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Phantom Song  作者: 聖 聖冬
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唯の休日2

ドアの奥に立っていたのは、両手に沢山の荷物を抱えた天音あまねだった。


無言でドアを閉めようとすると、靴を挟まれてギリギリで阻止される。


こいつが来た時は必ず良い事が無い、と言うか災難しか起きていない。


以前住んでいた家では、二ヶ月に一度のペースで家に来ては一週間程居座られていた。


その前の家では近かった事もあり、一ヶ月に必ず家に一度来ては、勝手にキッチンを使われて片付けに三時間掛かった。


更に使っていた皿を半分くらい割られて、片付けの際に何箇所か指を切って入浴の際に痛い想いをさせられた。


勉強を教えろとせがまれたり、夏休みの不得意な課題を手伝えなど、休日があれば尽く潰して行くブラックを極めた現役の高校生。


「回れ右して帰って高校生」


「待って待って聖冬おばさん」


「早く帰れ。ここにはお姉さんしか居ない」


「あー今のは私が悪かったよ聖冬さん、夏の補習は何とか回避したいのー」


ドアの隙間から部屋に入り込んだ影を目で追うと、天音が家で飼っていた猫のライオットだった。


玄関の守りを放棄してライオットを追いかけ、ソファー目掛けてジャンプした瞬間を狙って掴む。


「ライオットは相変わらず茶トラねー」


「あー、付いて来ちゃってたんだライオット。と言う訳でふたりお願いしまーす」


「仕方が無いか、ここはライオットに免じて教えてあげる。勿論報酬は体できっちりとね」


「部屋が汚いって事で無しって駄目?」


部屋を見回してみるが、特に汚いという事も無くいつも通りだ。


唯一普通じゃないのは、訪問者が珍しいのか、キッチンの陰からこちらを伺っている心桜だけ。


少し迷ったが手招きをすると、恐る恐る一歩を踏み出す。


「聖冬さんどうせ朝ご飯食べてないよね? 今日のご飯は私が担当するからね」


「いや、もう勘弁して頂けませんか」


「大丈夫だって、私だって成長したんだから」


「どこをどう見ても小さいままだけど」


「起伏に関しては既に聖冬さん超えだから良いの」


言い逃げをするように袋を持ってキッチンに天音が入ると、隠れていた心桜が走ってリビングに走って来る。


同時に玄関のドアを勢い良く開いた鈴鹿が同じく袋を持って姿を現すが、天音を見てフリーズする。


「ドジを超えたサイコパス娘」


「戦闘力八千の戦闘民族」


互いを指差したふたりは私を見て、何かを言いたそうにするが、警戒し合っていて口を開かない。


取り敢えず入ってもらおうと手招きをすると、壁に背を付けながらリビングまで来る。


「これやるよ」


「ありがと」


礼を言って鈴鹿から袋を受け取ると、頭をめちゃくちゃ撫でられる。


「可愛いなお前は、私の嫁か?」


「違うと思う」


「なら嫁にする」


「出来るならどうぞ御勝手に」


ソファーの背もたれにかけてあった高校の時のジャージに着替えて、朝ご飯が出来るのを座って待つ。


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