23 依頼者
小田急梅ヶ丘駅を降りる。
大学の方向に進み途中を右に曲がった所にベイカー興信所はあった。
誰かがいるようだ。
中の様子を伺っていると電話が鳴る何か話していたが、電話を切ると慌ただしい気配がしている。
突然事務入り口ドアが開き、痩せ気味の40代ぐらいの男が出て来た。
戸締りをしている後ろから、頭にブラックジャックを叩きつける。
素早く男部屋の中に蹴り飛ばす。
鞄から結束バントを取り出し足と腕を絞める。
机の上PCを覗くとラッキーな事にシャットダウンしていない。
直近の依頼書のフォルダーを開けると隠し撮りした俺と玲子の画像が出て来た。
(依頼者は須山百合。住所は経堂・・・)
間違い無い小柳取締役の若い愛人だ。
(何故だ?)
須山百合の電話番号とメアドを写メする。
防犯カメラのデータを消去し、公園でくたばっている男のスマホを拭いて机に置いた。
男の拘束をとき事務所を後にする。
途中でブラックジャックの砂を捨てる。
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3日経ち小柳の部屋に呼ばれる。
口座のメモを渡される。
「昨日入金されてるはずだ、確認してくれたまえ」
「それは不用ですよ」
「ところで例の物はいつ渡せるんだ?」
「今持ってますよ?」
「今か!すっ、すぐ持って来てくれたまえ!切れそうなんだよ!!」
ロッカーに戻りスーパーの袋を小柳に渡す。
受け取った小柳は恍惚とした目をしている。
「いやいや須藤君は有望株だな!」
「いえ私など夜学出なのでとても・・・」
「謙遜しちゃいかんよ!それだけ優秀なら大学なんぞ関係無い。今度娘を紹介するから会ってやってくれたまえ!」
「はい、恐縮でございます」
(ホストに入れあげている、かなりの馬鹿女と聞いた事があるけどな)
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昼飯に昆布だしの蕎麦を食べていると、送っていたメールに返信がきた。
須山百合からだ。
今日、経堂のカフェで待ち合わせだ。
定時で退社し待ち合わせのカフェに急ぐ。
店に入ると百合はもう待っていた。
ド派手なド金髪だ。
とにかくゴテゴテしたゴージャス感が凄い女だ。
わざと盛っている感がする。
百合に続いてカフェを出る。
そのまま寿司屋に入る。
「お好みで」っと言って注文する。
本格的な江戸前寿司で驚くうまさだ。
須藤は干瓢巻きにたっぷりのわさびを入れた鉄砲でしめた。
「須藤さんじっくり話したいの、部屋に来ない?」
「わかった」
経堂の百合のマンションは玲子のマンションより圧倒的に豪華だ。
億はするだろう。
百合はコナ・コーヒーを淹れてくれた。
爺さんの土産だろう。
コナコーヒーは玲子のところにもあったが、こっちの方が雑味が無く高級な豆だ。
同じ物でも良いだろうに、こんなので差をつけるみみっちい爺さんだ。
「さて、誰かさんのせいで私が依頼した興信所の調査員が、覚醒剤不法所持で捕まってるのよ」
「嗅ぎ回るのが気に食わないな。そっちの目的は?」
「玲子よ、ずっと調べてるのよ。あいつに男が出来たって聞いて。おかしいでしょ?あなた急に接近したわよね?明らかに目的があるわよね?」
「さぁ、何の事だ?」
「小柳を薬中にしたでしょ?」
「・・・」
「須藤良太さん、腹割って話してくださいよ。貴方に協力が出来るかも知れません」
「お前は何だ?小柳の愛人だろ?」
「・・・話すわ」




