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Q2 突発イベントが発生した際の最適な反応を述べよ

3話目です。読み終わったら下のポイント評価の欄から評価して頂けると非常に有り難いです。…ホント、お待ちしてます…

 「そりゃあ!」ダガーを振り下ろすと、肉の線維を断ち切る感覚と共にウサギの体が崩れ落ちる。「ふぃ~、やっとこ終わったか。しかし、たかがウサギと思ってたら意外と手こずったな。侮れん」プレイ開始から数分後。冒険者ギルドへの登録を済ませた俺は、その足で依頼を受けていた。内容はファーラビット10体の討伐。今ので丁度10体目だった。…多分。


 「えー…っと、確か今ので終わりか。ヤレヤレ全く、今受けてるクエの進捗も分からんとは。運営に報告しとかなきゃな」


 そう言いつつメニューから『ご意見・ご相談』の欄にクエスト進捗状況の確認欄を追加して欲しい旨を書き込んで送信ボタンをタップする。


 さて、果たしてこれからどうしたものか。依頼の完了報告をしに冒険者ギルドに戻るも良し、このまま草原を走り回ってレベル上げに勤しむも良し。どちらであっても、決めるのは自分自身だ。


 「ふーむ…他の連中も張り切ってるようだし、俺ももうしばらく頑張るとしますかね」


 

 結局、俺がその場を後にしたのはレベルが4に上がって少し経った頃だった。


 (さて、そろそろ《テイム》を使ってみたいとこだが…)


 なーんか、しっくりこないのである。ここらに居るモンスターはウサギと猪、後たまーにオオカミが出るかも…?位しかいないのだ。この中で俺が狙うのは最後のオオカミ…正式名称『ハウンドトゥース』なのだが、コレがまた出ない。どーも物欲センサーが反応しまくってるのか、幾ら粘ってもちっとも出ないのだ。くそう。コレではテイムのしようが無い。


 せめてスライムとか出ないものかね。あいつ等、すこし前からはザコ敵扱いされてたけど、それより前は結構な強敵として描かれてて…イヤ、ホント、何か出てくれないものでしょうか。今や物欲センサーが出力最大になってるのか、もはやウサギすら出て来ない始末。…どーしよ。


 と、その時の俺は、そのほんの数分後にはとんでもない事に巻き込まれるなんて、想像もしてなかった訳で。



 (さてさて、もう平原には用もない事だし…次は森に行ってみようか)


 ギルドの受付のお嬢ちゃん曰く、森はモンスター達の住処らしい。なら森に行けばエンカウント率が上がるかも…?そんな、軽い気持ちで森に入ったのがいけなかったのだろうか。


 ドッ!


 「うをうっ?!」


 木の陰から飛び出して来た誰かと思い切り正面衝突してしまった。もつれ合う様に倒れ込む俺達。


 「アテテ…何なんだよもう…ああ済まない。ボンヤリしてた…大丈夫か?」「ハァ…ハァ…ゼェ…」


 …随分と…急いでいたみたいだな。俺にぶつかったソイツはボロっちいフード付きのロープを身に纏い、何かを抱えた状態でへたりこんでいた。全く、急いでいるにしても前くらい見なさいよ…そう思いながら、助け起こそうと奴さんの手を引っ張った丁度その時。


