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戦国好き達は英雄の代行を任されました  作者: ユートピア
尾張平定編
12/39

作戦開始

由紀said


優吾が眠りに落ちて、どれくらいたっだろう

私の膝の上には頭が乗っている

その頭は私たちの部長であり殿でもある優吾だ


優吾の力になりたいと思い

最初に思いついた私にできる事はこれだった

しかし


(今更ながら結構恥ずかしい///)


これは自分で考えて自画自賛する様で何だが

それなりに良い案だったと自分では思う

自分が恥ずかしいという問題点を除けば


こんな事、現代にいたらする絶対にする機会はなかっただろうし

恥ずかしくてできない

だが、今できている理由は恥ずかしいよりも力になりたいと言う気持ちが勝ったからだろう


優吾は由紀の事を現代でも色々助けてくれた

そして、今も私たちの事を考えてくれている

絶対に放ってなどおけない


この場所は自分でも人払いはしたし、その他細かい事は太一に任せてある誰にも見られることは無い


食事なども必要ないと伝えてある

だから、優吾も由紀安心してゆっくりできる


いつしか、緊張が解けていた由紀は

気づかぬうちに眠ったのだった






意識が覚醒する

後頭部には明らかに枕ではない感触

違和感を覚えた直後には睡眠に入る前の記憶を思い出した


そうか、僕は由紀に

途端に恥ずかしくなる

いい年して元同級生に膝枕だ。別に恋人でも何でもないのに


(てか、由紀も寝てるし...)


目を開けて最初に目に入った光景は

由紀の寝顔だった

目の間にいきなり寝顔があったから、余計に恥ずかしく思ったのかもしれない


だけど、由紀のおかげで

さっきも言ったように、眠気は吹き飛んでいる


疲れていた...

