計画通り
「計画通り」
優吾が二ヤリと口角を釣り上げた
「優吾ちょっとゲス顔だよ」
「えぇノートを拾った青年みたいな顔ね」
「そんなに思い通りの内容だったのか?」
「読んでみろよ」
と言い朝信勝から届いた文を由紀に差し出す
「優吾の言った通りね」
横からのぞき込み太一と剛輝
「今のとこ完璧だね」
「すげーな優吾!」
僕は賞賛の声を向けられる
簡潔に手紙の内容を言うとこうだった
手紙は受け取った
話し合いには応じよう
だが、条件がある
尾張に織田の兵以外に入れない事だ
それを飲んだ上で、10人未満で城内に入ってもらう
とのことだった
条件を出されるのは想定内
敵方からの申し出なのだから、交渉を持ちかけるのは普通だろう
あまり厄介な条件は困る
ならばそれをコントロールすればいい
そうすることで、僕のシナリオ通りに事が進められる
失敗は許されないのだから
まず、斎藤道三と徳川家康の力を借りれるというのは嘘だ
まず、斎藤家は同盟を結べるほど仲が良いというわけではない
交流はあるが、兵を貸してくれなんて言える間柄ではないし
斎藤家も家内でもめていることもあり
到底兵は借りられない
家康なら頼めば兵を借りられる可能性はあるが
優吾達がこの時代に来てまだ3日目
1日目の夕方に作戦が決まり夜に使いを出したとしても
到底作戦開始までに間に合わない
実質手紙通りに力を貸してもらうというのは不可能だった
だが、信勝達は真彩を除いてそれを知る由もない
なら、このブラフは通用する
嘘かもしれないと思うかもしれないが、100%否定することは出来ない
実際に信長には両家と交流があるのは確かなのだから
ということは、信勝がまずダメなことは城を攻め落とされないようにすること
そう考え、話し合いを拒否し問答無用で攻められるのは信勝にとって論外となる
ならば、話し合いをするにあたってだ
話し合いをする際に脅されて内容を一方的にというのはダメだろう
ならば、申し込まれた者の特権を使い
兵を城近づかせないようにする
そういう事で、信勝はあの条件を提示してきた
もしかすると、時間がたてば違う結果になっていたかもしれないが
時間を指定する事でその道も絶った
信長が短気だという事は尾張では知らない者がいなかったのが功を奏した
そういう事で、あの兵力アピールは2重の意味があり
ビビらせて話し合いに応じえなくさせる
条件を付けてくる場合はこのブラフに食いつかせる
どちらも完璧に成功した
壺を送ったのは、柴田勝家に絵を見せるためだが
中にカラスを入れたことで異常だなどと思われ恐怖し
思考が鈍ったとも考えられる
結果作戦第1段階はシナリオ通りに進んだ
「ここまでうまくいくとは思わなかったよ」
「よくできた作戦だし、こうせざる得ない状況にしたのだから必然だと思うわ」
「そうだね。仮にも城を持ってるんだ、可能性が捨てきれない限りこの選択肢を取らざる得ない」
「優吾お主も悪よの~ww」
剛輝の発言にみんながクスクス笑い出す
これで作戦は前半が終わり後半へと移行する
第2段階のスタートだ
ここからは敵地に乗り込むわけだから、一掃気を引き締めなければならない
失敗はできない
(命が係わってくるのだから..)
その言葉はどっしりと心に重くのしかかった
そっと近くにいた由紀の手が僕の手に乗せられる
見てみると僕の手が震えていた
「大丈夫だよ」
そっと囁きかけてきてくれる
僕は笑顔を向け
「ありがとう」
と言った
「なぁ?あいつらいい感じじゃね?」
「そうだね」
近くにいた2人がニヤニヤしながら小言で何か言っている
「ち、違うから!//」
「どうみても夫婦じゃねぇかw」
「違うって言ってんでしょうが!」
「うを!?そんなむきになるなよ」
「あんた達が変なこと言うからでしょ!」
「まあまあw照れ隠しはそれぐらいにして..ね?」
「照れてない!!」
「3人ともその辺にしたら?w」
そろそろ激化してきそうだったのでいさめる
どうやら3人とも落ち着いたみたいだ
「こういう和気藹々とした雰囲気は真彩ちゃんと合流してからにしよう」
「こっちに来てるかはわからないけどなw」
「来てるよ。真彩ちゃんなら」
「まぁまちがなくね」
「そう。絶対来てる!」
「そうだな。真彩ちゃんがいないと火に油を注ぐ人がいなくて何だか物足りないよなw」
「そうかもねw」
「真彩のそういう理由じゃないけど、いたらいいのは同意ね」
「ああ、そのためにも明日は頑張ろう!」
「頑張るのは優吾だけどなw頼むぜ?」
「しくじちゃダメよ。優吾」
「僕たちの命を預けるわけだからね」
「おい!プレシャー掛けるなよ!」
みんなで笑い合い
僕が一声かけ顔が引き締まる
「みんな。僕頑張るから支えてくれ」
「もちろんよ」
「ああ」
「わかってるよ」
みんなが頷いてくれた
これだけで勇気がでてくる
何でもできそうな気がしてくる
僕は単純なんだろうか?
でも、単純でいい単純がいい
一声でこんなに勇気を貰える
仲間が傍にいてくれて良かった
だから、仲間である真彩ちゃんは絶対に救い出す
何度目かわからない決意をし明日のために皆その後はすぐ解散し
体を休めた
はい、作戦第1段階は終了です。どうだったでしょう
ここまで17話。結構かかりましたw
まだ、どのくらいでどのくらいの文の量がわかっていないので驚きです
10話かからないとも思ってたんですけどねw
名づけるなら織田家督編でしょうか?
1~2話位で一度話が区切りとなります
なおこの作品自体はまだまだ続けるつもりなのですがw
今後もお付き合いくださると嬉しいです
では最後に、ここまで読んでくださりありがとうございました
では