3-1
恨んでなどいないと、それだけ伝えたい。
言う事を聞かぬ身体を止め、喚き立てる口を御して。
恨みも憎しみも後悔もないと。
そうしなければ、きっと君は自らを呪うだろう。
それでは前には進めない、明日は永久にやってこない。
前だけを見ろ、後ろの事はもう気にするな
恨んでなどいないから。
それが唯一つの
少女は街外れにいた。
足を動かす度に真っ赤な血が落ちていく、右手で押さえる腹の傷から、肩に刺さった何かの破片から。
道を血で汚しながら少女は歩く、行き先もなく、足を引きずるようにして。
ーおい、こっちに来るぞ。ー
ー見たら駄目よ、関わったらこっちまで。ー
どうして、と、聞きたいのはそれだけだ。
傷付けられた事ではない、誰も助けてくれない事ではない。
何もせず、何も関わらず、ただ静かに暮らしていたかった。それだけが願いであった筈なのに、どうして世界はそれを否定するのだろう。
ー取り逃がしやがったな、中途半端な事すんなよ、どうせやるなら。ー
ーそのうち動かなくなる、ほっときゃいい。ー
ぼとりぼとりと血が落ちる、同じ分だけ寒さが襲う。
冷たい、手が、足が、頭が、心が。
ー早く死ねばいいのに。ー
ー早く死ねばいいのに。ー
冷たさに耐え切れず、少女はその場に倒れ伏した。
ここまでだ、歩き続けても結果は変わらない。足を動かすのをやめ、腹の傷を押さえるのをやめ、生きたいと願うことをやめた。ごろりと仰向けになり空を見上げる、天では星が輝いていた。
胸に残っていた最後の熱が失われていくのを感じながら、少女はゆっくりと目を閉じて。
世界が真っ黒になる間際。
見慣れた、落ち着く姿が見えた気がした。




