表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/71

■第38話 切ない痛み


 

 

ナツを抱きしめていたダイスケが、そっと体を離す。

両手はやさしくナツのコートの腕を掴んだまま、ナツをまっすぐ見つめた。

 

 

 

 『僕にこんなことされても、なんとも思わないんでしょ~?』

 

 

 

小さく笑う、ダイスケ。

 

 

 『いや・・・ビッ・・クリした・・・。』 


かすれた声を絞り出すナツに、ケラケラ笑うと



『ビックリしただけかー・・・』 可笑しそうに体を屈めて笑い続けた。

 

 

 

すると、もう一度ナツをまっすぐ見つめた。

 

 

 

 『僕は・・・ ナツの味方だから。


  誰がなんと言おうと、どう思おうと。 僕は、ナツの味方だから・・・。』

 

 

 

どこか哀しげに頬を緩めて、ダイスケは続ける。

 

 

 

 『だから・・・


  泣きたくなった時は、少しは僕に頼ってよ。


  ひとりで隠れて泣かないでさ・・・

 

 

  ナツは、少し人前で泣いた方がいいよ・・・。』

 

 

 

そう言うと、ダイスケはチョコバーを握る片手を上げて軽く振り

『じゃ、また明日。』と自宅へ入って行った。


ナツはたった今起こった事の状況が呑み込めないまま、その見慣れた背中が

玄関ドアの向こうに消えるのを立ち竦んで見ていた。

 

 

 

 

 

ダイスケは自室に入り、机の上にカバンを置くと、大切そうに掴んだ

チョコバーを見つめた。


あまり仰々しくなり過ぎないよう、相手に気を使わせ過ぎないよう

考えられた、このバレンタインのチョコレート。

 

 

ナツらしかった。

なんでも相手のことを考える、ナツらしかった。


でも、それは自分の気持ちを後回しにするという意味にもなるわけで。

 

 

 

 『ビックリした、だけ・・・か・・・。』

 

 

 

肩をすくめて小さく笑った。

ダイスケの胸も、息苦しいほど切ない痛みが生じていた。

 

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