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音の鳴る日本-1

 片付けも終わり店のシャッターを閉める。俺達はいつものコンビニへ向かうと、ビールもどきのロング缶を買い、今夜はドコに飲みに行こうかと相談を始めた。

 「今日は桜坂以外の場所で飲もう。」

 俺はタクヤの提案に賛成した。


 飲食店で働く俺とタクヤは、日曜日の閉店後、必ず二人で飲みに行く。いつの間にそうなったのかはわからないけれど、日曜日は二人だ。お客さんや、お互いの友人や女の子を交える事もなく、二人で飲みに行く。

 俺もタクヤも、知り合う以前から桜坂と呼ばれる通りでよく飲んでいた。でもお互いに行っていた店は不思議とバラバラで、店を紹介しあったり、お互いに気になっていた店に入ったり、そこが積極的なアニキの経営するゲイバーで圧力に恐れをなした俺はタクヤを置いて帰ったり、とにかく日曜日はそんな日だ。

 ただ、今日は二人とも桜坂に行く気分じゃない。中途半端な知り合いに会うのが面倒なのかも知れない。


 俺達は少し外れた道を歩き、以前から気になっていたバーに入った。


 その店は民族楽器が並び、レゲエが流れ、黒人のマスターは何を訊ねても「イーンジャナイカ!?」と陽気に答えてくれる、ジャマイカンな感じのバーだった。

 二人とも見慣れない民族楽器で遊び、酒を飲む。

 すっかり社交的になった俺達はカウンターに座っている、ジャンベと言う名の太鼓を持った白人を見つけ、隣に腰をおろし、ジャンベの技術に驚嘆し、教えてもらいながらうまい酒をたらふく飲んだ。

 英語を話すタクヤが少し羨ましかった。

 

 何でもこの白人は俺達と同じ25歳で、大道芸をしながらアジアを旅して4年目になるカナダ人。名前をショーンと言った。


 俺達のように沖縄に移住してくる人間は、旅好きが多い。と、思う。

 タクヤはアメリカに住んでいたときの事をあまり話したがらない。

 俺が韓国に行ったのは、一人旅気取りのただの旅行だ。

 台湾に行ったときのコトも、旅をしたという感覚にはなれない。生活が出来ていたわけでもないし、あの寺の人達との出会いが無ければ、多分死んでいた。


 小説家の誰かが、海外に住んでいる、住んだ事があるやつは、それだけで価値があると言う。 乱暴な意見だし、お前何様だ!と若干思うけれど、俺も半分はそう思う。

 

 だからこのとき、純粋にショーンを、カッコイイな、と思ったんだ。


 



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