いていた台が空いていたので

判別をした結果……

更に4千円の負債が増えてしまった

これで合計9千円のマイナスだ


(SS判別あるから結構すぐわかるけど…

まだ世間には発表されて無い判別やし

有利は有利やねんけど…

入って無いもんは判別しても一緒やからなぁ

さてと…ほんならマサやんからベルに連絡あるまで待っとこかな…)


売店で買ったスポーツ新聞を持ち

隣にあるゲームセンターのベンチに腰を下ろした



ブーブーブー


(おっ?何かあったか?)


ベルを出し数字を見ると

4951で至急来い

(至急!?何や)


スポーツ新聞を乱暴に折り畳み後ろポケットに突っ込むと走ってFN店に向かう


10秒程で到着

するとマサやんが駐輪場に停めたバイクの前に立っていた


「マサやん!どないしたん何で1人なんや!?」


「大変やアタル!」


「だからどないしたんよ!?」


「空いたんや!」


「空いた!?……何が?」


「一番出てた右2のニューパルや!」


「……マサやん…

そういう時は49(しきゅう)使わんで84(はよ)やって言うたやん…

しかも今日なんか隣のゲーセンか

ちょっと先のKY店におるのわかってるんやから台にタバコ入れて呼びに来てや

わざわざ公衆電話使わんでも……」


「ハッハッハ、いやそれはわかっててんけどな?ホンマに49使ったらすぐ来るんかなー

思て試してみたんや訓練や訓練」

そう言うとイタズラが成功したという

したり顔でニヤリと笑った


「……アンタなぁ非常ボタン押したなった

中学生ちゃうんやから変な実験すんのやめてぇや…」


「スマンスマンもうやらんて

ほんで右2にさっきアタルから100円で買った サラのセッタン入ってるからな」


「了解、後で返すわ」


「しかしアタルは変な事すんなぁ…

タバコ吸わんのに何で交換してん?」


「いや急いでたから10時半まで待つの嫌やし

かと言うて打ち込んだら勿体ないやん

バニーガールなんか知らんしな

ていうかナナロクとか8枚は出たコインで

タバコ取るのが一番得なんやから

マサやんもFN店の上限の5箱はコイン出たら

毎回交換せなアカンで!節約や節約

バイク買うんやろ!?」

(低換金で打つ喫煙者の基本やろ)


「お、おう…が、頑張るわ」


というぎこちない返事を聞いたアタルは

そのまま颯爽と店に入って行った



時刻は19時

流石に駅前店という事もあり

仕事帰りの人達で賑わっている

店全体の5〜6割程は客が付いており

スロットコーナーも一番人気のビーチガールを筆頭に新台のジョーカー、ニューパルサー

スーパーヘビーメタルと中々の稼働率だ


(チャレンジマン以外は結構客付いとるな…ていうかチャレンジマン朝から全く動いてないけど大丈夫なんか?)


謎のこだわりを感じるチャレンジマンのシマを通り過ぎニューパルサーの右2に着席

頭上のデータを見ると

ボーナス間ゲーム数は572を示していた

ボタンを押して早速データを確認


(572ゲームって事は下皿コイン呑まれてヤメたんかな?ほんで確率は……

4483回転のBIG18にREG12か…

えーと……えー……

BIGが249でREGが374ぐらい

設定56の中間やから全然いけるな

確か16時の時点でBIG15のREG7やったから

あれから3時間でBIG3回しか当たらんかって

嫌になったんやろな…)


判別するは価値十分にある

そう考えて早速判別を開始する事に


すると…


いとも簡単にリミットクレジットが上がっていく右2のニューパルサー

(あー…こらあるわ、しかも上がりが速いから6ちゃうかこれ?)


しかしボーナスが全く当たらず

9枚目の千円札をサンドに投入

頭上のゲーム数は849ゲームを示している

(かぁー…こら中々のハマりやな……

判別してるから大丈夫やけど、してなかったらヤメる気持ちも分かるわ…)


そんな事を考えていると…


(あっ!…覗きガエル!こんな時に……)

停止したのは

左リールが7・ベル・リプ

右リールがチェリー・リプ・カエル


そして中リール……


問題児である枠下カエルがこちらを見ている


あの一件以来

以前は全幅の信頼を寄せていた

このガセ2確目に疑心暗鬼なアタル

恐らくは右リール上中段にボーナス絵柄が停止すればボーナスだとは思っているのだが…


恐る恐る1枚掛けで中リールからボーナスを止めていく

(頼むでホンマに…)


ジリリリリリ


とファンファーレが鳴りBIGがスタート

ホッと安心し消化を始める

(毎回毎回……あの覗きガエルが出る度に

変に緊張すんねんから……問題児め…)

そんな御門違いの恨みをぶつけながらも

無事にBIGは終了

いよいよ答え合わせの時間に入った



「…大変残念では御座いますが23時を持ちまして本日の営業は終了とさせて……」


閉店のアナウンスと蛍の光が流れる中

アタルは下皿のコインを箱に入れながら

頭上のデータを確認

7221回転 BIG27 REG23

(えーとBIGが267でREGが314か……

相変わらずバケのヒキだけは強いわ…)


ニューパルサーのデータをチェックした後

カウンター前にあるコイン精算機にコインを

流し、何気なく新台のジョーカーを見ると

もう誰もいない様子

ピーっと鳴った精算機からレシートを取り

新台のシマのカド台のデータ機を見た

表示は8366回転 BIG33 REG29

(ほぉー…こらエエ台や判別してたし多分56なんやろな………ん?)


