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初対面
翌日、香里奈は約束の時間に工場に到着した。そこには、電話で話した若い整備士、小松和広が待っていた。
「こんにちは。豊田香里奈さんですね、よろしくお願いします。さっそく車を見せていただきますね」
和広は香里奈のフェアレディZのボンネットを開け、エンジンを丁寧にチェックし始めた。その姿を見て、香里奈は和広の真剣な表情に少し感心した。
「確かに、このエンジンの状態は少し問題がありますね。しばらく時間をいただいて、詳しく調べてみます」
そう言って和広は作業を続ける。香里奈は待合室で待ちながら、ふと政府の新しい少子化対策について考えた。ニュースで聞いたその施策が、これからの彼女の生活にどんな影響を与えるのか、まだ実感が湧かない。
そんなことを考えているうちに、和広が戻ってきた。
「香里奈さん、お待たせしました。エンジンの不調の原因がわかりました。部品の交換が必要ですが、すぐに修理を始めてもよろしいですか?」
「もちろん、お願いします」
和広のプロフェッショナルな対応に、香里奈は少し安心しながら頼んだ。これが、二人の出会いの始まりだった。




