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Q3 卵の中身が何かを予想せよ

4話目です。読み終わったら下のポイント評価の欄から評価していただけると…作者のモチベーションアップにつながるので何卒。

 「…………」


 所変わって始まりの町。その簡易宿泊所の一室…


 「あの時はあーやって啖呵切っちまったけど…イザ目の前にするとな…」


 俺の目の前の机には、一個の白い卵…大きさ30cm位…が載っている。勿論、アルフィナから託されたものだ。彼女の忘れ形見だ。


 「育てるのはいいんだが…これ、どうやって孵化させようか…」


 適当に温めれば孵るのかね。でもそんなに単純かなこのゲーム。


 「やたらリアルだからコレがゲームだって事忘れそうだ」


 とりあえず今日はもうログアウトしよう…色々あり過ぎて疲れちまった。


 大欠伸を一発かましながらベッドに入る。現実では…何だ、まだ夜の8時か。そこまで遅くはないな。そうして、俺は今日の晩メシの事を考えつつ、ログアウトしたのだった。






 翌日。


 「うあー…」ベキボキボキグキゴキバキッ。


 ストレッチする度に体中の節という節が鳴るぅ〜。こんなトコまで忠実に再現せんでも。…まあいいか。


 朝メシを食った側からログインである。嗚呼、素晴らしき哉、人生!


 「さて、卵の様子は…ァ?!」


 おい待て!既にヒビ入ってんじゃねぇかッ!何だこの急展開!


 「待て待て待て…」


 ようし落ち着け、こんな時こそ冷静に、だ。『いつ如何なる状況でも冷静さだけは失うな』、だ。おやっさんの教えを思い出せ。


 「と、とりあえず…」


 タオルとか、借りれるかな?







 ピキッ、ピキッ。


 卵の亀裂は、今や卵全体にまで広がっていた。…孵化までもう少しだ。


 (…ゴクリ)


 もう声を出すことも忘れている。いや、声を出せないのだ。声を出したら、その瞬間、この小さな命が崩れ落ちてしまうような気がして。


 そんな緊迫した状況は、唐突に終わりを告げた。


 バカリ。「「キュァァ!」」


 …………生まれた、のか…?


 卵の殻を破って出てきたのは…2()()()()()()()だった。…ドラゴン?!


 「マジかっ?!」


 慌てて椅子から立ち上がり、机の上の雛(?)たちに歩み寄る。


 散乱した殻。その中に、アルフィナの子供達は鎮座していた。


 一匹は白い蛇の様な丸い鱗に覆われていて、俺の姿が既に見えているのか、早速その4本の脚をヨチヨチ動かしながら歩み寄って来る。


 もう一匹は黒い鎧の様な鋭角な鱗に覆われていて、まるで拗ねているかのようにそっぽを向いているが、その長い尻尾は既に机についた俺の手の指に巻き付いていた。


 白と黒。そのいずれも、4本の脚と一対の翼を持っていた。紛れも無くドラゴンである。


 「か、」


 かわええ…俺の最初の第一声がコレである。だってしょーがねーじゃん、かわええんだから。


 「キュ〜」


 何やら指がくすぐったい。見ると、白い方が俺の指をペロペロ舌で舐めまくっていた。


 「…ギィ…」


 俺が白い方に気を取られていると、黒い方も俺の手を舐めてくる。


 …………かわええ…


 「…はっ?!」


 イカンイカン。冷静に冷静に。とりあえずこの子等をどうするか、だが…現実(あっち)ならまずはメシだが…そもそもドラゴンの子供は何を食べるのだろうか?


 「ということで、色々用意してみたが…」


 「「バクバクムシャムシャモリモリ」」


 完ッ全に杞憂でした。キミたち生後数十分なのに食欲旺盛ね…美味しい?


 「キュウ!」「ギャア!」


 どうやらお気に召したご様子。特に、白い方が果物を、黒い方が野菜を好んで食べていた。だが肉もしっかり食べているところを見るとベジタリアンと言う訳では無いようだ。


 


 数分後。


 「「ゲエップ」」


 子竜たちは真ん丸になった腹を晒して、ご満悦の表情だ。やれやれ全く、インベントリの食料をほとんど食い尽くしやがってからに。


 「キュゥゥゥ~」「ギャァウ」


 2匹の子竜が満足気にこちらを向き、トテトテとこちらに寄ってきた。何をするつもりかと思ったら…


 ======================

  ベビーストームドラゴンがテイムを求めています。


     テイムしますか? yes/no

 ======================


 ======================

  ベビーブリザードドラゴンがテイムを求めています。


     テイムしますか? yes/no

 ======================


 ホワッツ⁈今のでテイム要求するの⁈いやまあ…


 「イエス、っと…ハハッ、よろしくな、ええと…」


 俺が「yes」のボタンを押すと、子竜たちは俺の事を期待を込めた視線を向けてくる。どうやら名前を付けて欲しいみたいだ。


 「ようし…やってやろうじゃないの。そうさな…白い方が『シエル』で、黒い方が『ノエル』…で、どうよ?」「「キャー!」」


 良かった、どうやら気に入ってくれたようだ。


 「そんじゃ、色々あるだろうけど、よろしく頼むぜ二人共」「「ギュィ!!」」


 


 …後に、具体的にはこのやり取りから一時間後、このゲームの中で『ドラキャノン』と呼ばれるプレイヤーが誕生した瞬間だった。

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