いや、由紀のおかげで夢をみてうなされずに済んだのだろう


まったく昨日の夢は見ていない

だから


僕は言葉にして言いたい


「ありがとう。由紀」


そう告げると、由紀の反応があった

今の言葉で目が覚めたようだ


「....!?。ああ、そうか」


独り言を言っているが恐らく今の状況を認識したのだろう


「あのさ、起きてるなら離れてくれない?」


睨まれる僕


「わかったよ..」


名残惜しいような気もするが、すぐに起き上がる


「ねぇ..いつから起きてたの?」

「少し前だよ」


「そう..寝顔見たわよね?」

「そりゃね」


「仕方ないような気もするけど、見ない様にするのがエチケットだと思うんだけど?」


「そんな無茶な」


今は膝枕をしていた事実よりも寝顔を見られたという事が恥ずかしいみたいだ

まぁ女の子はそうなのかもしれない


僕もさっき寝顔見られたことにも羞恥心を覚えた

男的には膝枕という方が恥ずかしいのだが


「..で?よく眠れた?夢は?」

「大丈夫だったよ」

「そう..」

「ああ」


気まずい

この空気マジで嫌だ


むず痒いというか何と言うか

話題をずらさないと


「今って何時くらいかな?」


外は少し明るい


「たぶん..現代だと6時くらいじゃないかしら」

「そっか、結構寝てたんだな」


晩御飯を抜いてずっと寝てたせいかお腹もすいている


「そろそろ、鐘がなるんじゃないかしら。そうしたら、みんな起きだしてくるから顔を洗いにいかないと」


この時代の時間は、鐘のなった時で時間を計っている

例えば朝日が昇れば鐘がなり6時だという事だ


この時代には、夏と冬で日の入りの時間が違うという概念は無かったのかもしれない


この時代は坊さんが午前6時だといえばそうだし午後6時だといえばそうなのだ


このように、大体の時間は鐘の音で分かるが、他は、規則正しい生活を送り体内時計に頼るしかない


僕らが、この時間に起きたのは信長の日々の積み重ねがあったからだろう


そんな事を考えていると

足音だ


この部屋の前で止まり


「信長様。只今よろしいでしょうか」


この声には聞き覚えがある


「1人か?」

「ハッ」

「入っていいぞ。太一」


そう言うと太一は障子を開けた


「優吾体の調子はどう?って由紀ちゃんもいたのか」

「ええ」


「昨日、優吾に話があるって聞いたけど、昨日と同じ着物だね?」


ギクッ


流石鋭い太一だ

由紀も目をそらした


「何をしていたんだい?」

「いや、何も?」


太一の顔を直視できない


「まぁいいけどね。この部屋に誰も来ない様に僕にお願いしたこと、それに昨日と同じ服装。寝起きの2人の顔。大体察しがついた」


ほぼ正解を導き出しているじゃないか

由紀をみると頬をほんのり染めている


「え?もしかして寝る以上の事をしてないよね?」

「は?」

「してないわよ!!!」


由紀が大声を出す

僕は何を言っているのかわからなかったが、由紀の反応で気づいた


「いや、そこまでは流石にしてない」

「そこまで?」


由紀の肘打ちが僕の横腹に刺さる


「ほんとにたいしたことはしてないわ」

「ふーん。まぁ2人がどこまで進もうと構わないけどね」


「だから何も無いってば!」

「わかってるて」


そのまま数分太一と由紀は口論していた

僕はというと横腹を押さえてうずくまっていた



太一said


まもなくして、由紀と太一は軍議の部屋を後にした

今は廊下を歩いている。それぞれ向かう所は違うが、途中までは同じ道であるためだ

無言で歩いていたが、僕から会話を始める


「ありがとう由紀ちゃん」

「え?」


何にお礼を告げられたのかわからない由紀はキョトンとした顔をしている


「優吾を元気にしてくれたからね」

「ああ、そのこと」


「優吾の目からクマはキッチリ無くなって顔色も良くなっていたから」

「別に、たいした事はしていないわ」


「いや、凄いよ。どんな魔法を使ったのか知りたいくらいだ」

「止めてよ//てか、こんな親しく話しかけて言いわけ?ここ廊下だけど」


「これは前田利家の時じゃなく僕の言葉で言いたかったんだよ」

「キザなセリフ...」

「そうかもねw」


僕は優吾を支える事はできても、優吾を助ける方法は思いつかなかった

やはり由紀ちゃんは凄いと思う


こんなとき、剛輝なら真彩ちゃんならどう助けただろう

2人とも僕には実行できないそれぞれの方法考え付くと思う


僕以外の4人は凄い

僕には支えることは出来ても、解決策がおもいつかない


柴田勝家の作戦だってそうだ

みんな案を出したのに、僕だけ出せなかった


西田太一という人間はみんなを支える役目と皆も僕自身もそう思っている

だが太一はこうも思う


助け出すことができるみんなが羨ましい と




優吾said


優吾は朝ごはんを食べ終わり軍議の部屋に皆を集めた


「では、これより作戦の実行を行う!」


「「「ハッ」」」

「信盛よ。全体の準備は」


「ハッ。滞りなく」

「うむ、では、早速馬を出せ。早朝からふみを読めば、今晩にでも文が返ってくるかもしれん」


「かしこまりました。では、通達のあった足軽兵につぐ!支度をして出馬せよ!」


「「「ハッ」」」


後ろに控えていた足軽達が、立ち上がる

そこには、剛輝の姿もあり


剛輝には、無事届けられたか確認して報告するよう伝えてある

文を届けるだけだ。しかも念の為何人もの足軽で文を届ける

剛輝がケガをする心配はないだろう


「では、皆の者!文が返ってきたら、おって連絡を使わす。

それまでは解散!」


「「「ハッ」」」

重臣である者が立ち


それに倣うように、各々その場から立ち去っていく


「成功してくれよ」


一人になった部屋で作戦の成功を祈る優吾だった






信勝said


「信勝様!!」

「何だよ!うるさいな」


昼飯を食べている信勝の元に名も知らぬ足軽が走って来た


「して?どうした」

「ハッ!信勝様へ織田信長より文とサル顔の男が土産と言って大きな布包みが」


「何だと!?布の中身は?」

「ハッ!それが異様なものでして」


「異様?どんな物だ?」

「手紙も含め読んでいただいた方がよろしいかと」


「危険ではないのだな?」


「は..はい。外傷を及ぼす可能性は皆無でございます」

「ならば、通せ」




数分後大きな布と文が目の前に


「なんだよ!何だよこれは...」


目の前の物に嫌悪を抱き

文の内容に怒りよりも先に恐怖を覚えた


「家臣を全員ここに集めろ!!」


異常だ。これは早々に軍議を開かなくてなるまい

信勝の食欲はすでに完全になくっなていた


これで優吾達の作戦第1段階

真彩が来ているのなら僕らはこちらに来ていると知らせるという目的は達成されたも同然だった






信勝の前には家臣をはじめ他数人の兵士が集まっていた


「信勝様、何用でしょうか?」


家臣の林秀貞が代表として、口を開いた


「信長め、このような物を送ってきよった」

目の前には大きな壺と信勝が差し出してくる手紙


秀貞が手紙を読もうとすると

ひょいっと避けられる


「君に渡すより誰かに朗読して貰った方が効率がいい」

「確かに、回し読みするより全然いいですね。流石信勝様」

「今は、喜べる気分ではないな」


いつもだったら有頂天になる、信勝が意気消沈している

これはただ事ではないだろう心配だと

この場にいる1人を除いては...




真彩said


真彩は内心歓喜していた

顔には出していないと思うが、今にもニヤケそうだ


(先輩達がこの時代に来ている!)


