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第50話

 シルベルスの運用における最大の懸念点はやはり環境問題だったようで、その部分が解決された今、会議は一気に軌道に乗った。


 司とユエルが考えたシルベルスでのストーリーは王道展開ものではあったが、それが逆に良かったのか特に反対意見が発生する事なく二人のアイディアは採用されていく。


 蒼の時と異なり今回は第一部と第二部に分けて物語は展開されていくようだ。


 第一部では主人公たちが物語のメインとなる五か国それぞれを訪れ、その国における災害の発生原因の解明とその原因に繋がる要素除去の為に奮闘する。


 第二部では五か国それぞれの災害を取り払い平和をもたらした後の話となる。全ての原因の源は原初の災流庭園にある事が第一部における最後の国で明かされ、何故シルベルスではそもそも災害が各国を蝕んでいたのか、その謎に迫る事になるのだ。


 国の為にではなく世界の為に主人公たちは原初の災流庭園へ向けて動き出し、決戦の地最深部で司&ユエルと激突して勝利する。災害の根元を焼き切った事で真の平和がシルベルスに訪れ、無事ハッピーエンドという流れだ。


 このおおまかな話の流れは司とユエルが既に決めていた内容に含まれていた事もあり、細部を決めるだけで良いスムーズな会議となった。


 最初から最後までの展開の骨組が決まった後、昼休憩を挟みシルベルスの異世界創生会議一日目は後半戦を迎える。


「さて……んじゃあ会議再開するぞ。早速だが俺の中で今回のストーリーについて思った事を正直に話すぜ」


 このまま司とユエルが考えた内容通りにシルベルスの世界観とストーリーは確定するのだと、本人たち含め大体の人が思っていた。


 だがカムリィは違ったようで、ノアを眺めながら今回のストーリに関して気になる点を一言感想で口にした。


「ハッキリ言って弱ぇな」


「え」


「よ、弱い……?」


 司とユエルはカムリィの顔を見ながら彼の言葉を意味を考える。


 ストーリーに対して弱いとはつまりインパクトが足りないという事だろうか。確かに各国を訪れて行く先々で問題点を解決していき、最後は世界規模の問題点を解決する為に行動する流れは王道展開ではあるが、会議中にカムリィは一切その部分に対して口出しはしなかった。


 つまり納得していたと勝手に思っていた訳だが、内心は真逆だったのかも知れない。


「ああ。普段の異世界運用なら、俺もこの内容で問題無いとして通してるさ。主人公が楽しめそうなら余程酷くない限り大体は問題ねぇんだ。だからみんな、環境問題とかにはあーだこーだ話したが、それ以外については特にうるさく言わなかっただろ? けどな……」


 ここでカムリィは視線をノアから司とユエルに向け、その力強い眼差しのまま続けた。


「今回は異世界運用評価対決……しかも相手はあの手錠双璧の二人なんだぜ。どうせやるなら勝ちたいって気持ちがあるんなら、もう少し練った中身にしないと勝てねぇな。勝敗なんて気にしないって言うんなら、さっきも言った通り俺はこれでも通すがな」


 カムリィの言葉に会議室が静寂に包まれた。


 普段は支離滅裂な内容になっていないか、主人公が楽しめそうな内容になっているかというような、必要最低限の部分を満たしているかどうかの確認がメインとなる。


 その為、ラスボス役が考えたストーリーや世界観の出来が悪すぎない限りは、特に問題なく進んでいくのだ。だが今回のように評価が絡み、どちらの異世界運用が優れていたかを勝負するとなれば話は別だ。


 勝利に拘るのであればいつもと同じ感覚で決定していく事はできないだろう。


 そしてカムリィには分かっていた。今の内容のままでは勝負するまでもなく手錠双璧チームに負けてしまうと。向こうの状況を把握している訳では無いが、ナレッジの面では圧倒的に手錠双璧の方が上である事を考えると、そういう結論に達してしまうのは至って普通である。

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