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Q4 双子の竜の潜在能力はどの程度か推測せよ

4話目です。そろそろ荒事の予感……


読み終わったら下のポイント評価の欄から評価して頂けるとモチベーションが上がって次話の執筆が捗ります。感想もお待ちしてますのでよかったら是非。

 ====================

  HP:20

  MP:60


  筋力:9

  耐久:9

  敏捷:6

  知力:12

  技量:4

  幸運:20


  スキル

   《竜の息吹(ドラゴンブレス)Lv.1》《シンクロLv.5》《魔力炉心(未発達) Lv.2》

 ====================

 コイツ等、ステータスは魔力偏重型か。しっかし寸分違わずステが同じとは…さすが双子。因みに2匹とも雌だ。


 「キュウ、キュキュ」「ガウウ…」


 見ると、机の上にいた筈の双子は既に俺の二の腕辺りまでヨチヨチよじ登っていた。…はー、かわええ。


 「キュキュ!」「ギャオ!」


 俺の肩まで登り切ると、俺に向けてドヤ顔をしてくる。登山家かよ。


 「にしても、どーすっかなこれから…」


 まずはコイツ等がなにをどの程度出来るのか、把握しておきたいが…コイツ等はまだ生後数十分だ。あまり無茶はさせられない。幾ら死んでも復活するとは言え…


 「…………よし!」




 そこからの俺の行動は早かった。まずは店でバックパックを購入。何故かって?こう使うんだよ。


 「ガ、ギ…!」「ンの野郎…!ノエル、シエル、ブチかませっ!」「「ギュアア!!」」


 俺が8割ほど削ったオオカミのHPが文字通り雨あられと降り注ぐドラゴンブレスの弾丸で消し飛ぶ。


 《『ノエル』のレベルが2に上昇しました》

 《『シエル』のレベルが2に上昇しました》


 「良くやった!」「キュ〜」「ギ、ギゥ…」


 嬉しそうなシエルと若干照れてるノエルの声が()()から聞こえてくる。…より正確には、俺が背負ったバックパックの中から。


 コレが俺の作戦。早い話が、ある程度のレベルに育つまでは双子を俺の外付け砲台として扱う、という事だ。こうすれば双子にも安全に経験値が入るし、何より…


 「キュイ、キュゥ!」「そこ(後ろ)に居たか」


 単純に索敵範囲が広がるのは大きい。幾ら戦闘経験を積んでも、流石に後ろに目は生えてこないからな…例外も居るけど。


 《レベルが4に上昇しました。スキルポイントを5得ました》

 《称号「過保護」を入手しました》


 お、レベルアップ。ついでにシステムからのイジりを受けた。余計なお世話じゃい。


 「ギィ〜…」「んぁ?…あぁ、撫でろってことな」


 何やらねだる様に俺の耳たぶをかじってくるノエル。どうやら甘えたくなったようだ。やはりまだまだ子供か…


 「キュ、キュゥ…?」「あ?…わーったよ。ホレホレ、どうだどうだ」


 何だかシエルも撫でて欲しそうだったので、2匹ともバックパックから下ろしてその白い腹を撫でる。双子に こうかは ばつぐんだ!


 「「キュ〜ン」」


 あー、もうホントカワイイ。




 で、その数分後。


 「キュ?」「ギャウ…?」


 俺達は森の中に入っていた。レベル上げも目的の一つだったが、メインはこっち。目的地は、勿論…


 「おう、見えるか、ふたりとも」


 目の前には青々とした葉を蓄えた大樹があった。…アルフィナの墓だ。


 「よっこらせ…っと。オラ、ふたりとも出てきな」「キュ!」「ギゥ」


 何か感じとったのか、バックパックから出てきた2匹はトテトテと大樹の根本に歩いて行くと、そのままペタンと座り込んでしまった。そしてその視線は、遥か頭上の枝や葉に向けられている。


