■第16話 部活終わりの帰り道
『フジエダ先輩って・・・ こないだアキが一緒にいた人だよね・・・?』
部活終わりの帰り道。
帰る方向が一緒のナツとダイスケ。 というか3軒隣に並ぶ家、殆ど同じ家に
帰るようなものだったのだが。
『あー・・・ ん、そうだね。』 あまりその話題、多くは話したくないナツ。
なんとか話を逸らそうと、駅前に新しく出来たケーキ屋の話を振ってみるが
ダイスケは食い付かない。
こうゆう時のダイスケは頑固で、一切自分を曲げはしない。
『アキは、フジエダ先輩となにで繋がってんの・・・?』
追及の手が本格的に伸びてきた。
チラっとダイスケの表情を盗み見るも、その顔はまっすぐ向いたままで
読み切れない。
『えーっと・・・ 図書委員で一緒なんだってさー・・・』
『ふぅ~ん・・・』
ナツはこれで話は終了かと、もう一度ケーキ屋の話に戻そうとした。
しかし、それはアッサリとダイスケが継いだ二の句に遮られた。
『アキは、フジエダ先輩が好きなんでしょ・・・?』
更に否応なしにダークサイドに引きずり込まれてゆく。
居心地悪そうなナツ。
『ん・・・ そうみたいだね。』
ダイスケがまっすぐ前を見たまま、口をつぐんだ。
その表情は、怒っているような呆れているような、哀しんでいるような・・・
ナツはその顔を、少し怯えながら覗き見る。
なんだか、次の言葉は聞きたくない。
『ナツは・・・。』
それだけ言うと、ダイスケがナツを見た。
誰よりやさしくて誰より厳しい、ダイスケのその目。
思わずナツの肩に力が入る。
『ナツは、またピアノの時みたいに他の。見付けるの・・・?』
子供の頃、ピアノを辞める理由をダイスケに訊かれて言った言葉。
(あたしは、他の好きなものを見付けられるから・・・。)
ダイスケの言っている意味は重々承知している。
そんなの分かってる。
でも、
分かってるけど、でも・・・。
『ほら、アサヒ先輩はさー・・・
明るいし、親切だし、ほら。 なんてゆーか・・・
みんな好きなんだよ!先輩のこと。
陸上部でアサヒ先輩のことキライな後輩なんかいないしー・・・』
努めて明るく、身振り手振りをまじえて大袈裟なくらいに声を張るナツ。
それをダイスケは冷静にすがめ、ひとこと言い捨てた。
『僕・・・ ナツのそうゆうトコ。 ほんとキライだ。』




