第20話
例外に興味を持った司以外の三人はコハクの話に今まで以上に耳を傾ける。
「リバーシはね、最初から候補生を一人で活動させたりしないのよ。正式なメンバーになるまで、候補生はその潜入先で既に活動している構成員とタッグを組まされて一緒に活動するの。必然的にそのタッグ相手は仲間という認識で知る事になるわね」
今の司とユエルのような関係性なのだろう。高い能力を求められるリバーシの試用期間と言えど、いきなり一人で全てをやらせる訳では無いようだ。
最初は教育係のような存在が側に居る点は、どの世界・業界でも同じという事なのだろう。
「確か司くんから聞いた話だと……ええっと……候補生は五大機関とそれ以外の場所で二年ずつ経験を積んで、その後能力的に問題が無い事を証明したら晴れてメンバー入りを果たす……でしたっけ?」
蒼の異世界運用によって司がリバーシ候補生だとバレた後、ユエルたちはその事を知識として得た。復習の意味も兼ねてユエルはまずその点を確認する。
コハクは満足そうに微笑み、一言だけ返す。
「正解!」
「間違ってなくて良かったです……。と言う事は司くんもコハクさんも、誰がリバーシの人なのかは最低二人は知っているという事ですか?」
「候補生として五大機関でタッグを組んだ人一人、そこ以外でタッグを組んだ人一人だから、確かに自分以外の誰がリバーシメンバーなのか最低二人は知っている事になるな」
「理解が早くて助かるわね。それで合ってるわよ」
「まぁでもさすがに誰かまでは口が裂けても言えないですけど……」
微笑みながらも司は困り眉になる。彼女たちの認識通り司には牢政時代に一人、転生協会に来た時に一人、今のユエルのような教育係がそれぞれついていた。
もしも彼がクビにならず、正体もバレなかったら今でも転生協会ではその人と裏で繋がりを持っていたに違いない。
「それは分かっていますので安心してください。さすがにそこまで無理して聞き出そうとはしないので」
「助かります」
この時リバーシでの教育係に関する事が話題になっていたせいか、司は思わず転生協会内でのその人が誰なのかを頭に思い浮かべていた。
「 (僕にとってはカムリィさんがそうだった訳だけど、もう候補生じゃなくなっちゃった以上は、ただのラスボス役と総責任者っていう関係になっちゃったよなぁ。本当はカムリィさんからもっと学ぶべき点はあったんだろうけど……取り敢えずこれからはカムリィさんの正体がバレない様に立ち振る舞いには気を付けないとね) 」
蒼の異世界運用時に司はカムリィと親しげに話していた時があったが、まさにお互いの裏の事情と正体を知っていたが故に行われたやり取りと言える。
「……あれ? ちょっと待って。て事はさ、コハクちゃんは司くんがリバーシ候補生だとは最初知らなかったの?」
「あ。た、確かにそうなりますね。司くんが協会に来た時は既にコハクさんはリバーシを辞めていますから、タッグ関係の線も消えますし……」
「司が候補生だと知ったのはあなたたちと同じタイミングよ。当然それまでは彼が候補生だったなんて知らなかったわ。もちろん司も私が元リバーシのメンバーだったなんて知らなかったでしょうね」
「そうですね。だから知った時は本当に驚きましたよ。まさか転生協会会長が元リバーシのメンバーだなんて想像すらしていなかったので」
先入観とでも言うべきか、三人とも司とコハクはリバーシとして活動していた時に知り合い、友達になったのだと勝手に思い込んでいた。
だがこれまでの話からすると二人は知り合ってから間もない事が予想できる。




