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■第3話 オノデラ ナツ 



 

 

アキとナツは、一卵性双生児だった。

顔の造りこそ同一だが、その他はなにもかも違ったふたり。

 

 

”女の子 ”を絵に描いたようなタイプの色白ロングヘア優等生アキと、

”健康優良児 ”を地で行く日焼けショートカットのまるで少年のようなナツ。

そんなふたりの一番の理解者が、幼馴染みのダイスケだった。


今春、そろって3人は双葉高校に入学をしていた。

 

 

 

軽快なペースで走り進むナツの目の前に、同じように走る学ラン姿。 

同校の男子のようだ。

後方から遠く眺めるだけでキレイなフォームだという事が一目で見て取れる。

 

 

思わずランナー気質が顔を出し、追い抜きたくなったナツ。

一気にペースを上げて、そのキレイな背中に追い付き、追い抜いた。


するとその直後、すぐまたその学ランに追い抜かれた。

 

 

 

 

   (くそっ・・・ ムカつくっ!!)

 

 

 

ナツの負けん気が爆発する。


両腕を振り上げ猛ダッシュで再度追い抜き、そのまま校門まで滑り込み辛うじて

ナツの勝利かと思った瞬間、ギリギリ一歩手前で追い抜かれてしまった。

 

 

校門脇で前屈みになり膝に手をついて、ゼェゼェと苦しそうに息をつくナツ。

悔しそうに顔を歪め目線だけ上げるとはじめてその学ラン姿の顔が目に入った。

 

 

 

 『ケッコー速いじゃーん。 ・・・陸上やってたの?』

 

 

 

そう言って、愉しそうに笑う顔。

陽だまりみたいに、やさしくて温かい表情を向ける日焼けしたその顔。

 

 

 

 

ナツの心が、奪われた瞬間だった・・・

 

 


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