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第十二話 兵士は甘美なものに出会う


 二人はショッピングモールから出ると種崎を先頭に歩いて行く。要は種崎について行っていると、海岸の方へ向かっていることに気がつく。


「こっちに何かあるのか?」


 要はこの辺りについて詳しくはなく種崎の目的地がなんなのか想像つかない。一緒に海岸沿いを歩こうと言うわけではあるまい。


「あんた知らないの? あそこはとってもいい場所なのよ」


 行く場所が楽しみなのか種崎は笑顔で話した。その種崎の様子からどんな場所なのか気になる反面、お金がかかるのではと気がかりになる。


 しばらく歩き要たちは住宅街に入った。おそらくここを抜ければ海岸の方へ出られるはずだ。


 そして住宅街を抜け二、三分ほど歩くと海岸沿いに着いた。しっかりと整備されており散歩コースにでもなっているのか歩いている人がちらほらといる。

 ここに種崎の行きたい場所があるらしいのだが、要の視界にそれらしいものは映らない。


「なあ、ここがお前の行きたかった場所なのか?」


「そうよ。確かこの辺りに…………、あそこよ!」


 首を回しながら目的のものが見つかったのか種崎は指をさす。要は指差す方へ向くとクレープを売っている移動販売車があった。


 要は納得する、そういえば種崎は甘いものが大好きであり、大食いである。ここのクレープが食べたかったから来たのだ。種崎がわざわざ来たかったのだから美味しいのだろう。

 待ち遠しいのか種崎は駆け足で近づいて行く。


「なにボサッとしてるの、早く来なさい」


 無垢な笑顔を要に向け種崎は手招きする。要は一瞬、その笑顔にドキッとしてしまう。だがすぐに隠すよう頭を掻きながら近づいて行く。


「ったく、早く来いってどうせ俺が買うんだろ」


「別にいいでしょ。せっかくだしあんたも何か食べたら?」


 確かにここのクレープの味が気になる。値段もあのパフェよりかはだいぶ良心的だ。


「まあ確かに。じゃあ俺はこのチョコバナナにしようかな」


「じゃあ私はベリーベリーで」


「なんだそれ、ベリーベリーって」


「ストロベリーとブルーベリーよ。普通は分かるでしょ」


 クレープにはそのような呼び名があるのだと要は初めて知った。


 二人は頼んだクレープを受け取ると、近くのベンチに腰掛けた。当然クレープのお金は要が支払った。


 まず種崎が一口食べると、

「んーー、おいしい! 評判通りの味ね」


 満面の笑みを浮かべ片手を頬にやりおいしそうに食べる種崎の反応に味が気になってしまう。

 そして要もクレープを口に運ぶ。その瞬間、口の中に甘さが一気に広がった。


「う、うまい……」


 心からそう思えるほど美味しい。決してくどくない甘さだが、食べる手が止まらない。それに使用している物がいいのだろうか、中に入っているバナナとチョコが絶妙にマッチしている。


「どう? おいしいでしょ」


 なぜか自慢げな種崎だが否定できない。


「どこでこのクレープを知ったんだ?」


「口コミよ。ネットでも使えばいくらでも情報は手に入れることできるでしょ」


 ということは軍事施設のパフェもネットから仕入れたということになる。ネットに軍の情報があるのは大丈夫なのだろうか。まあ要が気にする必要はないのだが。


 二人は美味しさのあまり黙々と食べ続け、ものの数分で完食した。



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