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今週もよろしくお願いします。

「はーぁい」


「ヒイィっ」


ドアを開けると、目の前にクリスティアンの姿があり、しかも目の高さを合わせているものだから驚きでサラが変な声をあげたのも仕方がない。


「んもうっ、女の子がそんな声を出しちゃだめよぅ」


「ドアを開けたら目の前がクリスティーナさんになっていたら、誰でも驚くと思いますよ」


「まぁまぁ、小さなことは気にしないでちょうだいな。

ところで、サラちゃんはどこかにお出かけなのかしら?」


「はい、クリスティーナさんのところに行こうと思っていたところなんです」


「あらぁ!それはちょうどいいところだったわぁ!アタシもサラちゃんにちょぉっと、用事があって会いたかったのよぉ〜」


嬉しそうにキラキラと目を輝かせるクリスティアンの姿は、そこらへんの女性たちよりも女性らしい。


「はい、じゃあこっちにきてちょうだいな」


そう言って手を取られ、一歩踏み出すと先ほどの廊下の景色から一瞬で、以前来た資料室に移動していた。


「すごい、一瞬で移動した…」


「うふふ、これくらいならお化粧するのとおんなじくらい簡単よぉ〜。

で、フェリクスから話を聞いたんだけどぉ、ちょっとサラちゃんのことを調べさせてくれないかしらぁと思って。


そう、そんなに大したことをするつもりはないのよ、本当にちょっとだけだから。ねっ?」


その言葉とは裏腹に、手を握りずいっと顔を近づけてくるクリスティアンのその目は、興味津々で怪しい光を孕んでいるように見える。


「えぇっと、私も少し気になっていたので魅了や幻術のようなものが使われていないか、クリスティーナさんに相談できればと思っていたんです」


「なんていいタイミングなのかしら!じゃあ先ずは、魔力の流れとそれから新しい魔術が発動してるかとか、なんか呪いでもかかってないかとか、ついでだし魔力の量ももう一度調べてみるのはどうかしら。

あぁでもまた魔力枯渇を起こすといけないから、回復薬を大量に準備して限界まで魔力を使ってみるのもありかしら」


「クリスティーナさん、そんなことしたら私死んじゃうと思うんですけど」


「あぁそれに、アタシに魔力を送ってもらって、殿下との馴染みかたに違いも調べてみたいわよね。質自体も何か違いがあるのか知りたいし、もし目の色を変える魔術を解いてからだと違いがあるかもしれないからそれも調べたいわよね」


「クリスティーナさん聞こえてますか?」


「体内にある魔力と解き放った魔力に違いがあるのかも気になるしな…」


調べたいことをクリスティアンが考え始めると、周りが見えなくなるとは聞いてはいたし、なんとなくそんな姿を見ることもあったがここまでくると暴走もいいところだ。


声をかけられたことにも気がついていないようだったし、しかもいくつか明らかに命の危険を感じるようなものも言っていた。


止めようにも、自分の世界に入ってしまったクリスティアンがこちらに戻ってくるには、まだ時間がかかりそうだ。


止めるにしても、クリスティアンが話を聞けるようになるまで待たねばなるまい。


聞こえないように小さく1つ溜息をつくとサラは、部屋の中の資料を眺めて待つことにした。




この部屋には様々な蔵書があり、魔力の研究についてや魔術の発展に関する資料が所狭しと並んでいる。

と思ってみていると、ロマンス小説のようなものや、題名の書かれていない古い本もある。


その中の一冊を取ろうとしたとき、左端にある本棚の脇が何か光ったように見えた。


「ん?何か落ちてるのかな?」


ちょうど腕くらいなら入る隙間だったので、サラは腕を伸ばしてみることにした。

アクセサリーか何かが反射して光ったのかもしれない。


「あとちょっと、取れたっ!」


見えはしないが、手のひらに収まる大きさのそれは硬く、やはりアクセサリーのようだ。


サラが拾い上げようと腕を戻そうとしても、何かに引っかかっているようで上手くいかず、一度手を離して見ようとした時、信じられないくらいの力でその腕を引っ張られた。




「よし、決めたわサラちゃん!って、あれ、サラちゃん?」


ホクホク顔でそう言ってクリスティアンが振り向いた時、サラの姿は忽然と消えてしまっていた。



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