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第195話

「ほーん。まぁ、取り敢えず信じてやっても良い。でだ。俺がこんな提案をした理由だがな、存在意義を見出したいからだ」


「え?」


「リバーシの試験に挑んで、内通者に騙されて、復讐するも失敗に終わり、更には間接的にそいつらを死にまで追いやって、最終的にはあんたに落とされて。協会に来てもあんたの計画に踊らされ、勝手に評価対決を滅茶苦茶にして、計画の立案者に可哀想だからと庇われて……何だよこれ。俺ら何の為に生きてるんだよ」


「で、でも! お二人は協会ではダブルラスボス役としてとても貴重な人材で……」


 フォローに入ろうとするユエルに対してムイは、鋭さすら感じられるもの言いでハッキリと言った。


「そんなものに興味は無い」


「ど、どういう意味ですか?」


「覚えてるか? 俺らが初めて会った時、司に言ったよな。リバーシを辞めた後に行く先が無くて協会に来ただけだろって。あの言葉、まさに俺らの事だよ。二人には悪いが、俺らは協会や異世界運用が好きで来た訳じゃないんだ。それにダブルラスボス役として貴重な人材だと? じゃあお前らは? 今回の評価対決においてラスボス戦まで無事に終わらせる事ができたじゃないか。しかもユエルが開花適応した後の戦闘じゃ、阿吽の呼吸で俺らを倒しただろ。もう『手錠双璧じゃなければ務まらない役』の時代は終わりを告げたんだよ。こうなった今、俺らは何を頼りに生きていけば良い?」


 ムイの問いにユエルが答えられるはずも無い。協会での生活が楽しく、生きがいを見出しているユエルにとっては考える必要すら無かった話だからだ。


「分かっただろ? 会長さん。俺らは、この劣等感を排除したいんだ。開花適応の力はリバーシでしか役に立たないもんだと思ってた。でもここなら、開花適応の力を思う存分使えるし、俺らだって戦力の一つとして十分なはずだ」


「……」


 ムイの熱弁にコハクは無言で考える。


 確かにムイとロアの來冥力は目を見張るものがある。本来ならば即決断できる場面なのだが、彼女を悩ませている要因はやはり彼らの性格面だ。


 二人が抱く活躍したい気持ち、誰かの役に立ちたい気持ちが暴走しないかどうか。どうしてもその部分が懸念点として燻り続けた。


「 (くっ……やっぱダメか?) 」


「……」


 なかなかコハクが認めてくれない事に対し、ムイが不安を募らせている事にいち早く気付いたロアは無言状態を破って話し始めた。


「コハク会長。あなたとカムリィさんはさっき私たちに約束してくれた。自分勝手な真似はしない事。監査業務に私情を挟まない事。だから今度は私たちの番」


「ロア……?」


 急に前に出始めたロアに驚いたムイは、彼女が一体何を言い出すのか気になり動向を見守る。


「約束する。リバーシ試験の時や今回みたいに暴走しない事。人としてあるべき倫理観と常識を持つ事」


「……! (この子、何が原因で私が迷っているか察したのね。) ……。そう。うん、分かったわ。その部分を約束できるなら私が迷う理由はもう無いわね。歓迎するわ!」


「会長さん……ありがとな。俺も誓うから、その辺は心配しないでくれ」


「……ん」


 余程嬉しかったのだろう。ムイは笑顔でコハクに礼を言い、そして誓った。ロアは相変わらず嬉の感情を表に出さないが、内心は喜んでいるに違いない。


「それにしても、まさか五人も仲間が増えるなんてね。こんな日が来るとは夢にも思っていなかったわ」


 感慨深そうにコハクは話す。ようやくスタートラインに立てたのだ。これまで動いて来た事が無駄では無かったと実感し、思わず涙が出そうだった。


 そんな中、これまで沈黙を貫いていたカムリィが突然彼女の名を呼んだ。


「コハク会長」


「何?」


 彼はコハクの苦労をこの中で最も理解している人物だ。どうしてもこの言葉を彼女に投げたくなったのだろう。


「おめでとうございます。本当に、良かったですね」

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