Review.1:顕現。
再び始まりました、回顧録!
今回は、長いですよ?(笑)
はじめましての方もそうでない方も、
どうぞヨロシクお願いします<(_ _)>
常平学園高等部二年、須藤 恭介は独りになっていた。
夜遅くまで校内で『異食症考察』と言う分厚い革表紙のハードカバーを読み込んでいたためだ。
独りでいることが好きな須藤にとっては、ままあることである。
巡回の宿直警備に文句を言われるのも何なので、急いで教室の戸締りを確認し、消灯して、そそくさと校舎から出る。
暗き帳が下りた曇り空を、虚ろなその眼窩で眺めながら、須藤は、学校を貫いている大階段を上る。
その時だった。
風も無いのに、植え込みの草がざわめき始め、何とも言えない違和感を感じたのは。
怪訝な表情で、大階段の頂上の方を向く。
――そこには。
黒き黒き霞が、凝縮して存在していた。
それは、何かをかたどっているようだ。
獣、だろうか。
繊月の如き鋭利な瞳が、夜闇より暗い黒の中から、煌々(こうこう)と輝いて見える。
「………」
恐怖心より、興味が勝る。
須藤は、うなじにピリピリと走る違和感を抑えながら、
その孔のような瞳で、不思議な黒い霞を見つめた。
黒霞の、月の目がさらに細められる。
ざわざわとしていた植え込みが鳴りを潜める。
静かに、須藤と霞は睨み合った。
五分は、そうしていただろうか。
気がつくと、あの霞は消え、空にかかっていた雲は嘘のように晴れて、満点の星たちが須藤を見下ろしていた。
「………」
須藤は、
何事も無かったかのように、
飄々(ひょうひょう)と家路に着いた―――
はい、というわけでまたまた始まりました「玖刻」を舞台にした物語。
全編を読破してくださっている方は果たしているのでしょうか?(苦笑)
これからも、どんどん書いていく予定です。
よろしくお願いします!




