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第199話

「あ? 何だよ、司。珍しく大きな声出しやがって」


 司の声に反応した二人は立ち止まって同時に振り返る。全くの同時であり、こんな時でも息ピッタリだ。彼らが自分の呼び掛けに気付いた事を確認した司は駆け足で近付く。


「あ、待ってください、司くん!」


 ユエルも彼に倣って小走りに。やがて司とユエルはムイとロアの居る場所まで辿り着いた。それと同時に司が驚きの提案をした。


「二人さえ良かったらなんだけど、今日の夜、この四人でご飯でも行かない?」


「は?」


「え?」


「……」


 それぞれが司の言葉に反応する。ロアに至っては若干眉がピクリと動いた気がしなくもない。


「せっかく同じ目的を共有する仲間になったんだし、親睦を深める為にさ! それに君たちとは、戦いはしたけど仲良くはして来なかったでしょ? これを機会に友達になりたくてね」


「友達って……」


「ダメかな?」


 司の笑顔には一切の邪念が感じられない。


 本気でそう思っている事がそれだけで伝わり、逆に困惑してしまう。


「満面の笑み浮かべてるところ悪いがな、司。確かにさっき会長さんの部屋でお前らに対して言った謝罪の言葉や感謝の気持ちは本物だ。けど、だからって俺らは別にお前らと今後仲良くしたい訳じゃない。何で一緒に飯に行かなきゃ……」


「ムイ。せっかく誘ってくれてるのに失礼」


 意外にもロアはノリノリなようで一切嫌な顔を見せず司の誘いを受け入れた。


「ろ、ロア? お前俺を裏切るのか?」


「そうじゃない。ただ……」


 ここで一拍間を空けたロアはムイの目をジッと見ながら言った。


「私たちはそろそろ他の誰かと交流を深めるべき。これはその第一歩」


「う。それはまぁそうだが……ああ、分かったよ! それじゃあ今日の夜七時! 場所は後でノアに送るから、さっさとあんたらも出せ」


 ぶっきらぼうに言いながらもロアの考えを尊重している所を見ていると、彼は一生彼女に勝てないんだろうなと思ってしまう。


「うん!」


「何笑ってやがる」


「いや別に? 嬉しいだけだよ。あ、すみません、先輩。勝手に話進めちゃって」


「い、いえ! 私も正直お二人とは仲直りをしたかったので、その機会を作ってくれて寧ろ感謝してます!」


 司とユエルはノアを出し、四人で連絡先を交換し合い、更には四人のチャットグループまで作った。


 手錠双璧といがみ合い、シルベルスでは本気のぶつかり合いまでした過去の司たちに見せたい光景である。


「やれやれ。まさか元リバーシの奴と一緒に飯行く事になるとはな」


「ん。人生何があるか分からない」


「あ! ロアさんのチャットアイコン、猫キャラですか? 可愛いですね!」


「ホント? それ私のお気に入りキャラクター」


「何のキャラクターなんですか?」


「うんとね」


 どうやら女性陣は可愛らしい話題で盛り上がり始めたようだが、男性陣は全然そんな事は無かった。無言で彼女たちの会話を眺めているだけとなっていた。

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