ふと台に目をやると変わった事に気がつく

カド台を含む2〜3台がクレジット表示が1

若しくは2残った状態になっている

(……ははぁ…なるほど…あのニィちゃんか

この店は今ソレが効くんやな…)


足元に落ちていたコインを拾って

ニューパルサーのシマに戻り

右2にコインを投入、そしてすぐシマを離れた


カウンターに行き景品を交換し

余りコインでセブンスターを1箱交換

換金所に文鎮を出すと出てきた金額は

15500円


本日の収支(FN店KY店合計)

総投資18000円

回収15500円+売ったタバコ代400円

トータルマイナス2100円


FN店781番台(右2を自分で回した分)

2738回転 BIG9回 REG11回 1206枚

判別結果 設定6


(まぁ2千百円負けはエエけど……

KY店の判別は余計やったかな?

いやどうやろ…あの時点では一番強かった台やったけど……

何日も様子見する程ヒマちゃうし

あれはあれで良かった事にしよか)


そう自分なりに納得し

ミヤマサの待つ駐輪場へ向かった



コンビニ前に着きバイクを降りる2人

田舎ならではの広い駐車場にある

車止めの縁石に腰掛け話し始める

「マサやん今日はお疲れさん…

ほんで左4どうやった?設定5やったんやろ」


その質問に自分のメモを見ながら答える

「おう!えーとな……

1269枚で1万5千5百円勝ちやな

アタルは?判別出来たんやろ?」


「落ちたで右2は設定6やったわ

でも今日はFN店で1万5千円

KY店で4千円使ってるから

トータルは2千百円マイナスや」


すると喜びながらも何か納得のいかない表情を浮かべるミヤマサ

「おぉ!ほんなら1人……えーと…

6千7百円勝ちや……

何や設定5と6取ってんのにショボいなぁ…」


アタルが宥める

「まぁそらしゃーないわ…

打ち始めた時間も遅いし2人合わせたら4台打ってるしな…その代わりに色々情報は掴めたで」


「まぁ…そやな あの店がいけるってわかっただけでもエエ情報やな」


「そやろ?あっそや…マサやんちょっとメモ見せてや」


「ん?おぅ」


メモを受け取りデータをチェック

(6074回転のBIG23にREG12か…

BIG264でREG506か

マサやんが打つ前は

1567回転のBIG5回にREG5回やったから

この台今日殆ど出てへんな…)


感想をミヤマサに告げる

「トータルしても設定3と4の間ぐらいの確率やし今日はあんまり出てへんなこの台」


するとミヤマサからアタルと似たような発想が飛び出した

「そうやなぁ……

ホナ明日もう一遍おんなじ台行ってみるわ

そのままかも知れんしな」


思わず笑ってしまうアタル

「ハハハハ

それを[据え置き狙い]って言うねん

ほんで設定上げそうな台を狙うのが

[上げ狙い]や

あの店は据え置きが多いみたいやから

エエ狙い目やと思うで」

(流石マサやんやな、もう1人で大丈夫そうや

最後にお土産だけ渡しとくか)


「へぇー…据え置き狙いに上げ狙いか

そのまんまの名前やな…」


「まぁな ほんでマサやん ついでにお土産があんねん」


不思議そうな顔をするミヤマサ

「お土産?またタバコか?」


「ちゃうわ!実はな…帰り際に新台見たら

あのニィちゃんが打ってたカド台と他に何台かクレジットが1か2残った状態でヤメてたんや」


「ふーんそんで?」


「マサやんはまだ知らんかったかもしらんけど……実はクレジットのコインは設定変えたら消えるんや」


「えぇぇ!!?ほ、ほんなら……」


「そや…多分あのニィちゃんが明日も狙う為に仕込んだんやと思うわ

ほんでな流石にクレジット1残しは出来んかったけど俺も咄嗟に自分の打ってた台にコイン1枚入れて来たからな

明日行って1枚掛け残ってたら据え置きの可能性高いと思うで

一応出目も教えとくわ

上段7テンパイの右リール中段7や」


それを聞いて暫く呆気に取られていたミヤマサが口を開く

「あのニィちゃんもアタルも……

ホンマに抜け目無いな……

その脳ミソをちゃう事に使った方がエエんちゃうか?」


「交通安全週間まで計算に入れて無免でバイク乗るマサやんよりマシや!」


そんなアタルのツッコミが静かな深夜のコンビニに虚しく響いた


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