 「いたか?!」「分からん!だがそう遠くまでは行けない筈だ!」


 思わず手を離してしまう。奴さんは立ち上がりかけた体勢から後ろの茂みの中に沈むように倒れてしまった。…やべっ。


 「お、おい大丈b」「おい、そこの!」


 思わず振り返る。振り返った先にいたのは、4人の男達だった。ミニマップの色は白…コイツ等NPCか。


 「少々聞きたいのだが、この近辺で女を見なかったか?」「女…?」「そうだ。何か、布に包んだ何かを持っていたが、心当たりは?」


 う〜…ん…女か…思い当るフシしかないが…


 「いや、見てないな。なんかあったのか?」


 コツはいかにも興味津々とばかりに、野次馬根性を出して話しかけること。そうすれば…


 「貴様には関係の無い事だ」「部外者がズケズケ立ち入るな」


 ほら、こんな風に拒絶の反応が返ってくる。


 「くそっ、一体何処に…」「あの深手ならその辺りに…」


 ブツブツ呟きながら追跡者たちはその場を後にする。…あまり、人を信用し過ぎるのも考えものだぞぉ。そんなんだから…


 「こうやって逃げられちまう、と」


 そう言いながら振り返り、今度こそフードの…女?を立ち上がらせる。


 「もう行っちまったぞ。大丈夫かあんた」


 だが、それに彼女が答える事は無かった。


 トサリ。


 フードの女が膝から崩れ落ちる。上半身まで倒れそうになるのを、慌てて受け止めた手に血がついた。


 「おいっ、アンタっ、眠るんじゃないっ」「ハァ…ハァ…」


 「ゼェ…貴方が…どなたか存じ上げ…ませんが、ハァ…助けて頂いて、ありがとう…ゲホッゲホッ」「もう良い!もう喋るな、今町まで連れてって」


 俺な彼女を抱え上げようとすると、震える手で俺の右手を掴んだ。その手は血に塗れ、紙のように白くなってしまっていた。


 「いけません…ハァ…ハァ…それだけは…」「じゃあどうしろってんだ!アンタを、ここで見殺しにしろってか?!そんなモン、俺が認めねェ!」


 そう喚く俺の腕を、彼女は優しく、宥める様にさする。それはまるで、母親が子の我儘を宥めるようで…


 「わたしは、此処までです…ゼェ…もう、この傷では…」


 チラリと、彼女が視線を落とす。彼女の服は既に鮮血で染まっていた。


 「ハァ…わたしの事より、どうか、この子を…」


 そう言うと、彼女は今まで大事に抱え込んでいた包みを、押し付けるように俺に渡した。ああ、そういう事かい。


 「貴方なら…この子を…良き方向に…導いて…」「ああもう…!…ハァ、ったく、そこまで言われりゃトコトンまで面倒見るさ。だから…だから、アンタの子供達に、何か遺してやってくれ。実の親から、産まれてくる子供に、祝福を」


 そう促すと、彼女は震える手で、包みを撫で始める。涙を流し、無念からだろうか、口を震わせながら。


 「ごめんね…いっしょに…居られなくて…ごめんね…だから…この人の言う事を聞いて…立派に…」


 そう言いながら、彼女は首に掛けていたペンダントを俺に向けて、こう言った。


 「これを…この子に…わたしの、形見として…」「ああ、渡してやるよ。だから、安心して、眠ってくれ…」


 「ええ…ああ…それと…名前は…どうか…貴方が…」「分かった………なぁ、最後に聞きたいんだが」「ハァ、ハァ…なんで、しょう…」


 最後に、どうしても、聞いておきたかった事があったのだ。


 「アンタの、名前をまだ聞いてない」「…フフ」


 もう、顔面蒼白で、目も殆ど見えなくなってるだろうに、彼女は、それでも、俺の冗談(気休め)で笑ってくれた。


 「そう、ですね…恩人に、名前を知らせず、逝ってしまうのも、わたしの、プライドに関わります、からね…いいですよ。わたしの名前、は、『アルフィナ』、です…」


 「アルフィナ、か…中々小洒落た名前だ」「フフっ…」


 彼女は可笑しそうに微笑み、最期にこう言った。


 「そう言われたのは初めてです」


 それが、彼女の最期の言葉だった。






 「……よし」


 一時間後。アルフィナを弔う事にした俺は、彼女の遺体をインベントリに格納した上で−『物』ならなんでも大きさ無視で入るインベントリだ−一度町に戻り、スコップを購入して、森にとんぼ返りしていた。


 場所は、森の中でも一際大きな木の下。何となく、ここなら静かで良く眠れそうだと思ったのである。


 「えっほ…ほいせ…よっこいせ…ハァ、やっぱ慣れるもんじゃねぇな、こういうの。うん、慣れちゃイカン」


 穴を人の体がすっぽり入り切る程度の大きさまで掘り、そこにアルフィナの遺体をそっと下ろす。


 「ふぅ…あ、そうそう」


 思い出した。確かインベントリに…


 「あったあった、これこれ」


 取り出したのは一輪の花。コイツは《クロームデンドロ》という花で、レアな癖に特に効果が存在しない、早い話が観賞用の花だ。何かのイベントで使うのでは?と思って摘んでおいたのだが、こんな使い方をする事になるとは…


 釈然としない気持ちを抱えながら、花を彼女の組まれた手の上に起き、その上から土を被せる。


 「ふぃぃ…これでよし、と…これで、もう誰もアンタを追って来れねぇ…墓石は用意できなかったけど、この木が代わりになる筈だから、コイツで我慢してくれ。それから、時々様子見に来るから…まあ、アレだ、ゆっくり休んでくれや。アンタの子供も、俺が責任をもって育てるから、だから、」


 おやすみなさい。良い夢を。


 そう俺が彼女を見送った、その時だった。


 ======================

  Hidden Quest Clear!!!

  ヒドゥンクエスト:「母の愛は太陽のように」クリア!


   報酬

    経験値:3200

    アイテム《謎の卵》

    アイテム《銀のロケット》

    スキルポイント+10

 ======================

 《レベルが5に上がりました。スキルポイントを5得ました》

 《称号「最初のヒーロー」を入手しました》


 ………いや、分かるよ?タイミング的に通知を出すなら今しかないのもさ。でも、ねぇ…もう少しこう…心情ってものを、な?

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