表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/71

■第56話 ピアノ教室



 

 

小学校にあがってすぐ、アキとナツはピアノ教室に通いはじめた。

 

 

 

幼馴染みのダイスケも何故か行きたいと言い出し、3人仲良く同じお稽古

バッグを手に週に1回そのクラスへ向かった。

 

 

ピアノをはじめた当初から一番張り切っていたのはナツだった。


楽しくて楽しくて仕方ない風で、仔犬のようにコロコロと鍵盤の上を

はしゃぐナツの指先をアキは嬉しそうに見ていた。

じっとしている事が出来ずに駆け回るようなナツのメロディーを聴くことを、

アキが誰よりも楽しみ、そして喜んでいた。

 

 

なんでも要領よく器用にこなしてゆくナツと、要領は然程良くないが

何事もじっくりと進めるスロースターターのアキ。

子供ながらに双子でもこうも違うものかと、アキは感じていた。


まったく違うタイプのナツが、自慢だった。

ナツと一緒に通うピアノ教室が楽しくて仕方なかった。

 

 

 

 

ピアノの発表会が近付いたある日。


発表会と言っても大きな会場で行う訳ではなく、いつもの教室で家族を

呼んで行うピアノ教室版参観日のようなものだった。

 

 

自宅リビングにあるピアノに向かい、発表曲を懸命に練習するアキ。

ナツはソファーに寝転がってテレビアニメを見ている。


いつも同じ所でつまづくアキが、ガックリとうな垂れ小さな背中を丸めて

いるのが目に入った。 ナツが駆け寄って、その箇所を弾いてみる。

 

 

 

 『ココは、こうやったらいいんじゃな~い?』

 

 

 

ナツの言うとおりに弾くも、どうも指がうまく追いつかない。

泣きべそをかきながら小さい手を広げ、鍵盤を叩くアキ。

 

 

 

 『出来ないよ・・・ どうしよう、もうすぐ発表会なのに・・・。』

 

 

 

アキがぽろぽろ泣き出した。

ナツが慌ててティッシュを取りに走り、アキの頬の雫をおさえる。

 

 

『アキ、一緒にやろう?』 ピアノ椅子にナツとアキふたりでぴったり

くっ付いて座り何度も何度も繰り返し、アキがつまづく箇所を練習した。

 

 

 

 『だいじょうぶだよ、アキ。 だいじょうぶ、だいじょうぶ・・・。』

 

 

 

ナツはにっこり笑って、アキの練習にいつまでも付き合った。

 

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