あつあつほかほか{後編}
ゴーーーーーン
18時を知らせる鐘が城中に僕の鳴り響く
周りからはガヤガヤと人の声が聞こえる
女性が老若問わない女性と必要最低限な男性が
すでに最終の準備に入っている
そんな僕の部下である人々に向かって
「皆の者!準備はできたかっ!!」
少し声を張って
僕の存在に気づいていない皆に自分の存在をアピールした
いくら騒がしかったとはいえ誰にも気づかれずここまで気づかれないとは
僕ってやっぱりオーラとかないんだろうか
そんな僕の不安をよそに
「信長様!いつでも運ぶ準備ができております」
「デアルカ」
僕は信長の口癖を満足げな顔で呟いた
余談だが僕はこの有名なセリフを最近に多様している
この言葉をこの渋い声で言えると口がニヤけてくる
最近まで余裕がなく使っていなかったがやっぱり信長に成ったらこれをお使わないとねー
どうでもいい考えをしてたら変な間が開いてしまった
「「「.....」」」
何て言葉をかけようかと考えていると
「信長様。もう運び始めてもいいですか?」
「あ、ああ。すぐに中庭に運んでくれ」
「承知しました」
助け船を出してくれたのは太一の嫁のまつ
最近ごはんを一緒にご飯を食べているのでなのか親しくなってきた
太一の嫁という接点もあるのか、すぐに仲良くなった
まついわく僕は昔に比べ親しみやすくなり人が変わったみたいだそうだ
僕から言わせればそりゃそうだろと言う感じなのだが
現に僕は信長であって信長じゃないのだから
ちなみにまつに人が変わったみたいと言われ疑われてるのかと思い一応追及してみると
まつは「親しみやすくはなったが本質的には変わっていなく。威厳がなくなったわけでなくむしろ長として良くなったそうだ」
僕達の推測でしかないのだが
例えば僕と信長、由紀と長秀、剛輝と秀吉
つまり、代行している人物とその人に代行している僕たちは
少なからず性格や考え方が似ているのでは?という仮説を立てた
「信長様!信長様?」
「ん?何だ?」
「いえ、そこにいらっしゃると運べないのですが...」
「コラまつ!信長様にどけと言うんなんて何て失礼な事を」
まつが説教を受け始めた
さっき助けてもらったし助け船を出すか
というか別にこれくらいどうも思わないし
「待て待て。これくらい何とも思わん」
「そ、そうですか?」
「ああ。むしろ邪魔だった我が謝るべきだ」
「そんな!信長様が謝るなんて!!」
「わかっている。誤りはせんが怒る必要もないという事だ」
「...さ、左様ですか」
今にも冷や汗が流れてきそうな顔で名も知らぬオバサンが口ごもっている
これくらいで怒ると思われているのだろうか
だがまぁ....
「まぁそこまで親しくない者になら怒りを覚えるかも知れんがな」
ニヤリと笑いながら呟き
踵を返し袴を着替えに自室へと戻った
後方では、僕の言葉に空気は凍りついていた
「信長様」
声に振り返ると太一だった
「....どうした利家」
危なかったいつものクセで太一と言いかけた
「ふー信長様。準備は済みましたか?」
「あ、ああ」
「...部下の前ではキビキビして下さい」
「わかっている」
今まで信長でテキパキ支持出しをしていたからか
素を出しても問題のない仲間に声を掛けられ気が少しゆるんでしまった
慣れてきたようで慣れ切れていない
周りにバレないように遠回しに太一に注意されていると
「信長様お待たせしました」
「おう、長秀と...勝家」
由紀の後ろでトボトボとついてきた真彩
やっぱり俺らに会うのが気まずかったぼくたのか...
