2ndシーズン
やっとの思いでゲームセンターに到着し
一旦止まって地図を確認する
「えーと…」
(次の信号を右に曲がってクリーニング屋の
交差点を左折した突き当たりか)
ゲームセンター前の横断歩道を渡って道路の右側に寄り、再びゆっくりと自転車を漕ぎ出す
(しかしあの2人がN店におるとはな
顔見てやっと思い出したわ
あんな子もおったなぁ…
ほんであの先輩っぽい子が俺を呼び出した
松茸かな?ハハハ アカンわ カオルさんが変なアダ名つけるから先輩の名前が松茸で固定されてもうたな)
あの3人の後ろを通り過ぎた一瞬 目が合ってドキッとしたがすぐに目を逸らされた為
気付いていないと判断しそのまま店を出た
(あんなキョロキョロしとったら
中学生丸出しやな
俺も昔は他人から見たらああやったんかなぁ
それにあの松茸先輩は3年なんか?
せやったらあの人の知り合いかもな)
地図通り進みクリーニング屋の交差点を曲がったところで目的地であるカオルの家が見えて来た
オレンジ色の屋根に
白い外観の綺麗なアパート
2階建ての建物の横にはアムール岩口と書いてある
(よしここや 結構大きいアパートやな)
横にある階段を上がり2階の1番手前にある
部屋を見ると時田と書かれた表札がある
預かった鍵で静かにドアを開け
(お邪魔しまーす)
心の中で挨拶してから中に入った
中は広く廊下の途中には3つのドアがあり
奥にはリビングとキッチンが見える
しかしやはりというか脱いだ服や
スロットの攻略本などが
いたるところに置かれており
お世辞にも綺麗とは言えない
だが大抵男の1人暮らしならこんなものというぐらいの汚さだ
(片付けてもエエけど他人の家やからな
勝手に触ったら場所わからんようなるかも
知れんしビデオ予約だけしてサッと帰ろ)
リビングのテレビ前にあるビデオの場所に行き テーブルのリモコンを操作する
横に置いてあった新品のテープを入れ
日時と3倍録画の設定をして決定を押し
録画予約は完了
その時ふとテレビの上に置いてある写真に
目が行った
今よりも少し若いカオルが中年の女性と
肩を組み笑いながら写っている
よく見ると目元と口がカオルそっくりだ
(母親か親戚か…よお似てるし…………
いや…余計な詮索せんと帰ろ…)
すぐにリビングを出て玄関に行き、一応忘れ物の確認をして外に出た
鍵を閉めたことをしっかりと確認し
階段を降りてアパートを後にした
自転車を漕ぎ来た道を戻る
再び信号のある広い国道まで戻って来た自転車はそのまま反対方向へ進む 目指すはG店だ
(折角ここまで来たし一応な)
道の反対側に見えるG店を少し通り過ぎ
横断歩道を渡ってG店へ
ビルの1階部分にあるG店は
こぢんまりとした外観に
入口の上に赤い字でパチンコと書かれた看板の周りをピカピカと電球が光り
何だか街に溶け込んでいるような店だ
店に入ると予想通り店は小さく通路は3本しかない
スロットコーナーは僅か20台
ニューパルが10台にコンドルが5台
バニーガールが5台のみ
ニューパルとバニーガールにはそれぞれ
3人程の客が座り楽しそうに打っている
コンドルはゼロ
そのバニーガールは1人のオジさんがBIG中で
周囲には草競馬の軽快なメロディが流れ
台の上に設置されたパトライトがクルクルと回る
(平和な店やなー…きのうのW店と正に正反対やな)
少し見て回ったが流石に見るものも少なく
すぐに店を出た
次はU店を見に行こうと駅の方に向かって
自転車を漕ぎ出す
(しかしカオルさんはよぉあの店でジグマやってるな、失礼やけどあんまり出てるようには見えんかったけど……まぁなんか行く理由があるんやろな)
何回も山村と通った懐かしい道をひたすら東へと向かうこと20分
やっとU店が見えて来た
久しぶりに見たU店に何だか嬉しくなる
(何か帰って来た!って実感が湧くな
はよ見に行こ)
自転車を停め 何故か早足で裏口から店内へ
入ってすぐにスロットコーナーを見て
ある光景に愕然とする
タカシーとニューパルは変化無し
ニューパルには9人
タカシーには6人が座り
ニューパルの客は4人がタカシーの客は2人が
箱を使っていた
どちらもなかなかの人気だ
コンチⅢは3人しか座っていないが1人は箱満タンのコインを持っている
どの機種も平日のこの時間にしてはいい客付きだ
しかし肝心のコンドルの客は…ゼロ
更にボーナス回数もゼロ、ゼロ、ゼロ……
回転数も1と2ばかりと全く稼働が無いのが見て取れる
台の上には 高設定オススメ台!
