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■第47話 笑い声溢れる病室



 

 

ゾロゾロと大勢の賑やかな足音が、遠く廊下から響き段々それが近付いてくる。

病院らしからぬ騒がしさに首を傾げ耳を澄ますアサヒ。

 

 

すると、

 

 

 

 『ぁ、ココじゃね?』  『あったあった!』


 『なんだ男ばっかじゃ~ん』  『先輩泣いてたらどーする?』


 『イジり甲斐あんじゃん?』  『笑っちゃうわ』

 

 

 

病室入口の患者名プレートを目に、部員の面々が佇んでいるという事が

すぐに分かった。


ぷっと吹き出すアサヒ。 

その姿を目の当たりにする前に既に頬がニヤニヤと緩む。

その反面頼りない新部長に内心呆れ顔なのではないかと、一抹の不安もよぎる。

 

 

『失礼シマーっス。』 病室入口の引き戸がガラガラと開くと、

15人ほどの部員が賑やかにやって来た。

その顔は、みな一様に笑顔で、アサヒの顔を見られたことに心から嬉しそうで。

数秒前に感じていた不安など杞憂だと、心からホッとする。

 

 

『ココ病院だぞ!もっと静かに来いよ。』 笑いを堪え切れないアサヒ。

 

 

後輩男子が、可愛いナースがいたと興奮してまくし立てている。

俺も入院したいという声までチラホラ聞こえる始末。

 

 

 

すると、後ろの方にいた小さいナツがひょっこり顔を覗かせた。


真剣な表情で、どこか睨むようにまっすぐアサヒを見る。

ナツはなんて慰めようとしているのか、励まそうとしているのか。

はたまた、恨み言を言うつもりなのか。 

アサヒの胸が重苦しく沈む。思わず不安気に目を落とした。

 

 

すると、

 

 

 

 『コレ・・・。』

 

 

 

ナツがコンビニ袋を掴んだ手を差し出す。 

部員がみなニヤニヤとほくそ笑んでいる。


小首を傾げて中を覗くと、そこには雑誌が3冊入っている。

手を入れて雑誌を掴み表紙を見ると、それはエロ本。 

ロリコン・熟女・女教師の3点セット。

 

 

目を見張ってナツを見ると、その顔は不満気に、しかし笑いを我慢している

感じで言った。

 

 

 

 『じゃんけん負けて・・・ あたしが、さっきコンビニで買いました・・・


  ・・・もぉ、チョー最悪。 店員にめっちゃ見られたし・・・

 

 

  アサヒ先輩がダっっサい怪我して、


  ダっっサく入院とかするからでしょー!!!』

 

 

 

ナツが真っ赤な顔をしてまくし立て、そして笑った。

その顔を見ていたら、アサヒが腹を抱えて笑った。

笑って、笑って、目尻からは涙が流れて。


入院してはじめてこんなに笑った。 心のモヤモヤを全て忘れて笑った

瞬間だった。

 

 

 

 『お前ー! ダっサいとかゆーなよ。 もっと労われ、バカ!!』

 

 

 

あまりにみんなで大笑いするもんだから、ナースが飛んできて注意された。

しんみりしないよう敢えて笑わせてくれる仲間のあたたかさが胸に沁みた

アサヒだった。

 

 


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