まぁあそこまでのは僕たちが出会ってから2回目だが
いつもの真彩からは考えられないといっても差し支えない
「勝家こんばんわ」
「...こんばんわ」
「よく来てくれた」
「...長秀殿に無理やり連れてこられたんです」
「でもここに来た。結果が全てだ」
「...昨日は軍議の途中で出てしまい申し訳ありませんでした」
「謝る必要はない」
「ありがとうございます」
「そのことなのだが、この後皆でもう一度話し合いたい」
「....わかりました」
「まぁ今はたいしたことではないが余興を楽しんでくれ」
「長秀殿も知らないようですが結局何をするのですか?」
「それは後のおt]
「信長様ー!準備が整いましたよ!!」
「だそうだ」
剛輝の呼び声で僕たちのささやかだが戦国時代での初めての宴が行われた
「「「カンパ――イ」」」
にごり酒を片手に乾杯の音頭を僕が取ると
それにつられ皆が天に盃をかざす
僕達は現代では二十歳をしっかり超えていたから酒を飲むのに抵抗がなかったのだが
よく考えたらこの体まだ二十歳迎えてないんだよな
もちろんこの時代に酒を飲んではいけないという法律はないのだが
「ぷはー戦国時代の濁り酒だっけ?も結構いけんなw」
「そうね。私も最初に飲んだ時意外とおいしくてびっくりしたわ」
「ちぇっ。身分の高い奴はいつも酒を飲めて羨ましいな」
「あなたももうすぐ身分を高くしてあげるわよ」
「頼むぜ?マジで」
「大丈夫だよ。もう算段はある程度ついてるから」
うん。何の違和感もなく酒を飲んでる
僕が気にし過ぎみたいだ
というか
「3人とも、周りに人がいないとはいえ迂闊な話はやめた方がいい」
「それもそうね」
「すまん」
「そういえば、、ま..勝家は?」
皆で視線を動かすと
柱にもたれかかりスースーと眠りについている真彩がいた
「勝家完全に酔いつぶれてんな」
「勝家は酔うとすぐ寝るからな」
現代でも真彩は酔うとすぐに眠ってしまうタイプで
いつも皆で飲んだ時は誰かに担がれて帰路に着くことが多かった
「てかまだアレ見せてないし、話し合いもしてないじゃん」
「長秀起こしてきてくれる」
「はー仕方ないな」
由紀は真彩の方へ歩き出し
「勝家。勝家起きなさい」
「う、う~ん」
「ほら立って」
「...先輩?」
「先輩じゃありません。丹羽長秀です」
「....な、長秀殿どうしました」
「どうしたではありません。まだ寝てはいけません」
「もうしわけありませんでした....」
「謝る必要はありませんが行きますよ」
「はい」
そんなやり取りをした2人は僕たちの方へ歩いてきた
「ほら、勝家を連れてきたわよ。アレっていうのを早く教えてよ」
「僕も結構気になってたんだよ」
「私も気になりますね」
「フッフッみんな多分喜ぶぜ」
一人は得意げな顔他3人は何のか知りたそうな顔をしている
いや、僕も得意顔をしているから2人か
真彩も酔いが回ってるからか昨日の事をあまり気にした様子もなく自然に会話に入ってきているしそろそろ頃合いかも知れない
「じゃあそろそろお披露目と行こうか。藤吉郎」
「ハッ」
剛輝は一度息を吸い込み
「給仕の皆さん!例の物を頼むぜ!!」
そういうと給仕の人たちはお酒を注ぐのを辞めて準備してある場所まで歩き出した
3分くらいたった所で
「お兄様、そして皆さまお持ちいたしましたよ」
「毒見はすんでおりますゆえ安心してお召し上がりください」
「うむ、よろしい」
「ありがとうございます。お市様、まつさん」
僕と剛輝は鍋を1つずつ持ってきた二人にお礼を言った
その後に他3人もそれぞれお礼の言葉を向けたが
語尾には?がついていそうなお礼だった
まぁ見た目はただの鍋だしこの反応は仕方ない
「この臭いは味噌汁?」
「そうだな」
「味噌汁はほぼ毎日食卓に並ぶじゃない」
「そうだよね。別段珍しいものじゃないよね」
「その通りだ。まつ蓋を開けろ」
「かしこまりました」
まつが蓋を開けると
味噌汁のいい臭いが広がる
愚材はサトイモとカブそして色を作り出すためのネギと言った所
まぁまぁ普通の味噌汁だろう
見せたいのはお市の持っている鍋の方だ
「では、市の持っている鍋には何が入っていると思う?」
「「「....」」」
3人が考え込む
「ヒントは味噌汁だ」
「...意味が分からないんだけど」
「ですね...」
「....」
誰も剛輝のヒントにピンときていない様子
だが、答えを出されたら「ああ!」となるはず
「我はこれをずっと食べたかった。これもヒントだ」
「もちろん俺もだぜ。正直マズイ飯の俺は尚更な」
また3人が考え込む
すると...
「あ、もしかして」
「何か気づいたの?利家」
「うん。もしかしたら」
「ストップです利家殿。答えを言ってしまったはつまらないだろ」
「うぅ~気になりますね~」
そろそろお披露目しようか
てか、真彩酔いすぎだろ
素が見え隠れしてぞ。まぁ形容範囲だから危険を冒してまで突っ込まないが
「では答え合わせだ。市」
「はい」
そう言うと市は鍋の蓋を開けた
湯気が立ち上り、一瞬鍋の中身を覆い隠す
だが数瞬後鍋の中身は姿を現した
「まさかとは思ったけど」
「嘘ホントに!?」
「なるほど。確かにこれは嬉しいですねぇ~」
鍋の中身は真っ白
現代ではほぼ毎日食べていたもの
日本の主食である...
