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第200話

 だがこちら側も何か話した方が良いだろうと思ったのか、それとも単純に気になっている事だったからなのか、ムイの方から歩み寄って彼は司にこんな事を言った。


「おい司。さっきコハクの部屋の中でお前が話していた事だが、今日の夜に聞かせてもらう事は可能か?」


「僕が話していた事って……ああ、僕が昔会った人たちの事? いつかは新旗楼全員に知っておいて欲しい話だし、良いよって言いたいところだけど、結構周囲の目を気にする話になりそうだから、お店の中とかは厳しいかな」


「そうか。なら、今度お前か俺らの家の中で話すって事ならどうだ?」


「それなら良いよ。……あれ? 俺らのって事は、もしかして君たち同棲してるの?」


「余計な事は聞かなくて良い。とにかく約束だぞ」


 それを最後に二人の間に会話は無くなったが、気まずい時間が訪れる事は無かった。協会の人間が彼らの元にやって来て、彼らに話し掛けたからだ。


「お。四人ともここに居たのか」


「あ? 誰だ、あんた」


「今回の評価対決関係者の一人だよ。君たちに用があって来たんだ。今大丈夫か?」


「ああ。ちなみに今日は俺ら夜七時から予定があるんだが、それまでには終わるか?」


「それまでは拘束しないから安心して良いぞ」


「分かった。おいロア。行くぞ」


「ん」


「……? 何でしょうか、急な呼び出しなんて」


「さぁ。でもこの四人が呼び出しって事は評価対決関連じゃないですか?」


 四人は協会の人間に呼び出され、その場から離れて行った。


 司とユエルはともかく、これから謹慎生活が幕を開けるムイとロアが何の用で呼び出されたのか見当もつかないが、この謎の答えは、会議室内ですんなりと解明された。


 どうやら()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()との事。


 新旗楼に加入してくれた事に対するコハクからのお礼であり、しかもシルベルスの主人公の異世界接待を綺麗な形で終わらせられるメリット付きだ。


 コハクは『シルベルスの主人公のその後』をどうしようかと悩んでいた面々にこの決定を伝え、今に至る。本当は謹慎処分自体の撤回が理想ではあったが、そこまでの説得はさすがのコハクもできなかったらしい。


 それにしてもこのスピードでここまで話を進められるコハクはやはり化け物だ。


 幸いな事にシルベルスの主人公はあの滅茶苦茶な展開を、協会が用意した裏ボス&アフターストーリーだと思い込んでおり、続けるとしたらムイ&ロアが最適だろうという話で進んでいる。つまりムイとロアは今後の動きを明確にする為に、そして司とユエルは引継ぎ情報提供要員として呼び出された訳だ。


 この提案に最初こそ渋った顔を見せたムイだったが、今となっては申し訳無かった気持ちもあったのだろう。ロアが受け入れた事も大きな後押しとなり、何とかその方向性で決定した。今日から明日にかけて具体的な話し合いが行われ、明後日からが本番となる。そしてその仕事を終えたら謹慎生活に突入という流れで説明は終わった。


「まぁ当然と言えば当然か。みんなに迷惑掛けた分、その責任は取るべきだしな」


 そのムイの一言に関係者は驚く。全員が全員『あのムイがこんな発言を』という目で彼を見た。そしてこれをキッカケに少しでも物腰が柔らかくなれば良いと願ったのだった。




 一方彼らが会議室へと移動していた頃、仲良さそうにしていた司たちを陰でこっそりと見ていた琴葉とマキナは、その事を話題にしながら協会内を歩いていた。


「ねぇ琴葉ちゃん。何であの四人の所に出て行かなかったの~? 私も会話に参加したかったのに!」


「バカ。今回はあの四人の輪に入るべきじゃないと思ったからに決まってるだろ? 評価対決の件は君も把握しているはずだ。きっと仲を修復しようとしている最中だったんだろう。そんな時に評価対決とは無関係の私たちが入るのは無粋ってやつさ」

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