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Q3 以下のミッションタスクを優先度順に並べよ。

いかんなぁ、だいぶ間隔が開いてしまっている…やっぱりスマホ入力が良くないのだろうか。

 さて、今俺がやらねばならない事は以下の通り。

 

 ①馬車/人員の救出

 ②敵の殲滅

 ③②を失敗した場合の敵の誘導


 取り敢えず①はマストオーダー…ミッションの成否に関わる。なんとしても遂行せねばなるまい。となると残りのタスクだが…


 (あぁもう面倒くせェ、どの道なるようにしかならんだろ。突撃!)

 

 この期に及んで余計なことを考えたところで意味はない。というか時間が惜しいので考えてる余裕が無いというのが正しい。とにかくまずは連中と合流だ。





 「よォ、無事かアンタら⁈」「なッ…見ての通りだ!このままだと追いつかれる!貴殿も巻き込まれない内に離れるんだ!急げ!」

 

 俺の呼びかけに答えたのは殿(しんがり)を走っていた鎧姿の壮年の男。ふむふむ、どうやら事ここに極まったクソみたいな状況でも見知らぬ他人の心配が出来る人らしい。恐らく指揮官クラスか。


 「生憎そういう訳にも行かんのでなァ!ノエル、シエル!ド派手に()()()()()ッ‼‼」「「GYAOOOOO!!!!!」」


 咆哮と共に放たれる風と氷の弾丸。まだ一撃で仕留めるには程遠いが、それでも怒れる暴牛共(レイジングブルズ)の気を引くには十分だった。


 「何だとォッ!?」「そういう事だ!幸運を祈る!」


 さて、首尾よく連中のタゲがこっちを向いたのでさっさと隊列から引き剥がしに掛かる。…よし、全員きっちり俺のケツにくっ付いて来てるな。上々…


 って、なんでアンタもくっ付いて来てんだ騎士殿。


 「何してんだ手前ェ‼とっとと離脱しろォ!」「それはこっちの台詞だ!死にに行くようなモノだぞ!」「ヒトの事言えねェだろうが!」「無関係な他人に全てを押し付けてのうのうと逃れる程私は堕してはおらん!」


 …ハァ。どうにもこういう『高潔な騎士精神』ってのは苦手だよ。大人しく押し付けてくれて良いってのにさ。…まあ、一個思いついた策には二人いた方が楽なんだけれども。


 「…っったく、こうなったらやるしかねーか。おい、こうなったら最後まで付き合えよ」「無論。だが…一ついいだろうか」「あ?」


 「何故、我々に助力を?見捨ててしまえばよかったものを…伊達や酔狂でやれる所業ではない筈」「ん?ん~…じゃあ『伊達や酔狂』で」「…」


 俺の返答に騎士殿は呆気に取られたような表情をしたが、それも一瞬。


 「…フフ…そうか。なら、精々誉れある戦いをしよう。一対多数の戦い…これ以上の英雄譚はない」「まァ俺もいるがな。さて、そんじゃいっちょやりますかね」


 


 と言っても、やる事はシンプルだ。思い出してほしい。あの時あのモンスターの群れに対して御者は何と言っていたか。


 《ちなみに、連中は群れの一頭が負傷したらそっちの方角に一斉に方向を変えてくるんで下手に手出ししない方が身の為ですぜ》


 《群れの一頭が負傷したらそっちの方角に一斉に方向を変えてくるんで》


 つ、ま、り…


 「二人で延々攻撃すればある程度ループさせられるって事だよなァ!」


 馬上から町で購入した弓(お値段:800G)で矢を後方に射掛けつつ吠える俺。そのはるか後方、群れの最後尾を走る騎士殿は自前の石弓(クロスボウ)でひたすら群れのケツに向かって延々撃ちまくっている。


 …要するに、思考ルーチンの問題だと俺は思うのだ。


 コイツ等に最後に攻撃した敵にヘイトを向ける。連中に下手に手出しすればあっという間に数の暴力で摺り潰される訳である。


 じゃあ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 前から撃たれてそちらを向き、ほぼ同時に後ろからも撃たれたらどうなるか。


 答えは『ヘイトが前後に行ったり来たりして移動でほぼ何も出来なくなる』。


 流石に攻撃モーションはキャンセル出来るほどの威力の飛び道具が無いので大人しく出させるしかないが、この牛共の攻撃は突進以外は角を使ってのカチ上げが精々。つまり?


 「あ”あ”~経験値が旨い~」「最後まで油断するな!手負いの獣こそ心底恐ろしいモノだ!」






 結局、群れの討伐に一時間も掛かった。最後は作業でしかなかったとはいえきつかった…ま、レベルが上がったのでそれはそれで良し。


 とは言え、最終的に矢が尽きる程の長期戦。HPゲージも三分の一を割り込んでしまっているし、ダガーもボロボロだ。流石に修理しなければならないだろう。これ以上の連戦は勘弁願いたい。


 「あー…しんど」「であろうな、あの数を全て討ち平らげておいて平然としていられる者はこの国にも両手で収まる数しかいないだろう。立てるか?」「ああ。だがちょいとくたびれちまったよ」


 座り込んでいた俺に騎士殿が手を差し伸べてきたので、大人しく厚意に甘える事にする。


 「レックスだ。騎士殿、お宅は?」「ん?そう言えば自己紹介がまだだったか…」


 握手していた手をそのまま胸に置き、改まった口調で騎士殿が口を開いた。


 「タブリエ王国軍国王直属近衛騎士団(ロイヤルガード)…団長のボンドだ」

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[気になる点] 「…フフ…そうか。なら、精々誉れある戦いをしよう。一体多数の戦い…これ以上の英雄譚はない」「クク、そんじゃいっちょやりますかね」 一対多数では? 「…っったく、こうなったらやるしか…
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