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戦国好き達は英雄の代行を任されました  作者: ユートピア
美濃攻略編
31/39

問題点で難儀

「あのぅ…信長様?このような夜更けに何用でしょう?」


僕の目の前で部屋の扉を開け不思議そうな顔をしている

そして畏怖の表れか単に驚いているのか目を少し泳がせている


僕は少しでも安心して貰える様にできるだけ優しい声音を心がけて


「安心せぇ。何かよからぬ事があったわけではない」

「さ、左様でございますか」


まつさんは心の底から安堵したのか深いため息を零した

そして


「っ!?もうしわけありませぬ!」


恐らく自分の夫と同等の地位である長秀とその主君である僕の目の前でため息を零してしまった事への謝罪であるのだろう


そんな事気にしないのに


だが、本来の信長は実際こういう行為を嫌っていたようだ

ならばこの流れもおかしくないのかもしれない


(ただな…)


これくらいでそんな一度座りなおして土下座までする事は無いんだけどな


僕の中では信長とは絶対の憧れなのだが

これくらいで一々謝れられるのもな…とは思う


だから僕は


「頭を上げよ」

「は、はい」


「今後そのような些細な事で謝る必要は無い」


これまでの信長像を壊しかねないあまり褒められた事ではない発言をした

その言葉を聞いたまつさんはあたふたしている


(まぁ無理もないか)


そう思った僕はさらに説明を重ねた


「貴様は我の信頼を置く家臣の正室じゃ。ならばおのずと接する機会は多くなるであろう」

「は、はい」


「立場上あまり親しき態度でいられるのも困るがさきほど様な些細な事でそこまで重く考えることもあるまいよ。もう少し肩の力を抜くが良い」


僕がそう言い終えると


「はい。かしこまりました」


と軽く笑顔を浮かべたまつさんはそう返事を返してきた


僕が

やっぱりこういのはマズイかな。と思い始めた時


はっ!と小さな声で呟いたまつさんは


「申し訳ありませぬ!ささっ早く部屋にお入りください!」


(ふぅ…まぁいいか)


僕はそう思ってしまった

そしてそんなまつさんを見て苦笑を零し


「先ほども言ったがそのように謝る必要はない」

「はっ!もうしわk…!!」


何だかまつさんの姿を見ていると何だか和むなぁ


「あのぅ…恐縮なのですが今までの態度が抜けきるまでには少々時間をいただけないでしょうか?」


「ふむ。よいだろう」

「ありがたき幸せ」


僕のこの対応は今までの信長とは真逆の態度だがこういうのもいいだろう

僕もそんなキャラじゃないしね


「それでは部屋へお上がりください」

「邪魔しよう」


僕がまつさんの先導で中に入ろうとしたが

後ろから由紀が着いてくる気配が無かったので後ろを振り返ると


部屋の前で立ち尽くしている由紀が目に入った


「長秀?」


僕はボッーといている由紀に少し近寄り声をかけた


「え?」

「中に入るぞ?」


由紀があまりにも素の反応を出してきたので

僕の返しも変なものになってしまった


「はい。た、ただいま参ります」


そう言った由紀は少し早足で動き出したかと思うと

僕より先に部屋にはいるのはマズイと思ったのか急停止し


「信長様お先にお入りください」


僕は由紀の行動に疑問を覚えながらも言葉に従い部屋の中へと入っていった

そしてその後ろでまつさんが扉を閉めた







「うん?利家はおらぬのか?」


部屋に入ると利家の姿は無かった

まぁ姿があれば声をかけてくるだろうからいなくて当然なのだが


部屋の反対側にある障子の向こうにいるのかとも思ったが

この声量で話していて気づかないという事はないだろう


そう思い

まつさんに質問してみた


「はい。旦那様は只今湯浴みに出ておられます」

「ふむ。ではここで待たせてもらおう」

「はい、それではお座りください」


そう言ったまつさんは

部屋の中央にあるたきぎで温められた土鍋を中心にして

畳の上に座布団を2つ置いた


僕はその座布団に胡坐あぐらをかき座り

そして僕の姿を見てから僕から見て右に由紀が正座で腰を下ろした


その後まつさんが抹茶を出してきてくれて

その抹茶をすすりながら僕達は太一の帰りをしばしの間待った


(抹茶苦いな…)