 「キュァ〜…」「ガウゥ〜…」


 美しい光景だった。しばらくすると、シエルとノエルはその場にいる事に飽きてしまったのか、木の幹を中心に追いかけっこを始めた。


 「ハハッ、元気で何より…」


 俺もその場に座り込み、この下にいるアルフィナに思いを馳せた。


 「なぁ、アルフィナ、今アンタの上で遊んでんの、アンタの娘だよ。名前は、シエルとノエルにした…カワイイだろ?…当然か。アンタの娘ならな…全く、最初からドラゴンならそう言ってくれりゃ良かったのに…俺ァびっくらこいちまったよ。ま、おくるみの中身が卵の時点でお察し、か…ん?てことは、親のアンタも…?……考えないようにしよう…」


 本当なら酒の一本でも持ってくるべきだったが、生憎今は懐が寂しいので露店で売ってたジュースで代用する。済まない…


 「スパーキーグレープのジュースだってさ…独断と偏見で選んだけど、無いよかまだマシだろ……あっちで飲んでみてくれ。美味さは俺が保証するから」


 トクトクトク、と地面にジュースを注いでいく。一瞬、紫色の染みが地面に広がるも、すぐに土に飲み込まれていく。


 「アンタの娘たちは俺が最後まで面倒を見る。だから、どうか安らかに。アンタを殺した奴も…………地の果てまで追って俺が()る」


 バサバサバサバサッ!!!!


 鳥たちが泡を食って飛び立っていく。…ヤレヤレ、俺はどうやらまだヒヨッコから脱却できてないらしい。……色々と、漏れちまった。


 「ん?」「キュ…」「ギィ…」


 大丈夫?と言いたげな4つの瞳が俺を見つめてくる。


 「ああ…(ワリ)ぃな。心配かけちまったか…ありがとな、気ィ遣ってくれて」


 気遣う様な目の双子。俺は彼女たちを抱き上げ、丁度アルフィナが眠っている辺りに顔が行くよう体勢を変えた。


 「ここはな、お前らのお袋さんが眠っている所なんだ」「クゥ…」「ガウ?」


 小首を傾げる双子の頭を撫でつつ、話を続ける。


 「お前らのお袋さんが…あー………うん、良し、眠る前にな、まだ卵の中にいたお前らを俺に預けたんだ。立派な子に育ててくれってな…そん時の事を思い出してた」「キュ〜ゥ?」「ギャアウ」


 分かったような、分からないような顔をしている。流石にまだ早いか…


 「今は分かんなくていいさ。だから…だからな、ホンのチョッピリだけで良いから覚えていて欲しいんだ。俺以外にも、お前達のことを心の底から大切に思っていた人が居たってことを、な。だから連れてきたんだ……って」「「ZZZZ…」」


 寝とるし…遊び疲れちまったかー。しょーがない、まだ赤ん坊だし。


 「ヤレヤレ…良い時間だし、帰るか。ほら、帰るぞ」「「キュ〜…」」


 モゾモゾと双子がバックパックに入り込むのを見届け、俺は立ち上がった。


 「また来る。じゃあな」


 ポツリとそう言い残してその場を後にする。


 (ええ、また来てくださいね。一人は退屈ですから)


 「?!!」


 聞こえるはずの無い声に思わず振り返る。そこには、青いドレスを着た黒髪の美女が−−


 「待━」


 言葉を吐き出すよりも早く、「彼女」の姿は世界に溶けて消える。その代わりに。


 (娘たちを、よろしくお願いします。名前も知らない優しいひと)


 《『シエル』がスキル《アルフィナの加護Lv.−》を取得しました》

 《『ノエル』がスキル《アルフィナの加護Lv.−》を取得しました》

 《スキル《アルフィナの祈りLv.−》を取得しました。サブスキルスロットに配置します》

 《称号「託されし者」を取得しました》


 ……わかったよ。そういう事なら…


 「アンタの依頼(ねがい)、確かに受注し(聞い)た。後…俺の名前な、Rex(レックス)って言うんだ。…そこんとこ、よろしく」


 そう言って、俺は再び歩き出す。まだ見ぬ冒険を求めて。

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