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■第2話 春 入学式



 

 

その日、モチヅキ ダイスケは3軒隣に住む幼馴染みのオノデラ姉妹宅の

玄関先で左手首に付けた腕時計をすがめつつ、半ば呆れ気味にリビング奥に

呼び掛けた。

 

 

 

 『アキーー! ナツーー! まだかーーーー??』

 

 

 

ダイスケの声が聴こえなかったのか、反応がない。


ひとつ小さく溜息をつくと、新品の通学靴を脱いで上がり框に足をかけ

玄関に上がった。

そのまま、慣れた感じでオノデラ家のリビングへと廊下を進む。

 

 

 

 『ぁ。 ダイちゃん。 ごめん、もうすぐだから・・・。』

 

 

 

そう言って、真新しい学校指定のカバンを手に2階自室から下りて来たのは、

オノデラ アキ。


紺色ワンピースの制服に水色の襟とカフスが、清楚な雰囲気を醸し出している。

アキは、首の後ろに両人差し指を差し込むと、背中までゆったり垂れる

髪の毛にその指を内側から滑らせるようになぞり、ふんわりとやわらかな毛先を

まとめた。

 

 

『あれ? 片割れは??』 ダイスケがもう一人の姿を探し、見渡す。

 

 

すると、アキが肩をすくめて小さく笑い、

『なんか、走りたいからって先に出ちゃった。』

 

 

 

 『まったく・・・ 入学式ぐらいフツーに登校できないもんかねぇ・・・。』

 

 

ダイスケとアキが、呆れて笑った。

 

 

 

 

 

今日入学式が行われる双葉高校までは、オノデラ家から徒歩で30分弱。

軽く走って15分という距離にあった。

 

 

オノデラ ナツは今日袖を通したばかりの着慣れない制服姿で、高校へ向けて

走っていた。


タラタラと30分も歩くのなんか、性に合わないナツ。

しかも、あの、”のんびりコンビ ”アキとダイスケが一緒に歩くとなると、

時間がかかるのは火を見るよりも明らか。

せっかちなナツには我慢ならなかったのだった。

 

 

 

 『双子でも、こうも違うモンかねぇ・・・。』

 

 

 

ナツは、通学路を颯爽と駆け抜けつつ、ひとりごちた。

 

 


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