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第43話

 司はユエルの近くまで来ると少しホッとしたような表情になる。


「良かったぁ。先輩の到着が少し遅い気がしたから心配で」


「す、すみません。コハク会長とのお話が思ったより長引いちゃって」


「まだ始まるまでには時間あるので大丈夫ですよ。ところで、こちらのお二人は?」


「えーっと……恐らく手じょ……」


 ユエルがムイとロアの紹介をしようとした際、ムイが一歩前に出て司に向かって右手を出した。


「初めましてだな。手錠双璧のムイだ。よろしく」


「……! 君があの……。という事はそっちの子がロアか。よろしく、僕は天賀谷司。ここでこうしてこの四人が揃うなんて奇遇だね」


 司は差し出されたムイの右手を握って、握手をする。それを確認したムイは握力検査時のように握る力を一気に強めた。まるで司の手を握り潰すかのように本気の力を込める。


「まさかこんなガキが元リバーシだなんてな。身分を偽ってるんじゃないか? 司」


「……。君はあれかい? 世間知らずなのか? リバーシに必要なのは年齢じゃなくて単純な実力と才能、そして感情の制御能力だよ。それさえあれば十歳の子どもでも加入できる世界だ。もっとも君のようなすぐ喧嘩を吹っかけてくる野蛮人には一生届かない世界だろうけどね」


 司は負けじと同じく渾身の力を込めてムイの手を力強く握り返す。司の見た目に完全に騙されたムイは彼を非力な男と判断したらしく、想定外の力に思わず眉間にしわが寄る。


「はん! 感情に任せて暴れた事でクビになった奴が何を偉そうに。結局その後に行く当てがなくてここに来た落第生って事だろ? 受かったのも一応元リバーシっていう汚い肩書きがあったおかげだろうよ」


 ムイは司の対抗心に対抗する為に更に力を込めて握り返す。正直司の握力も相当なものだったからか手の痛みが尋常じゃないが、今それを気にしたら負けな気がしたのだ。


 二人の腕と手はプルプルと震えており互いに譲れない力比べをしている事が他人の目から見ても明らかだった。そんな中司はムイの発言に怒りを見せる。


「肩書きだけで受かるんだったら僕は一発合格してるはずでしょ。転生協会はそんな不誠実な採用をしてる場所じゃないよ。それとね……ここを行く当てが無い落第生たちが仕方なくやって来る妥協先みたいに言うの止めてくれる? ここで活動してる人たちに失礼だし何より僕は来たくてここを受けたんだ。普通に不快なんだけど?」


「……くっ……」


 ここでムイは司のクラッシュ力の強さに遂に声を漏らしてしまう。だがここで引いてしまってはさすがに格好が悪すぎると思い、我慢しながらも手を離す事は無かった。


「ムイ。正直見苦しいからそろそろ引いた方が良い」


 このままではムイは意地を張り続けてしまうと思ったロアは、彼が引きやすいような空気を作る。これによりロアに言われたから仕方なくというそれらしい理由が彼の中には生まれた訳だ。


 正直この流れで身を引くのは司に負けた気がして悔しいが、この機を逃すとそれこそタイミングを見失う。ここはロアの気遣いに甘えるべき場面だろう。


「……チッ」


 ムイもそれを理解したからか不服ではあるものの乱暴に司の手を振り払った。そして司の事を睨みながらムイは彼の名を呼ぶ。


「司」


「何?」


「どうして今回の評価対決の対戦相手にあんたら二人が選ばれたか、知ってるか?」


 急にムイから振られた質問は先程までのやり取りとは全くの無関係なものだった。


「いや、知らないよ」


「俺とロアには弱点があって、それを詳らかにする為らしい。そして、その弱点を浮き彫りにさせてくれる対戦相手として最適なのが、あんたら二人って話だ」


 コハクから聞いた話をムイは簡潔に話す。


 司とユエルからすれば、その開催目的はにわかには信じがたい話だった。

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