僕が3杯目の抹茶を飲み干しそうな所で

部屋に障子を開ける音が鳴り響いた


「ぇ…?」


太一は僕と由紀を見て目を見開き

小さな声をあげて


すぐさま腰を下ろし


「信長様!このような夜更けに何か御用でしょうか」


流石は太一

すぐさま動揺を隠して前田利家になるなんて


僕だったらこんな風になれただろうか


そんな事考えている一瞬の間の間に

まつさんは先ほど事情を話した


と言ってもまつさんに話した内容はと言えば

利家に大事な話があるから部屋を訪れた


としか言ってはいないので

まつさんの説明はすぐに終わった


だが太一はそれだけで納得したようで


「まつ。しばしの間いずこかへ行ってはもらえないだろうか」

「はい。ではわたくしも湯浴みをしてまいります」


2人はそんな会話をし

まつさんはすぐに湯浴みの準備をし


「では、信長様ごゆるりとお過ごしくださいませ」


そういうとまつさんは部屋を後にした


そして太一はまつさんの足音が聞こえなくなると

一度部屋の外を見て誰もいないのを確認し障子を閉めなおし



「えっと、とりあえず二人とも奥の部屋へ」

「わかった」


僕等はそんなやり取りをし

太一の先導で歩き出した





障子を開けるとそこは寝室だった


部屋の隅には畳まれた布団があるし間違いないだろう


「二人とも適当な所に座って」


僕等は太一の言葉に従って腰を下ろした


「あー抹茶とか飲む?」


腰を下ろした僕等に太一は気を使ったのだろうが


「「遠慮しとくよ(わ)」」


僕等は遠慮させてもらった


「フッ。相変わらず仲がいいね」


太一は口元に笑みを浮かべ自らも腰を下ろした


そんな太一に由紀が何かを言おうとしたが

少し太一の方が言葉を発する方が早かった


「それで?部屋に来たという事は何か大事な用があるんでしょ?」


何かを言おうとしていた由紀は言おうとしたことを飲み込んだようだ

そんな由紀をチラリと目配らせをし

僕は「ああ」と太一に肯定の言葉を返した


「それで?やっぱり剛輝の事かい?」

「流石は太一。話が早くて助かるよ」


太一は僕と同じこと今日の軍議で思ったようだ


「今日の軍議といえば…剛輝が光秀をうまく扱えるという事かしら?」


と由紀はきょとんとした顔で問うてきた


「ん、まぁそれもなくは無いけど」


僕の返答に由紀は「じゃあ」と言い


「剛輝の作戦に問題があった?」

「うん、まぁ…それもあるけどそこは僕らが知恵を貸せばいい」


僕は「それとは別に」っと告げ言葉を続ける


「作戦うんぬんの前に剛輝には覚悟があるのかと言う話なんだよ」

「やっぱりそういう事だよね」


太一はやはり僕の懸念に思い立っていたのだろう

その表情は曇っていく


そして由紀も


「あぁ…もしかして」


10秒程の思考の末に僕と同じ結論に至ったようだ


「そう、剛輝には人を殺めるという覚悟があるのか…という事だよ」

「「……」」


僕が問題点を上げると2人の顔はより一層沈んでいく様な気がした


「僕はだ」


僕の決意を込めた喋り出しに僕の目の前にいた二人は僕の顔を見る

そんな2人に僕は言い放つ


「人を殺める覚悟、陥れる覚悟、そしてそれを背負う覚悟はもうできている」


そんな僕の言葉を受けた2人は黙って僕の顔を見つめている


「僕は、最初に…いや、本当の意味で信長の記憶を受け継いだ日の2日後にこの決意をした」


2人は何も喋らない

いや、正確には何も言う事ができない


2人は恐らく頭の中で考えているのだろう

何をいうべきか。自分はどうするべきなのか…と


だから僕は信長として…みんなの部長として

僕は皆の前を歩いていく


僕等の意見をまとめる太一にも

全てを受け止め僕等メンバーをつなぐ由紀

まとまった仲間達を明るくする剛輝

