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第1話
華井まり。
二つの三つ編みおさげに眼鏡の女子。
大人しくて寡黙。
親しい友達ゼロ。
つまり。
「ボッチっていう奴」
クラスの私の評価はこうだった。
いわゆる陰キャ。
クラスのカーストも最下級クラス。
「私だって好きでこうなった訳じゃないのよ……」
こうなったのも……。
誰も居ないお手洗いの鏡を見て私はそっと眼鏡を取る。
ジッと鏡の中の私が睨むようにこちらを見ている。
瞳の色が薄い。
これでどれだけ苦労したか。
「何処でどう私の遺伝子は狂ったのよ」
私は呟く。
その時お手洗いのドアが開いて、女子が数人入ってきた。
サッと秒の速さで眼鏡を掛ける。
そしてさも今手を洗い終えたかのようにハンカチをポケットから取り出して手を拭く真似をする。
見られていない筈。
けれど、私はその場を後にした。
かしましい声が背後で聞こえる。
学校は息苦しい。
本当に息苦しい。
誰も、本当の私なんて見てくれないのだから。
そんな私がある男子生徒の視線を浴びてたなんて、知る由もなかった。
まだ、この時は……。
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