「まさか、お米が出てくるとは思わなかったわ」
「確かに食べたいとは思っていましたが、この答えは盲点でした」
「ホントまさかだよね」
「へへw驚いてくれて俺らも準備したかいがあったぜ」
「この案は藤吉郎が思いついたんだ。それが中々に面白い案だったがゆえに藤吉郎を小姓に仕立て上げてやったのだ」
まぁ本当は話を思いついたのは剛輝と言う所まであってるが
前提が剛輝を小姓にするためのちゃんとした口実が欲しいがために
案を考え、これを剛輝が思いつきそれを採用したという過程だ
まぁこの案のおかげで僕たちは良い思いもできるので
一石二鳥だし言いことづくめだ
「この料理は藤吉郎様が思いつかれたのですか!」
「ん?ああそうなんだよ」
「味見をした料理長が目を見らいておりましたよ。ね?まつさん」
「はい。これが玄米から出来ているとは信じられない。あなた方も信長様の前で一口いただけるならいただいてみなさいと」
「もちろん。こんなにあるんだ2人とも食べてもいいぞ。2たりの分と我たちの分をよそってくれ」
「「かしこまりました。ありがとうございます」」
2人が味噌汁と白ごはんをお椀によそっていき
僕達全員の前に2つのお椀が置き終わった
「では、いただこう」
「「「「いただきます」」」
みなが手を合わせ橋を持ち白ごはんを口の中に運ぶ
「ああ。コレよコレ」
「うん。何だかすごく懐かしい気分になるね」
「俺も同感だ。利家」
「あれ?信長様と藤吉郎氏は食べていなかったのですか?」
「ああ、せっかくだから一口目はみんなでと思ってな」
皆が笑顔になり次々とごはんを口に運んでいく
たまに味噌汁を挟むことで冬の肌寒い風で少し冷えていた体が温まる
みな満足げな表情だ
と思ったがまつとお市の様子がおかしい
「どうしたのだ?2人とも」
僕の言葉に4人が不思議そうな顔を浮かべ
僕の視線追うと合点が行ったようだ
まつとお市が驚いたような表情をしている
「おい!市どうしたのだ」
「あ、はい。申し訳ありません」
「もしかして口にあわなんだか?」
「いえ...」
「ハッキリ申せ」
「あの...これは本当に玄米なのですか?」
「うむ、正確には白米と言われるのだが玄米の糠および胚芽を取り除いた物だし認識的には間違っておらん」
「ホントにこれが玄米から...」
「料理長が驚いていたわけがわかりましたね市様」
「ええ」
「で?感想は」
「とってもおいしいです!!」
何故か僕は安堵の溜息を洩らした
何故だろう
もしかしたら、僕たちの主食だった白米を拒絶されるの怖かったのかもしれない
「モチモチとしてて噛めば噛むほど口の中に甘みが広がり。大変美味でございます」
「市様の意見に加え。玄米よりも味噌汁に会いますし、玄米に比べ米一粒一粒に熱が伝わっているみたいです」
「喜んでもらえている様で何よりだ」
「「はい」」
どうやら戦国時代の人たちにも白米は受けつけられたようだ
玄米から白米にするのに大人数でやったにも関わらず全て手作業なため5日間の日数で茶碗1杯を100人ほどの部下と給仕の人々に振る舞えたレベル
かなり時間的な問題があるが
たまには皆に振る舞い。僕達も食べたい
これからも玄米の精米は続けていく方針で
部下が増えてきら人数を増やしていき
ゆくゆくは精米の工場なんかも作るのもいいかもしれないなどと
考えていると
「ところで...」
「どうしたんだい?まつ」
「はい、利家様。信長様や藤吉郎様は当然として
なぜお三方はこの白米をしって言った風だったのでしょうか?」
「「「「「......」」」」」
や、やらかしたーーーーー
と皆が心の中で叫んだ
白米という日本人の命を培ってきたものを前にして気が緩んだ
僕は直接ミスを犯していないが、気が緩んでいたのは確かだ
白米恐ろしい....
なおこの後
実は南蛮にもにた料理、少し精米について相談したなど
言葉巧みに何とか無理やり納得させて
難を逃れた
さてどうだったでしょうか
文章量は5Kあります。前の話を短めに終わったツケですねw
キリのいいところまでとか考えてたらコレですよ
まぁそれはとりあえず置いといて、伏線回収完了ですw
なんとなく流れが読めた方いらっしゃったかもしれませんが頼んしんでくれた方がいたなら幸いです
今回は料理の話第1弾でしたがこんな感じでちょこちょここんな風にはいってきます
まだ書きたいことはあるのですが後書きまで長くなるとアレなのでここからへんでお開き
最後にここまで読んでくださった方ありがとうございました
次話もよろしくお願いします。では