違う角度から意見を言い変化をもたらす真彩


みながみな強みを持っている


だから僕はせめてそんな仲間達の前を歩いて道を開いて見せる


僕はこの世界に来て

信長となり

覚悟をしたときにそう決意した


目の前の2人は何を考えているのだろうか

僕はそんな2人に声をかけてた


「2人とも答えを焦る必要は無いよ。ゆっくり考えてみて欲しい」


2人は僕の顔を直視してくる


「僕らは殺しなんて無い世界からきたんだ。抵抗があるのも恐怖があるのもわかる。僕だっていざ首を飛ばす時は躊躇するかもしれない。

だけどいざそういう時になった時に考えを持っておいた方がいい」


僕は一度息を整え


「2人は信長の傍にいた長秀と利家の記憶を持っているはずだ

ならツライ事かもしれないけどもう一度それぞれの代行主について考えてみて欲しい。たのむ」


僕は最後の言葉を言い終えると目をつむり

頭を軽く下げた


「ちょ…優吾頭をあげてよ」


由紀は僕の肩に触れ

頭を上げようと力を入れてくる


僕が頭を上げ終わり二人の顔が視界に入った直後に太一は


「僕は」

「待った太一」


恐らく今の時間の間に自分の考えを固めたのだろう

なんの根拠もないがそんな気がする


いや、あるかも

あの目。アレが俗にいう覚悟の目という奴なのだと思う


だから僕は


「どんな答えにしろ2人には近々の僕等だけの軍議の時に自分の考えを言って欲しい」


僕の話を由紀は少し落ち着かない様子で太一は僕に止められて真顔で僕の話を聞いてくれている


「その軍議で僕と同じ覚悟を持ってくれたなら農民出身の剛輝を…必要であれば真彩の説得に協力してほしい

人を殺める事に反対をするなら反対をした人に味方をしてあげて欲しい」


僕は生唾を飲み込んだ

2人がどんな決意をするのかはわからないが


「だけど1つ言っておくね」


僕は


「僕は4人が反対をしたとしても意見を変える事はないよ

この世界で生き残るには時には人を殺める事も必要だ

だから僕はとりあえずみんなを説得しようと試みる。だけどどうしても説得が無理だと思ったなら僕一人でもやってみせるつもりだ。」


自分の意志を明確に表示した


「人を殺める事が無理ならば僕が守れるように努力しよう

その人が望むのならば武士としての任を解き立派な家を献上して商人や農民としての暮らしを与えよう。僕はずっと考えていて今決めた

みんなと離れるのは嫌だけど目の前でいなくなるのなんて耐えられない

ならば武士なんてやめてたまにその人の家に顔を出す。その方が絶対いいと思う」


僕は息継ぎすることなくスラスラと長文を言い終えた

その反動で今はハァハァと息切れを起こしている

僕はグッと息を止め腰を上げた


「じゃあ二人ともよく考えて。おやすみ」


そう言うと僕は戸を開け歩き出した


僕が去った後ろからは


「優吾は強いね…」

「ほんとかなわないね」


とやり取りがされていたようだが

僕には何か喋ってるなという事しかわからなかった








そして優吾もその後すぐして部屋を退出した由紀も

寝室に入った時と比べ部屋のタンスが少し開いているという変化には気づかなかった






今回の話は伏線を2つ一気に解消した話となりました

一つは最近の話ですがもう一つは序盤の方だったので私以外気にしてもいなかったのではないでしょうか

この話ででてきた覚悟を決めた2日後というのは由紀に膝枕してもらった次の日の事です

話のうえではカットしましたがそういう事になっています

これからも忘れたころに伏線回収などあると思うので良ければ前の話なども読んでくださいねw

それではここまで読んでくださりありがとうございました

次話もよろしくお願いします

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