という札が虚しく刺さり
コンドルならぬ閑古鳥が鳴いていた
(平日のこの時間でこれだけ稼働ある店で
客ゼロって……
この1カ月で完全に客飛んでるやん……
ある程度予想しとったけどこの客付きのイイ店でこの稼働は予想外やったわ
17時半過ぎたら流石にちょっとは稼働するやろうけどこれは不味いなー…
この時代やから簡単には外れへんやろうけど
しかしこの状況でいきなりは打てんで…
ナナロクやし…
山村さんに相談しよかな…でも稼働中やろうしな)
とりあえずデータランプ横にある緑のボタンを押し前日のBIG回数をチェック
全ての台をチェックすると
最高は内カドの322番台でBIG6回
他は1〜3回だった
(日曜日で最高6回って……回転数とREG回数はわからんけど絶対1000も回ってないやろ…
これは怖いなぁー…負け覚悟で回すか
それとも帰るか…甘い台やからナナロクでもトータルで見たら負けはないやろうけど…)
通路の端に立ち悩む
約1カ月間この店を見ていなかったことが仇となりなかなか決断出来ないでいた
そしてようやく
(うーん……良しここは一旦帰って19時ぐらいに様子見に来てその状況次第で
明日の朝イチから来るか決めよか
一旦 退却や)
出した結論は一時撤退
そうと決まればサッサと帰って今の内に夕食を摂ろうと自転車置き場に向かう
裏口から店を出て自転車置き場に向かおうとすると自販機の前で店員がコーヒーを買っていた
見ればあの山村と話していた店員だ
白いカッターシャツの腕を捲りコーヒーを何本も抱えている
タッタッタッタ
っと突然 後ろから足音が聞こえ
パッと振り返れば若い男が駆け足でアタルの横を通り過ぎて行った
その男が店員に挨拶する
「お疲れ様でーす」
店員も振り返って挨拶を返す
「おっ お疲れさん」
どうやら時間的に早番の店員の帰宅時間のようだ そのまま若い男は帰っていった
振り返った際に気付いたのか
白いカッターシャツの店員がアタルに気付き
話掛けて来た
「今日は山さんと一緒ちゃうの?」
(山さん?…あぁ山村さんか 適当に答えとくか)
「あぁ最近会ってないんでよぉわかりませんわ」
「ふーん またどっかで悪さしてんのかな
そう言うたらニイさんも久しぶりやな」
「さ、最近ちょっと仕事で地方行っとって来れんかったんですわ
ほんで久しぶりに帰って来たもんやから
ちょっと覗きにハハハハ」
「そうかぁ 新台のクランキー全然客おらんかったやろ?あの台打てる人間が打たんと全然出えへんみたいでな
他所の店でも全然出てへんみたいで店長も困っとったわ
まぁ良かったら打って行ってや
設定は知らんけどエエ台入ってるみたいやからな ほな頑張ってや!」
「あーそうですかー ほなちょっと打たして貰いますわ 久しぶりやしハハハ」
そう言って店員は去って行った
(これは直訳すると
全然客付かんから困ってる
打てる人間に打って客寄せして欲しい
設定は立場上言われへんけど高いよ
だから頑張って夕方からの増える仕事帰りの客を寄せてね
ってことでエエんやんな?そうやんな?)
そう解釈したアタルはすぐにUターンし店の中へ
真ん中の317番台に座りサンドに千円札を入れた
(山村さんが帰ってくるまでは
俺がサンダーバードになるしかないな!
2代目……は無理やから代行や
サンダーバード発進!)
こうして始まった久しぶりのU店実戦
初当たりは投資11000円から始まった
(ひょっとして…騙されてる!?)
疑心暗鬼になりながら




