Review.2:暑いよ。
オレ――間 黙雷が義務教育課程を終了し、そして無事高校に入学して早四ヶ月が過ぎた。
オレが通う学校法人・私立常平学園は、夏休みを迎えていた――
◇ ◇ ◇
「は〜暑いなぁ……」
「まったくだ」
オレは中学時代からの同級である空島と、溜息をつきながら、高台の学園へと続く白石造りの坂を渋々上っていた。
夏休みなのに何故かって?
この高校に、夏季の課外授業なるものがあるからです。
理由?
そこまでは知りません。
履修単位とか色々複雑な大人の事情があるんでしょうよ。
高校ってのは、そんなトコなのです。
理想と現実の違いを、味わうトコなのです。
「にしても暑い」
「暑いな」
空島とオウムの様に何度も暑い暑いと連呼していると、去年の夏を思い出した。
そういえば、あの日も今日と同じような炎天下の日だったな。
その日に初めてアイツと会ったんだっけ。
そう、今オレの部屋の片隅に立てかけてある、碧色の柄巻きと沙羅樹が描き刻まれた楕円の鍔を持つ、草臥れた日本刀。
哀れな魂を、天へと導く道具。
「黙雷?」
その〈導具〉でオレは、生家の寺の鐘楼に巣くう霊を斬った。
それから、街――〈玖刻〉に害のある可能性のある現象を。
今まで何もせず傍観してきた罪を償うように、死に物狂いで、町を駆けた。
「おーい。黙雷〜」
次いで、受験勉強に身を投じた。
がむしゃらにやるのもオレには合わないし、癪なので志望校は近くにある中堅の私立にした。
それが、ここ。
学校法人・私立常平学園だ。
まぁ、それからも更に色々あったんだが――
「黙雷ッ」
そこで、ようやくオレは、オレを呼ぶ声に気付く。
「どうした、ぼけーっとして」
空島が不思議そうにこちらをうかがっている。
「……日射病?」
「いや、大丈夫だ」
苦笑いしながら、答える。
いけないいけない。
また思案するクセが出てしまったらしい。
人前でするのはどうも気をつけなくては。
「さて、と。今日も一日、いや正確には昼まで頑張りますか」
「あいよ」
オレと空島は、学園の門をくぐった―――
何処も高校生はこういう課外があるのでしょうか?
ないところがあったら教えてください。
転校します(笑)
自分は受験生なので、いまさらですが(^_^;)




