人は見かけによらない{前篇}
パカパカ
僕達、織田家一行は山道を馬で駆け抜けている
この時代に来てから外の移動手段はもっぱら馬だったので技術的なものではなく
感覚的にとでも言うべきか慣れてきたと言える
すでに居城を出て3時間くらいたっただろうか
あくまで僕の感覚に過ぎないのだが多分そのくらいだ
途中で朝食や休憩を挟んだので疲れているという事もない
「おーい。後どれくらいで着く?」
「はっ!もうじきに正徳寺が見えてくると思われます」
「デアルカ」
僕は信頼できる仲間に聞いたつもりだったのが数合わせで連れてきた家臣が答えた
名前は……まぁいいか
僕は思い出す事を放棄した
てか、信長もうろ覚えとかヒドイすぎでしょ…
信長の記憶にこの者の記憶は全くなかった
ちなみにさり気なく「デアルカ」と言えた事に頬が緩みっぱなしなのは内緒
信長の実力あるものしか覚えない信長っぽい考え方に苦笑したり
道三との会談のシュミレートをしたりしていると
さっきの家臣がいった通り
写真で見た寺が僕の視界に入った
「皆の者止まれ!!」
僕がそう言うと馬の足音が消える
「では伝えた通りここで待機せよ」
「「「はっ!」」」
道三との会談は少人数でと言う約束なのでここまで連れ添った
足軽やそれをまとめる者達にはここで待機せよと伝えてある
最初は5人のみで行こうとしたのだが太一やその他部下からバッシングを受けたため却下した
「さぁ。ゆくぞ」
「「「「「はっ!」」」」」
僕の親友達+1はまだ少し距離のある正徳寺に向かって馬を走らせた
「名を名乗れ!」
「まず貴様は何者だ」
質問に質問で返す僕
そう、これは念のため。何が起こるかわからないこの世界用心に越したことはない
「私は正徳寺の僧をしているものだ」
まぁ想像通り
坊主で寺の坊主が来てそうな服を着ているのだから
ここの僧じゃなかったらなんだという話かもしれない
「我は織田信長。そして後ろにいるのが家臣だ」
「さようでございますか。話は聞いております」
「では中へ入れて貰おうか」
「なりませぬ」
これは少々予想外
すんなり通して貰えると思っていた僕は多少なりとも驚いた
もちろん。顔に出したりはしないが
「その腰に下げた刀を預けてください」
なるほど
と言う感じである
寺に刀を持ち込むなと言う事か
それ自体はまぁ問題ないが一応…
「斎藤道三殿はもう中に?」
「はい、昨日の夕方から滞在されております」
気になる単語があったがとりあえず話を進める
「もちろん。道三殿も刀は身につけていないのだな?」
「もちろんでございます」
「仏に誓って?」
「はい」
僕はその言葉を聞いた直後
馬から降り
腰に差していた刀を地面に投げ捨てた
それに習い僕と同じ事を後ろでもやっているだろう音が僕の耳に届いた
「これで良いか?」
「はい。この刀は、おかえりになるまで責任をもって預からせていただきます」
そう僧侶が言うと門が開き
僕達は正徳寺に足を踏み入れた
門の前でシャァベ喋った僧に道三が既にスタンバイしていると言う部屋まで案内して貰っている
「こちらのお部屋になります」
「ご苦労」
僕が労いの言葉を掛けると
剛輝と太一が障子の取手に手を掛け
戸を開けた
「これは面を食らったわい」
戸を開けると
開口一番投げかけられてきた老人っぽい声
そして、視界にはガッハッハッと豪快に笑う老人と
老人の隣に控える1人の女性と後ろに控える
20人ばかりの屈強な男達
「ふー話が違うではないか道三殿」
「うん?後ろの男達の事かの?」
僕は意図的にため息を入れて道三に言葉を投げかけた
僕のその対応に道三はわざとらしく疑問符を浮かべた様子で言葉返したきた
「何簡単なことよ。今は乱世、バカ正直に約束を守る方が悪い」
