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キハの『エッセイ』

あの子の秘密

作者: キハ

前回、友達の裏について書いたエッセイがありました。

https://ncode.syosetu.com/n7505hs/

こちらを見ると分かりやすいかと思います。

まあ見なくても一応状況は把握できると思うので、このまま読み進めても構いません。

 私には、今友達とも言えないけど隣にいて居心地のいい子がいる。

 その子は、容姿が男の子みたいで、一人称も「オレ」。だけど、優しくて、女子だと分かってからは気安く話しかけられるようになった。


 でも、やっぱりその子は人気だった。

 顔もいいし、優しいし、それよりも男子っぽい女子だからみんなの目を引いたんだと思う。

 休み時間、いろんな女子、たまに男子に話しかけられて笑顔で対応していた。

 その笑顔も爽やかだった。本当の男子に見える。


 私は、そんな人気者の人に話しかけるのは正直気が引けた。

 だけど、たまにその子が一人の時に、話しかけることはできた。

 勉強の話、テストの点数、たったそれだけの話をしても嬉しかった。


 なぜかその子は友達を作らなかった。

 話しかければ応答するし、一緒に帰ろうと言えば、一緒に帰る。けど、自分から積極的に話しかけないし、受け身の姿勢を貫いていた。

 だから、いつも休み時間もひっそりと勉強か読書。話しかけられたら応答。そんな不思議な人だった。


 それから席替えがあった。

 運良く、私はその子の前の席になった。

 これで、その子とたくさん話せるな、と思って嬉しかった。

 早速休み時間、話しかけていた。


 だけど、そんなこともできなくなった。

 前に言った悪口を言っているあの子が私のとこに逃げてくるようになったからだ。

 あの子は、一緒にいる友達を些細な理由で嫌いと言って私の方にくっついてくる。

 最初の頃は、嫌ってることなんて分からなかったから友達ができたのかと思ってた。

 だけど、あの子が言った嫌いという言葉で打ちのめされ、今も一緒にいるが心がモヤモヤする。


 そんな愚痴を誰かに言いたかった。

 でも、悪口になるから言えなかった。

 あの子みたいに悪口を言う体質になりたくない。そう抵抗した。


 ある日、数学の小テストがあった。

 私は数学は楽勝だけれど、今回だけ文字の名前を覚えていなかったので休み時間に少し見直そうと思った。

 だけど、案の定あの子が来て、私は強く断れなくて結局見直しなんてできなくなった。

 断れなかった。元々の性格上、はっきり言えなくなった。


 あの子と話して。

 チャイムが鳴ってしまって。

 できなかったなーと思いながら席に座った。


「見直しできなかったよー」


 って声に出ちゃってたらしくて、私の後ろの子が珍しく反応した。

 声に出てたのはびっくりして恥ずかしかった。

 けど、その子が反応したのには驚いてそして嬉しかった。


「え、さっきまで喋ってたじゃん?」


 呆れながらその子が反応する。

 私はため息をついて答えた。


「……まあ、ね……。だって断れなかったんだもん」

「あーね」


 その子が何か言おうとした時、先生が教室に入ってきた。

 慌てて私達は前を向く。テストが始まる……。
















 結局テストは全て答えられなかった。

 文字のところが分からなくて、テキトーに埋めた。一応、全ては書いたけど、やっぱり後悔しかなかった。

 断れなかった私が悪い。けど、それ以前になぜあの子はベタベタくっついてくるのかと思って憂鬱になる。


 もし、あの子が友達ができたら、私のとこには来ないんだろう。

 今、ちょっと友達とそんな感じだから私のとこ来るだけでただ逃げてくるだけで、友達でもなんでもないのに友達みたいな。

 だから、少しあの子のことが嫌いになった。


「いつも、休み時間くっついてるけどイヤイヤなの?」

「……半分」


 後ろの子が話しかけてくる。

 私は曖昧にうなずいた。

 うなずくと悪口になる。それに、イヤイヤながら付き合うってあの子と同じことになってしまうから。

 愚痴は言いたいけど言ってしまったらエスカレートしてしまうから。


「まあね。詳しいことは聞かないけど女子って面倒くさいよね」

「……!」


 その子は少し疲れたような笑いを見せた。

 意外な表情だった。意外な一面だった。

 もう諦めたような疲れたような……もう真実に気づいたような。


 そんな笑顔を浮かべてその子は呟いた。


「だからオレは一人でいるんだよ。頑張って一人になったの」

「……え、そうなの……」


 その子は人気者の癖に休み時間は一人でいる。

 自分から話しかけることなんてないし、いつも受け身を貫いていた。

 どんだけ積極的な女子に話しかけられてもその場で応答するだけで、ついにその女子が諦めて近寄らなくなったことだってある。


 その子はいつも一人でいた。

 けれど、その子は一人でいるのを気に入っていた。

 ずっと一人を貫いてきた。


 素直に感心した。

 素直にすごいな、と思った。

 私は友達が面倒だと思っても一人になるのが怖くて。

 一人でいるのが気まずくて、だから。


 なのに、その子は一人をいつまでもずっと貫けるなんて──。


「すごいね」


 私が呟くとその子はまた力なく微笑んだ。

 その笑顔はいつも見せる爽やかな笑顔なんかじゃない。

 もう悟った年配のような笑顔だった。


 私じゃ面倒でも断れない性格。

 だけど、これからは少しずつ強気に出ていきたいな、と思う。


 ああ。

 あれ、私昔は強気でいっつも友達ができない。それでも気にしないがむしゃらな子だったのに……。

 今は顔色伺って友達作る……汚い人なんだって気づいた。


 その子に気付かされた。

拙作をお読みいただきありがとうございます。

こちらの物語は少しフェイクしてますが、ほぼ真実です。

一人になれる人に憧れます。自由を感じます。


私、今日こんな感じの偽りの友達に苛ついてしまいまして。

何に、とは書かないでおきますが、そこで過去にあったことを引っ張り出して書きました。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  良い話でした [気になる点]  エッセイにしてしまって、大丈夫でしょうか [一言]  うん……。情景は見えるのですが、もうちょっと創作にした方が良いかも……お若いから。書いて上げてしまう…
2022/08/22 20:19 筆は置くもの
[一言] 学生の頃、ずっと一人になりたくなくて、一緒にいてくれる人を探していました。 今になってようやく、一人でいるときが一番気楽なんだって気づけました(^_^;)
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