第11話
再度問われて、俺は当たり前のようにある言葉を返した。
それを聞いて二人が目を見張る。
「成る程。……いやあ奥井くんの想いの熱さには参ったよ。是非、我がポエム俱楽部に入って欲しいほどの熱量と語彙の素晴らしさであって」
「お兄様、お父様が呼んでいますよ?」
テンがつんつんと兄の肩を突く。
「あー、眼鏡が出来たんだろうね。ったく今から詩について熱く奥井くんと語ろうと思ったのに!」
レンズが仕方なしというように立ち上がって父親の元に行く。
そして眼鏡を受け取ると、俺に差し出して言った。
「この眼鏡に、ありったけの願掛けをしたって。父が」
店の奥から人懐っこい笑みを浮かべた双子の父親が会釈していた。
俺は慌てて頭を下げた。
店を出ると、もう夕方だった。
綺麗になった眼鏡の視界はとてもクリアだ。
「ありがとうございます。レンズ先輩、テン先輩」
俺は一応世話になった二人に頭を下げる。
「いいってことよ。眼鏡を愛する者としての使命を果たしただけさ」
「私もです♪」
双子先輩は手を振って見送ってくれた。
俺は、華井まりの家のある方に向かう為にバス停を目指す。
そして思い出していた。
昔の事を……。
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