表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/203

第47話

「 (そろそろかな?) 」


 会議が始まる時刻の約十秒前、司はカムリィの近くへと行き彼を起こす。目を閉じていただけでなく割と本格的に寝ていたようで、日々の疲れを彼は取れているのだろうかと少し心配になる程だ。


「おう、サンキューな。……さてと。それじゃあ会議始めるか。いつも通りノアに送った資料を基に進めていくぞ」


 最初こそ一回欠伸が入ったものの、カムリィはスイッチを切り替えたらしく表情を引き締める。やはりリーダーが完全にオン状態になると場の空気も一変した。


 カムリィを中心に会議は進み、司とユエルが二人で思考を巡らせた世界観を各関係者は頭に叩き込みながら細かい所を深堀りしていく。


 今日は第一回目の会議の為、世界観とメインストーリーの決定まで進める必要がある訳だが、その際に懸念点が一つ上げられた。


 今回主人公たちの物語の舞台が些か過酷ではないかという点だ。


 災害を舞台にしているだけあり、最初の国では伝染病、次の国では地震、その次は極寒と雪害、その次は酷暑と火山災害、最後の国では風水害といった、ストレス値がマッハで加速しそうな環境下に常に主人公たちは身を置く事になる。


 各国でメインとして扱われる災害を食い止めていく事がダブル主人公とその仲間たちの目的となるのだが、ジャンルの違う耐え難い環境が次々と襲って来る今回の世界は確かにキツいものがあるだろう。


 どれだけ協会が様々な事に挑戦しようという心意気を見せているとは言え、異世界転生した主人公に満足できる異世界ライフを提供したいという根っこの部分に変わりはない。


 司とユエルの考えた異世界『シルベルス』は、ストーリーが面白くとも環境は果たして満足できるかどうか。この部分は要検討対象となるだろう。


 蒼の時は途中からストーリーをガン無視した展開となったが、あの異世界運用が咎められなかった理由は蒼が心の底から楽しんでくれたからだ。異世界運用においてラスボス役は主人公の引き立て役に過ぎず、主役はあくまで主人公となる。


 ストーリーや世界観を練りすぎて根本的な所を見落としてしまっては、本末転倒なのではないか。そういった意見も会議では飛び交った。


 議論はヒートアップしていくが、そんな中でカムリィは至極冷静にこの懸念点に対する回答を立案者に求める。


「まぁまぁお前ら。一旦落ち着こうぜ。確かに俺も最初は今回の異世界は環境が少しキツくねぇかとは思った。けど、さすがにその点を考慮していないお前ら二人じゃねぇだろ? 今回この舞台で良しとした理由をどっちでも良いから俺らに説明してくれ」


 カムリィに振られた司とユエルはお互いに顔を見合わせる。そして司がうんと小さく頷いてから再度前を向き口を開いた。


「それじゃあ僕から説明します」


 会議でこのような意見を予想できなかった司とユエルではない。特にユエルに至っては歴こそ浅いもののラスボス役としての実力は他と比較して頭一つ抜けているのだ。一番基本的な部分を見落とすなど有り得ない。


 司とユエルが二人で決めている途中、彼は過酷過ぎる環境であるが故に会議で反対されるのではと心配していたが、ユエルは待ってましたと言わんばかりに得意気な顔でどんな異世界運用にも通じるような解決策を司に伝えたのである。


 この解決法は基本的にどんな異世界にも通じるが採用されるケースはそこまで多くない。故にその方法を取れば問題を解決できるという事が頭から抜け落ちていても誰も責めないだろう。


 救済措置のような扱いを受けているそれはある意味で切り札的な策であり、まさに今回のような異世界運用にはもってこいと言ったところだ。


 主人公にとって第二の世界となる場所が過酷な環境であっても問題ない理由。それを司は自信満々に話した。


「皆さん……異世界転生した主人公はその人が本来有している來冥力が極限まで下がる状態になりますが、彼らには『付加能力』を与えられる事を忘れていませんか?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