■第4話 オノデラ アキ
双子というものは、当たり前にクラスは別々に分けられる。
入学初日。教室前に貼り出されたクラス分けの一覧表に溜息を落とす。
アキは1-A。 そして、ナツとダイスケは1-Cになった。
『せめて、ダイちゃんと一緒だったら心強かったのになぁ・・・。』
ひとりA組になったアキが背中を丸めてポツリ呟く、オノデラ家・姉妹の部屋。
アキとナツ、互いに別々の個室がほしいと思ったことなど無かったため、
高校生になった今でも当たり前に、ふたり一緒の部屋で寝起きしていた。
2段ベットの上に、ナツ。下はアキが使い、勉強机はふたつ仲良く並んでいる。
ベット下段に浅くちょこんと腰掛けアキが口を尖らせる、その夜のこと。
『べっつに、すぐ友達なんか出来るっしょ~・・・』
ナツは上段ベットにうつ伏せになってマンガを読みながら、アキの杞憂に
片手間で返した。
それはアキをぞんざいに扱っているという訳ではなく、今までの経験上
からいってもアキの周りにはいつも人が集まっていたし、友達が出来なかった
ことなど一度も無かった。
いざとなれば、アキの傍には自分がいる。なにも問題などないのだ。
『イジめられたら、飛んでってやるよ~・・・』
ナツの言葉に、アキが肩をすくめてクスクスと笑った。
子供の頃は双子のセオリー通り、ふたりは同じ髪型、同じ服装、同じ習い事をし
なにもかも ”お揃い ”だった。
それに違和感を感じはじめたのは、ナツが先だった。
髪の毛を短く切り、スカートを履かなくなり一緒に通っていたピアノを辞めた。
その代り、アキがやらない陸上を始め、そのお陰で健康的に日にも焼け、
最近では”双子 ”というよりは ”そう言えば似た顔のふたり ”ぐらいの扱いに
なっていた。
マンガに目を落とすナツが、ふと今朝の出来事を思い返す。
(ケッコー速いじゃーん。 ・・・陸上やってたの?)
『あの人・・・ 何年生なんだろ・・・。』
ゴロンと寝返りを打ち仰向けになったナツが、天井をぼんやり見つめて
ひとりごちた。