本来の歴史上でこんな手紙や壺が届いたというの聞いたことがない

実際は、私が知らないか現代に伝わってないだけで、実際の出来事だったのかもしれないが


私がこの時代に来て2日

2日目で私の知らないイベントが起きている


信勝をここまで恐怖させている

現代に伝わっている歴史では、信長が信勝を殺すのはもっと先


この3点から、十分希望を持ってもいいという推測をした真彩だった

こんな推測をしたが、恐らく手紙の内容を聞けばわかるか


先輩達なら、自分達がこちらに来ていると、わかる言葉か印を作ってくれていると思う


手紙がちょうど名も知らぬ足軽へと渡り

朗読が始まる


大学での戦国時代の手紙の読み方の勉強を思い出し、頭の中で現代語に翻訳する


”織田信勝へ

 我は、まず不愉快に思っている。理由は頭首になりやっと尾張を平定し次なる

 道へ進もうとしているのに、貴様が邪魔をするからである

 なので、早急に対処する事をここに決定した

 単刀直入に言おう。

 我は話し合いの場を設けたいと思っている

 これを拒否した場合は、即刻そっこく戦とするしかないであろう

 我の後ろには美濃の斎藤道三と三河の大名である松平家の力を借り進行することとなる

 勝負は目に見えているため、話し合いを検討された方が、得策と思われる

 戦に勝利した場合、信勝を罪に問い、壺の絵から中身へと同じ末路を辿ると解釈してもらいたい

 場所は、殺される事を心配という言い訳がないよう、末盛城で構わない

 返事は急を要するものとする

 我の気が変わらないうちに返事をつかわせよ”


翻訳はこんな所だろうか

真彩は誰よりも先に壺に向かう


まず、中身は...

開けなければ良かった...

すぐに壺にしてあった木の鍋蓋みたいなもの戻す


「この臭い物の中身は何だ?」

「ハッ。中にはカラスの死体と思われるものが3匹入っております...」


ざわざわ

周りがざわつき始めた

その時真彩は


(カラス...何も思い当たらない)


次は絵だ

すぐに絵を見つけ

二ヤリと笑いが出てしまう

止める事は出来なかった


だって

これはまごうことなき、真彩へのメッセージであったから


「何を笑ろうておる。勝家」


信勝が声をかけてきた


(やば...言い訳を考えないと)


頭をフル回転させる


「カラスの死体にこの絵。手紙からも読みとれるよう脅しですね

ここまで、潔く脅されると笑いがこみあげてきてしまいました」


言い終え軽く頭を下げる

これでどうですか?


様子を伺う

何やら信勝は考えているようだ


「勝家よ。カラスはわかる。そのまま殺すという意味だろう。」

「はい」


「では絵は何だ?」

「失礼」


信勝の疑問がすると林秀貞が間をぬい絵を確かめに来た


「ふむ、これは竜...ですか?」

「ああ、僕も竜と捉えたよ」


そう竜だ

しかも条件付きの

真彩はすでに作ってあった文を告げる


「この竜の左目を見てください」


皆が注目する


「この竜の目は潰されていると見えませんか?」

「言われてみると」


やはり、他の人にもそう見えるらしい


「絵を信勝様と重ねると…」


この説明でどうですか?


「なるほど。信勝様に目を潰すなどの苦痛を与えた後カラスの様に無惨に殺す。3匹のカラスがいる事から家臣も根絶やしと言った解釈といった所でしょうか」


「そんなの僕は嫌だぞ!!」

「大丈夫です!我々兄妹で信勝様にはふれさせません」


「ほんとうか?」

「はい、信勝様の身は守るゆえ、安心して会談をした方が良いかと」


「なぜじゃ!?何で僕がそんな危険を起かさなくてはならない」


まがりなりにも城の主の立場のくせにコレですもんね...

この2日間の間で真彩は信勝の良いと思う所1つも見つけられていない


「信長様の手紙を思い出してください。手紙の中には、松平家と斎藤家と力を合わせ我々を襲うと書いてあるのですよ?大ぼらの可能性もありますが」


林秀貞から弟の林通具へと言葉が引き継がれる


「信長は斎藤道三とは4年前に一度会われています


そして松平家の今の大将と子供の頃息があったとか

もしも本当に力を借りられるなら、私たちは蟻のように踏みつぶされます」


信勝をまくしたてる


「ううぅ~しかしだな」

「向こうが会談場所にしてきたのはこの城でございます。万一の事はありえません」


「この話合いは重要かと思います。何らかの策を講じるのは、会談の後にでもいいでしょう」

「そ、そうだな」


とうとう信勝が肯定的な返事をした

真彩が話すまでもなく


(私の誘導したかった方へ言ってくれてラッキーです)


後は、優柔不断ではっきりしない信勝を


「勝家はどう思う?」

「はい、最善の策だと思われます」

「そうか。そうだよな」


後押しすれば


(チェックメイトですぅ)


「では、すぐにそのように返事を出す!今は敵方の旗は無いのだな?」

「ハッ」

「では軍勢が来る可能性が怖いから、明後日にでも会談をすると返事を出せ!」

「かしこまりました」


流石は先輩方うまくいきすぎです

笑いが止まりません


「では、解散としよう」

「「「「ハッ」」」」


真彩は悪役が浮かべそうな笑顔を床に向かって下げた

はい、どうだったでしょうか

やっと作戦開始です。今回の話で、独眼竜について話が出てきましたが

伊達政宗は実際そう呼ばれていたんでしょうか?いないんでそうか?

竜という概念があったのどうかですら疑問だし

他にも甲斐の虎や越後の龍もどうなんだかって話なんですが

今作中では、実際に呼ばれていたものとします

理由はその方がかっこいいし夢があるからですw

言っておかなければならないことも終わったので


ここまで読んで下さった皆様ありがとうございました

次話からもよろしくお願いします。では、これにて

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