「斎藤道三ともあろうものがこのような事をするとは思わなんだ」
「ほう。儂ともあろうものがとな?むしろ儂だからこそではないかの」
道三はなおも言葉を紡ぐ
「儂は元油商人。0から上がってきた者ゆえ地位やお家の力という者は持ち合わせておらなんだ。じゃから裏切りや下に見られる事は日常茶飯事じゃったんじゃよ」
「なるほど。道三殿だからこそというのは納得した」
「儂をわかって貰えた様で嬉しいのぉ」
僕と道三は互いに作り笑いを作り合った
「それで?道三殿はどうしたいので?」
「フッ。これでも脅して儂の有利に話を進めたいと思ってるのじゃが」
「そのもくろみは外れたな」
「そのようじゃな。下がれお前達」
「道三様。私は残ってもよろしいですか?」
「ん?まぁそうじゃなお主がおった方が何かと都合が良いかもな」
「では、ほかの者は下がれ」
道三の言葉を皮切りに男達は障子を開けて外に出ていった
すると、道三の目は更に鋭くなった様な気がした
「さて、まず聞きたいのじゃが儂が後ろに男達をはべらせてどう思った?」
「そうだな…まぁ想定内かな」
「ほう」
道三は興味深そうに耳を傾け
僕に続きを促してきた
「正直我も家来の数を増やそうか考えたし道三殿が部下を5名以上連れてくるかもとは考えたが、あえて辞めた」
「なぜじゃ?」
「道三殿と対等に話合いたかったからだ」
「このような老いぼれとか?」
この目は僕を試しているのか?
まぁ道三がどう思おうが僕の意見は変わらないが
「実力に年齢は関係無いだろう。道三殿はまごう事無き優秀な方だ」
道三は僕の言葉に「ハッハッハ」と高らかに笑い声を上げた
「以外とそう評価するものはおらんのだよ。なかなかに気分がいい」
「我は年齢などで実力など判断しない。老若男女優秀なものはしっかりとした評価をする」
「ホッホッホッホ。お主は誠に良き主君よのう」
「そんな道三殿にお願いがあるのだ」
「今回の用件じゃな?」
「そうだ。単刀直入に言う。我と同盟を結んで欲しい」
僕は深々と頭を下げた
「フッ。人は変わるもんじゃな。あのうつけ坊主がこんな礼儀正しくなるとはのう
それとも本当に人が変わってたりして…」
!?
この言葉の真意は何だ
ただの冗談なのか。その可能性が高いのだろうが
まさか道三も代理者?…いや、それは無いと思うけど
とりあえず
「面白い冗談をw」
「ホッホッ。軽い冗談1つ言えんようでは君主は務まらんからのう」
「そうかもな」
「それに、いつもの軽装で来るとは思ったが正装で来た事も最初に驚いたしのう」
そう、僕はこの日のために仕立て直した着物を着て来ている
信長は結構ラフな服装を好み。僕もその方が楽なのでいつも同じ服装でいるが
この日は、本来の歴史通りに正装してこの会合に臨んだ
「なかなかの高評価感謝しよう。では申し出は?」
「ふむ。そうじゃのう」
道三は考える…いや、これはフリ?をした
少しの間時間があき道三は口を開いた
「同盟は嫌じゃ」
道三はニカッと楽しそうに言いのけた
それに、僕は落胆する
だか、これも想定内。だが何とか説得しなければ
道三は生きて仲間にしようと皆で決めたのだから
「理由をお聞きしても?」
「思ったよりも動揺せんのう?これも想定内じゃったか?」
「まぁな」
「お主やるのう。儂の理由じゃが少し待っては貰えんか?」
「いつまで?」
「何すぐじゃよ」
道三は沈黙を保っていた横にいる女性の顔へ顔を向け
「光秀や。お主はこの申し出どう思う?」
と確かに口にした
今回の話は前後篇に分けようと思います
さぁ出てきました明智光秀!
この話のキーパソンの一人
今後どうなるかは括目してみよですw
では、最後にここまで読んでくださりありがとうございました
是非次話も読んでください




