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第187話

 コハクはカムリィの熱意を受け取った直後に念の為再考し、カムリィならば問題無いだろうと確信したのだろう。頷き、微笑みながら口を開いた。


『そうね。確かにあなたは私の出した難題をクリアして実力を示してくれた訳だし、來冥力に関しては言うまでも無い……うん! 良いわ。教えてあげましょう』


『……! ありがとうございます!』


『私実は新旗楼っていうグループの設立を考えていて、一体どんな活動を目的にしているかと言うとね……』




「……」


「カムリィ? どうかしたの?」


「あ、いえ。ちょっと答え合わせの日の時を思い出してしまって。主に新旗楼についての事ですが」


 激しい戦闘の末にボロボロになった空中噴水広場を見つめながら、カムリィはコハクにそう返した。


 コハクから計画を聞かされたカムリィは、何故ユエルを開花適応者にさせたかったのか言われずとも分かった。リバーシと同等の力を持たせ、新旗楼に誘う為だ。


 どうやらユエルは自分にはそんな力も才能も無いと思い込んでいるようだが、開花適応を果たせた今ならばコハクの望む答えが聞けるかも知れない。そうなれば彼女の計画は大きな一歩を踏み出せる事だろう。


 そんな事をカムリィは、この時考えてしまったのだ。


「そう。……ねぇカムリィ。ユエルは新旗楼に入ってくれると思う?」


「どうでしょうね。どれだけ実力があっても、界庭羅船に立ち向かう勇気が無いと新旗楼に入って戦いに身を投じようとは思わないでしょう。逆に言えばそこさえ解決すれば協力してくれるはずですが」


「やっぱりそこよね。さすがに無理強いはできないから、断られたらそこまで……また候補となりそうな人を探すしかないわね」


「けど俺は……」


 カムリィは見えていないはずの司とユエルに視線を送って柔らかな表情を浮かべる。


「きっとユエルだったらあなたの望んだ回答を口にしてくれると思いますよ」


「ふふ。だと良いけど。さて! お話はここまでにしましょう。あの二人には随分と無理させちゃったし、もう休ませてあげなきゃね。ここから先は私たちの仕事よ」


「はい!」


 カムリィはコハクの言葉に即返事を返し、やる気に満ち溢れた様子を見せる。


 コハクの言った仕事とはつまり後処理の事だ。


 手錠双璧が引き起こした今回の襲撃事件。ユエルが異世界運用中に開花適応を果たした事。


 世間や協会だけでなく、カムリィに至ってはエンペル・ギアにも報告する必要がある。


 それ以外にも司とユエルには今回の件については知る権利がある為、後ほど一から十まで丁寧に説明しなければならない。


 このようにやるべき事は山のように存在する。コハクは裏で糸を引いていた張本人として、カムリィはコハクの計画を知った上で協力した共犯者として、様々な後処理をする責任が発生している。


 当然二人はその責任から逃げようとはしていない。新旗楼の計画を一歩前に進める為に必要な事と思えば、そのくらい難なくこなしてくれるだろう。


「それじゃあ行きましょうか。あの四人の所へ」


「はい!」

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