表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/71

■第18話 図書委員会



 

 

月に一度、最終木曜日に図書委員会がある。

 

 

 

各クラスの図書委員が集まり、3年の教室で意見を持ち寄り委員向上に

努める為のそれ。

たいして話し合いが必要な重要な議題もなく、一応1時間はみている

予定時間も30分もあればお釣りがくる程度のもの。


それ自体は煩わしいの一言だったが、図書委員全員が集まるということは勿論

アサヒも来るという事で。

 

 

前夜、図書委員会でアサヒに会えることをナツに嬉しそうに話していたアキ。

目を細め頬を赤らめて、自室の机に頬杖をつき顔を綻ばせている。

 

 

ナツはそんなアキの背中を、離れた2段ベッドの上段からぼんやり見ていた。


まるで薔薇の花でも背負っているかのような、恋をしているその背中を

なにも言わず、ただぼんやりと。

 

 

 

アキはその日、朝から張り切っていた。

いつもより少し早く起きて、髪の毛を念入りに手入れし、制服を整え、

ハンカチにアイロンをかけている。


トーストに齧り付きながら横目で見ていたナツ。

 

 

 

 『ねぇ。 委員会って何時からなの~?』

 

 

 

『4時からー。』 ナツの問いに、アキが小さく振り返って返事をした。

 

 

 

 

  (アサヒ先輩・・・ 今日は部活来ないのかな・・・。)

 

 

ナツがそっと目を伏せた。

 

 

 

 

 

そして放課後、委員会が始まる時間が近付いていた。


アキは今回は校舎内で迷わないよう昼休みのうちにルート確認は済ませていた。

胸の前で腕をクロスしてノートを持ち、小走りで進む廊下。

走るリズムに、背中に垂れる長い髪の毛先が左右に踊る。

やはり3年生の教室が並ぶそこは、ただ通るだけで1年生には少し緊張感が

高まる。


3時45分には、委員会を開催する3-Cの教室に到着したのだが、

もう中に入っていていいものか迷い教室入口で中を覗き込みソワソワしていた。

まだ委員は誰も来ていないようだ。

 

 

すると、

 

 

 

 『・・・どした? 入ればー?』

 

 

 

その声に振り返る。

低くやさしいその声の主アサヒがアキの横を通り抜け先に教室に入って行った。


思わず頬を緩めてその背中に続いたアキ。

アサヒは窓側の列の真ん中あたりの席に、適当に腰掛けた。

 

 

 

  (どこに座ろう・・・。)

 

 

 

アキが少し辺りを見回し、特に決められてはいない座席に困った顔を

向けている。

座る席が決められていた方がこういう場合は気楽だというのに、

そんなアキにとって都合いい配慮がなされているはずもなく。

 

 

すると、アサヒはちょっと笑いながら、

 

 

 

 『別に、座り放題だから。 好きなトコ座ればー?』

 

 

 

オロオロしているアキを、机に片肘をついて可笑しそうに眺めている。

 

 

その ”好きなトコ ”が問題だというのに。

勿論少しでも近付きたいけれど、こんなに選択肢が多い中で真後ろや隣りを

自らの一存で選ぶことが出来るアキではない。


そんな風に見られていたら、どこに座ったらいいか余計に悩んでしまうのに。

 

 

 

  (どうしよう・・・。)

 

 

 

赤い顔をしていまだキョロキョロ見回すアキに、アサヒはクククと

笑い声を上げる。


そして、

 

 

 

 『なら。 ココにしときなー。』

 

 

 

自分が座ってる席の右隣のイスを引いた。

窓側から2列目の、アサヒの隣の席。

 

 

コクリ。赤い顔で頷いて、その席へ進むとストンと腰掛けたアキ。

慌てて座った為に少し捲れたスカートを、中腰になってお尻の下に手を

滑り込ませ整える。


窓側のアサヒは、壁に背をつけて寄り掛かり、イスに横向きに座っているため

顔はまっすぐアキの方へ向いている。

 

 

 

  (キンチョーするぅ・・・。)

 

 

 

アキが机にノートを広げ、それに目を落とすフリをして赤い顔を隠していると、

アサヒが思い出したように急に話し出した。

 

 

 

 『そう言えば・・・ 


  オノデラ姉妹の幼馴染みが、ウチのマネージャーになってたよ。』

 

 

 

瞬時にダイスケのことだと分かる。

 

 

 

 『ぁ、はい。 ナツから聞きました・・・』

 

 

 

すると、アサヒが両手を組んで腕をまっすぐ伸ばし、軽く伸びをしながら

ちょっと笑った。

 

 

 

 『なんか・・・ アイツ、変わってんよなー?』

 

 

 

あのときのダイスケから向けられた表情が、ふっと浮かんだ。

 

 

 

 『俺、すげぇ睨まれたー・・・ なんかしたかな~?』

 

 

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